脳卒中後の肩の痛み

佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。

脳卒中後、麻痺側の肩の痛みが出現している方が多いのではないでしょうか。

脳卒中後の肩の痛みの発生率は報告にばらつきがあり、30%から70%と言われています。

痛みの場所もさまざまな報告があり、圧を加えて痛みがあるか確認する方法では、靭帯や筋肉や骨突出部(烏口突起など)に痛みを確認できます。

肩の痛みの原因もさまざまなで、

① インピンジメント症候群

② 肩関節亜脱臼

③ 滑液包炎

④腱板断裂

⑤ 肩手症候群

などが挙げられます。

肩の痛みに対するリハビリ介入は、さまざまな種類がありますが、患者さんご自身で行っていただきたいのは肩のポジショニングです。

椅子や車椅子に座っているとき、三角巾を使うまではなくても、麻痺手がだらんと下に落ちていると肩が引っ張られて痛みが出ることがあります。

写真のように太ももにバスタオルなどを畳んでおいて、その上に麻痺手を載せると、肩に引っ張られる力が加わらないので肩に優しい姿勢になります。

バスタオルを一回一回畳むのも大変なので、三日月型のクッションがあれば、上の写真のように腕を安定して載せることができます。

また、寝ている時も肩が痛い方は、写真のように肩と腕の下にバスタオルを置いておくと、重力で肩がベッドの方向に落ちませんので肩に優しい姿勢になります。

脳卒中後の肩の痛みには多くの原因があり、お一人で原因を探すことは難しいと思います。

飲み薬、湿布、注射、温熱治療、電気治療、リハビリなどさまざま対処方法がありますが、医師の診察に基づく判断が必要です。

今回ご紹介した内容は、ご自身で取り組みやすい内容だと思いますので、医師に相談しながら対応していただければと思います。

引用・参考

1) 板場英行：脳卒中肩の痛みに対する理学療法の考察. 理学療法学第15巻第2号 122〜125頁 (1988)

2) 橋内智尚他：脳卒中片麻痺患者の肩関節痛の病態と治療. 肩関節,2001;25巻第3号:415-418.

3) 山内弘子他：脳卒中亜急性期の麻痺手の浮腫や痛みと皮膚温との関連.臨床神経学 55巻1号(2015)

☆*:.｡.最後まで読んでいただきありがとうございました .｡.:*☆