思い切ってトイレをキッチン横に移動させたらスッキリ解決 | 失敗しない間取り相談 新築|リフォーム 間取りアドバイザー 坂口亜希子

失敗しない間取り相談 新築|リフォーム 間取りアドバイザー 坂口亜希子

セルフチェックで「あなたのマイホーム図面」を辛口主婦目線に耐える図面に変身させます!
日々家事をこなす主婦であり建築士だから気づく!わかる!間取りのアドバイス。

間取りを作る際「これはこの位置!」と、住まい手も設計者も一度「思い込む」と迷宮から抜け出せなくなることがある。

住まい手の「意図の根っこ」が明確にわかると、方向転換できて迷宮から抜け出せると思う話。


・・・・・


先日、NHKの『おはよう日本』を見ながら中1息子と朝食を取っていた。

ニュースの合間に「専門家の意見を聞き、あなたも生かしてみては」的な趣旨のコーナーがあり、その分野の第一人者である専門家の方(男性)が、その分野についてわかりやすく説明してくださっていた。


へぇ、なるほど、と、それを何気なく見ていたのだが…
あれ?この方のお名前、見覚えがあるような…

あーっ!この名前は間違いない!
以前、間取り相談をしたお客さまではありませんか!

思わず息子に「この人、お母さんのお客さんだよ!」と自慢をしてしまった汗


間取り相談は電話で行うため、お顔は存じ上げない。
が、その分野の専門家であることは間取り相談時に奥さまから伺っていた。

直接は存じ上げなくても、かつてお手伝いをした方がNHKに出演しているなんて、田舎者の私は大興奮。
嬉しくなって、さっそく奥さまであるF子さんに
「今朝、ご主人さまをテレビで拝見しました!」とLINEを送った。







以前、F子さんから完成報告と写真をいただいていたが今回、ブログ掲載許可もいただいたので、間取り相談でいくつか提案した中の「トイレの配置」が決まった経緯を紹介しようと思う。




 

「トイレはここが絶対条件」と勝手に思い込む


まずはF子さんちの基本情報

  • 東京都心部に本宅あり。今回は長野県の別宅を新築(木造2階建て)
  • 40代夫婦+小型犬2匹
  • 2階に上がれない小型犬と寝るため、1階リビングを寝室と兼用
  • 寝室兼リビングとするためキッチンはリビングから離したい
  • ダイニングはF子さんの仕事場も兼ねる
  • 2階は、F夫さんの書斎、ゲストルーム、WICなど


間取り相談は、F夫さんが仕事のため、F子さんと坂口の二人で行った。


F子さんちの原案とする間取りは↓コレ。




F子さんから具体的な細かいお悩みはなかったが、なんとなく水回りがモヤモヤするとのこと。
私もパッと見た時、洗面やトイレ入り口付近にかなりモヤモヤした汗


「キッチン」と「寝室兼リビング」は距離を置きたいので、この配置で決定と。
玄関位置もあれこれ検討した結果、ここで決定と。
となると、水回りの場所はおのずと限られてきて、北東角に集中していた。

洗面とトイレを分けるため、間にタタミ1枚分の廊下があった。




つまり、洗面に行くためには、①のドアを開け、またすぐ次のドアを開け…ということになる。

うーん。なんだかちょっと面倒くさいような。


トイレ前の①を無くし、半分はリビング側にして、半分は洗面とする。
広くした洗面から直接トイレに入るっていうのはどう?
トイレはリビングからワンクッション置いているわけですし…


私は気にならないんですけど、主人がトイレは分けたいと。

うーん、そうなんですね。
では、一旦洗面に入ってから、トイレを分ける前室を作るのはどうでしょう?↓



こうすれば、洗面にはドア1枚開けるだけで行けます。
洗面室にトイレが直結なのが気になったとしても、前室があればワンクッションおけますよね。
前室の引戸は、トイレを使うときだけ閉め、あとは開けっ放しでも。

さらに、中止した廊下の半分を生かし、ワンちゃん用の「浮物入」とその下に「ペットトイレ」もできますよ!

確かに、これならいいかも!


トイレ付近は、F夫さんの方に、より強いこだわりがあったが、不在のため細かい質問や確認がすぐにはできず…
F子さんとふたりで、散々あれこれ考えた末、ひとまずトイレ付近は、この案で落ち着いた。



 

こだわる本人の「意図の根っこ」がわかると話が早い


修正案をF子さんに送り、F子さんからお礼のLINEが届いたのも束の間。

さらにLINEが届く↓





トイレに前室を作る提案をしたのだが、そいういうことじゃなくて…
F夫さんとしては「洗面室を経由すること」がそもそもNGだったのだ。

  • 洗面とトイレはそれぞれ独立
  • トイレの洗面経由がイマイチ
  • トイレ前の前室が無駄
  • トイレの位置を変えてもよい

おっしゃる通り、ごもっともな意見。
思わず「私もそう思います!」と思った。

打ち合わせ時は、この部分がわからないまま「トイレはこの場所が絶対条件」だと思い込んでいたので八方塞がりな感じだった。
F夫さんの考えがハッキリわかったとたん、「だったらこうすればいいんじゃない?」とすぐにビビッときた!

 



 

思い切ってトイレの場所を変える


F夫さんの考えの根っこの部分がハッキリ見えた瞬間、
では、思い切って↓こんな風にしてはどうでしょう?と、すぐさま案が浮かんだ。




・トイレは、階段下を利用し、キッチンの横へ配置
・以前のトイレ位置は、寝室の横なので敷布団や日常服を仕舞えるWICとする
・前室がなくなった分、洗面脱衣内に着替えを入れるチェスト置き場を設ける

ただし…トイレがLDK空間にあるのは「気になる派」なので、本当は↓ここに前室を設けドアがつけたいと思ったが…

  • トイレドアと前室ドアが近く、狭々しくなる
  • トイレ前の廊下幅を広げたいところだが、玄関側の壁と構造的な絡みもあるので、青ライン部分を動かすことはNGだろうと判断した


これらから二重のドア提案は断念し、コンロ前の壁を少し伸ばすことでトイレドアが近い部分の緩衝材になれば…と、先ほどのコチラ↓を提案したのだった。

 




この提案をF子ご夫妻は大変喜んでくださった。





 

ビルダーさんより、さらにナイスな提案


坂口案がF子さん経由でビルダーさんに渡り、
「こんな風になりました」とF子さんから頂いたビルダー案を見て「ビルダーさんナイス!」と思った。

構造を把握しているだけのことはあって、青ラインの壁をずらしてくださり、
あきらめていたドアがついているではありませんか!↓

 




前回坂口案より、今回の坂口案はそこそこスッキリしたが、今回ビルダーさんの一押しで、グッとよくなった感じだ。
②を910→1,137㎜へ広げたのがとてもいい!
頑なに「基本は910㎜ですから…」みたいに言わないビルダーさん、素敵です。

赤丸部分が壁と提案されているけど、抜けるなら壁を抜いてもらってはどうか?とF子さんに伝えた。



そして実際、完成したキッチン付近の写真はコチラ↓



お!赤丸のところ、ちゃんと腰高の壁に代わってる。
これならキッチンからリビング方向も見えてよいですな。





洗面台は、F子さん希望の「ホテルライクな広い洗面台」。
ご夫妻おふたりでご利用ならば、日常的にキレイな状態を保てますね!


 


 

お!キミがF子さんちのワンちゃんですな。初めまして(笑)



 

明確に意図が分かると、思い切った提案ができる


今回つくづく、住まい手の希望が明確にわかると、自信をもって思い切った提案が浮かぶな、と感じた。

突っ込んだ質問に答えられるのは、こだわっているご本人だけである。

ご本人の要望の元になる考え、「意図の根っこ」がわかれば、「トイレはここが絶対条件」などという思い込みは起きず、思い切った提案ができる。




■あなたもビルダーさんに要望を伝える際、「ここをこうしたい」「ここは嫌だ」と伝えるだけでなく、

  • どうしてそう思うのか
  • 解決策はわからなくても例えば、どんな風になっていればいいと思うか
  • そこを誰がどのように使いたいと思っているのか

と、より具体的な希望も添えて「だから、ここをこうしたい」と伝えてみてはどうでしょう。

「なるほど、そういうことなら…」と、今までとは違う視点の間取りを提案してくれるハズグッド!


 

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