玄関土間収納SCL(シューズクローゼット)に当たり前のように引戸が付いているけど、本当に要る?使う?いつ閉めるの?という話。
てんこ盛り業務に追われ、前回記事から間が開いてしまいましたが
前回記事に引き続き、新居に住み始めて1年経過した「間取り相談OBのお客様K妻さん」の住み心地の感想の話。
K妻さんちの基本情報
- 愛媛県在住
- 夫婦+子供二人(当時2歳、妊娠中)
- 夫婦フルタイム共働き
- 地元ビルダーと1年かけ10回以上間取り作成済み
- 間取り決定までゆとりなし
住み心地最高!とおっしゃるK妻さんなんだけど、間取り相談では「よくみかけるポイント」で悩んでおられた。
それは玄関土間収納の使い方。
靴を履かないと靴を取りに行けない…
改善させると収納力が半減…
隣り合うトイレドア問題…
これらの悩みをKご夫妻さまと間取り相談で一緒に間取りを磨き上げ「住み心地最高!」となった。
住み心地報告を沢山くださったのだが、特によかったと思ったことを箇条書きにしてくださった。
↑沢山くださったが、実はこれで半分(笑)
・トイレドアを引戸にできたこと。
・シューズクロークにロールスクリーンをつけなかったこと。
今回、この2点の経緯をご紹介。
まずは、K妻さんちの当初の原案がコチラ↓
↑あなたの間取りだとして、何か思うことはありますか?
①②に片引戸があり、SCL内(赤枠)は全部土間。
③トイレはドア。
という計画。
この間取りに対し、K妻さんの当初の悩みは2つ。
- SCLの使い方
- トイレ扉の安全性
↑全部土間だと、靴を履かないと靴を取りに行けないので…
ホール側の引戸をトイレ側に変更。
土間2帖の内、半分の1帖分をフローリングに。
靴を履かずとも靴を取りに行けるようになるが、収納が半減してしまう…とK妻さん。
ふむふむ…確かにコレなら廊下からそのままSCLに入って靴を選ぶことができるけど…そのために貴重な土間収納が半減ってのはもったいない。
続いてトイレの悩みは…
↑トイレドアを開けた時、廊下や洗面から出てすぐの所なので危険、不安がある。
そこで引戸を希望したら↓これはどうか?と提案された…
↑引き戸になったけど、トイレは横向きに。
トイレ専用廊下を作るために床面積が増。
「玄関」と隣り合う「自転車置場」の幅が狭くなり、曲がりこんだ廊下も気になる…と。
ふむふむ…確かに、トイレに行くだけの廊下を作るために、
せっかく広めにしていた玄関、
横の屋根付き自転車置場が
廊下90㎝確保のためそれぞれ巾45㎝ずつ狭くなるのは非常にもったいない。
だったら…こんな風にするのはどう?
…っと、その前に、「SCLにある2カ所の引戸」必須ですか?と。
間取り相談あるあるなんだけど…
SCLには、「もれなく付いてきます」といわんばかりに「扉」が計画されている。
扉不要とは言わないけど…
絶対必須なの?
無くした場合のイメージをしてみて、中止を検討するのもアリじゃない?
と私は常々思うワケでして。
なぜそう思うのか?
友人知人、リフォーム依頼のお客様邸にお邪魔したとき、
100%とは言わないけど、ほぼそれに近い確率でSCLの扉が開けっ放しになっているから。
しかも、住人は開けっ放しであることに何の違和感もなく、ごく当たり前な感じなのだ。
開けっ放しで恥ずかしいとか、閉め忘れてた!って素振りも見せない。
つまり…開けっ放しが我が家にとって一番使いやすく、ごく自然体ってことかと。
何が言いたいかというと…
「新居に引戸や折戸、ドアを設けても、結局開けっ放しになりませんか?」と。
まだ引戸なら開けっ放しにしやすいが、
折戸やドアあるせいで通行の邪魔になるとしたらイライラしません?
扉を外したくなっちゃいません?
と、そんな風に思う坂口なので、K妻さんにも「こんな風にしてはどう?」と提案をした↓
- SCLの引戸中止。必要に応じ「のれん」をしてはどうか。
- SCL内に、一部床を設け、靴を履かずとも出し入れ可能に。収納力も一切減らさず。
- トイレ配置はそのままで、ドア→引戸とするだけ。
これなら、ただいまー!と帰ってきた家族は、
そのままSICへ入り、靴を脱ぎつつ手に持ち横の棚へ(学校の下駄箱方式)
出かける際は、棚から靴を選び土間へ置きつつ履く。
これなら、SICの土間は家族の靴だらけ…にはなりにくいのでは?と。
トイレ引戸の影響で玄関、自転車置場が狭くなることもないし!
「確かに、これいいかも!」とKご夫妻さまは共感してくださり、引戸中止の方向は決まったんだけど…
私は「SCLは引戸よりのれん推奨派」なので、可能なら「のれんはどう?」と間取り相談時によく提案する。
■「4分割のれん」なら、より出入りしやすいかも!
■低い位置まで隠したいならロングのれんとか…
そんな時、必ずと言っていいほどお客様に言われるのが
「あの~、のれんじゃなくてロールスクリーンじゃダメですか?」と。
「のれん」よりも「ロールスクリーン」の方がキチンとしてる感があるからかも?
「引戸などの扉」>「ロールスクリーン」>「のれん」
たぶん↑こういう位置づけなんだと思う。
仮に図面通り、引戸またはロールスクリーンを設置したとして暮らしをイメージしてみると…
ただいま!
引戸・ロールスクリーン①開ける
SCLへ入る
引戸・ロールスクリーン①戻す
靴脱ぐ、仕舞う
引戸・ロールスクリーン②開ける
廊下へ出る
引戸・ロールスクリーン②戻す
…これ、やります?
あなただけやっても意味ないですよね?家族みんながやってくれないと…
私なら…絶対やらない自信がある(笑)
ウチの家族も絶対やらないと思う。
たぶん来客時も…気心知れた仲ばかりなので、まいっか…と閉めないと思う。っていうより、もはや扉の存在すら忘れそう(笑)
私がSCLのあるお家に訪問した際、ほぼ開けっ放しなのはこういう事じゃないかと。
結局、常に開けっ放しじゃ意味なくない?
扉があるせいで「いつでも隠せるから」と整理整頓を怠りがちになる可能性もあるんじゃ?
逆に「扉なし」の方が、使いやすさだけじゃなくて、ちゃんとしよう!って無意識にキレイに保とうとするんじゃない?
あなたは開けっ放しが自然体になっちゃって気にならないかもだけど、来客の目にはたぶん「開けっ放しになってる」と映りますよ…と。
いやいや、来客時には絶対閉めますから大丈夫です!という来客時のみキッチリ派さん。
または、玄関の正面にSCLという配置の場合は、扉も検討もアリかと。
Kご夫妻さま、この件も共感してくださり…
「のれんなら必要を感じたらいつでもできるよね!」と、のれん作戦を採用されたワケなんだけど…
「なんと暖簾さえつけていませんが、めちゃめちゃ通りやすいです(笑)」とK妻さん。
パッと隠せない!と思えば、キレイにするよう無意識に心がけると思うし、やっぱりちょっと目隠し欲しい!となれば「のれん作戦」も可能。
さらに、引戸を中止すると、引戸が入るはずだった部分の壁も「フック」「姿見」などを付けられ有効利用可能!
フックには…玄関置きでOKなバッグ、なわとび等子供グッズ、玄関ホウキetc
■ちょっとした壁を生かしての壁面収納に…(コレ↓下地が無くても設置可能なのがいい!)
坂口との間取り相談後、ビルダーの設計担当さんと図面を煮詰め、最終図面ではSCL、トイレ周りはこのようになったそう↓
K妻さん、SCL随分お悩みのようでしたが、使いやすそうで見た目もスッキリなSCLになりましたね!
暮らし始めちゃうと「あの悩みはなんだったんだ?」と思えちゃいますよね?
結局…引戸→→→何もなし、とは…(笑)
いつでも暖簾設置できますから!
我が家はモデルハウスではないので、そのくらいでいいと思います!
↑廊下の引き戸を開けたトイレは、こんな感じに仕上がったそう…素敵
あなたの間取りで「SCLに扉」ありますか?
玄関入った正面なのか、側面なのか、でも要不要の度合いは変わると思いますが、
「扉を付けるのが当たり前」と思い込まず、
家族みんながちゃんと開け閉めするのかな?
のれん作戦もアリかな?など
再検討してみてはどうでしょうか。