折り合いをつけること

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佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。

 

 

脳卒中後、さまざまなストレスが増えたり、思うように体が動かずに、辛い思いをなさっている方がいらっしゃると思います。

 

 

担当させていただいている患者さんとさまざまな話しを行いますが、「”あきらめ”という言葉を使わずに、意識して”折り合いをつける”気持ちで過ごしています」という内容をお聞かせいただくこともあります。

 

 

患者さんから「折り合いをつける」と言葉を聴いたとき、もっとこの言葉を知りたいと思いました。

 

 

今回は、「折り合いをつけること」について学んだことについて記していきたいと思います。

 

 

 折り合いとは

 

weblio辞書では、折り合いとは、「交渉において、互いにある程度譲り合って双方が納得できる妥協点を定めること。互いに意見や立場が対立しないポイントを見いだすこと」と記されています。

 

 

折り合いの類語・同義語は、「妥協」「歩み寄り」「折衷」などが挙げられていました。

 

 

webで確認できる例文として、お互いが納得できる妥協点の意味合いが多く、「人」と「人」との間の意見などの妥協点を見つけていく、というものが多いようでした。

 


 病気との折り合いをつける

 

「病気との折り合いをつける」ということについて、文献)1には以下のように記されていました。

 

 

「病いの意味づけや、セルフケアを拡大していくことは、それぞれの対象者が病気と上手くやっていこうとした、病気との折り合いの軌跡である。」

 

 

「個々の多様な病気との折り合いのつけ方が、”自分らしくいきること”として概念化され、折り合いのプロセスが”自分はこれでいいと納得すること」として解明されてきた」

 


病気との折り合いは、すぐに成立するものではなく、また正解があるわけではないと思っています。



病気との折り合いのつけ方が、自分らしく生きることと概念化されていると言う点は納得できます。



担当させていただく方々や当事者会などで出会った方々のお話を伺うと、「自分らしく」がキーワードだなと教えていただいた気持ちになることもあります。



折り合いについて調べていくと、自分らしくというキーワードに出会えたことは新たな学びになりました。

 


 折り合いの要素

 

文献1では、患者のライフヒストリーから分析し、折り合いには自分と自分以外のものと大別され、さまざまな要素に分けることができたと報告しています。

 

 

自分との折り合い

 

①健康や症状との折り合い

 

②考え方との折り合い

 

③社会的役割との折り合い

 


自分以外との折り合い

 

①他人との折り合い

 

②家族との折り合い

 

③社会との折り合い

 

 

「折り合いをつけること」について学んでいくと、自分との折り合いと自分以外との折り合いと分けられることを初めて知りました。



特に、病気に対する折り合いは、病気が対象ではありますが、自分との折り合いに属することも知りました。



病気がある方で、自分らしく生きることをさまざまな形で発信している方々は、ご自身に対して折り合いをつけていらっしゃたり、折り合いをつけつつあるんだろうと思います。



わたしは、すべてのことに折り合いをつけることが望ましいとは思っていません。



折り合いの付け方がわからなかったり、折り合いの対象に向き合えない時期もあると思います。



わたし自身も、子宮外妊娠と不妊であることについて、10年経過してようやく折り合いがつきつつあると言えると思います。



脳卒中後、一歩踏み出せるために、踏み出したいと思っていらっしゃる方に、わたしができることを考えながら、毎日に臨床に向き合いたいと思っています。


 

引用・参考

1) 村上 満子:精神障害者における折り合いの構造.沖縄県立看護大学紀要第 19 号(2018 年 5 月)

https://www.okinawa-nurs.ac.jp/wp-content/uploads/2019/03/02_mirakami.pdf

 

2) 榎本 博明:高齢者の心理.季刊家計経済研究 2006 SPRING No.70

http://kakeiken.org/journal/jjrhe/70/070_04.pdf

 

 

☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございます .。.:*☆