佐賀住まい・福岡勤務の作業療法士の橋間葵です。
脳卒中後の上肢の機能回復のために、さまざまな要因があります。
さまざまな機能や活動の回復は、ひとつの考えやひとつの方法に縛られているわけではありません。
過去にも、脳の変化に必要なことについてまとめています。↓
また、脳の3つの回復メカニズムについてもまとめています。↓
今回は、「作業療法ガイドライン 脳卒中」にも引用されている、Kleimの2008年の論文から脳卒中後の上肢機能改善に影響を及ぼす10の要因についてご紹介します。
上肢機能改善に影響を及ぼす10の要因
1.手の不使用は機能低下をまねく
手を使わなければ使わないだけ、手を支配する脳部位を使わないことになり、機能低下につながります。
2.手の使用は機能向上を導く
手を使えば使うだけ、手を支配する脳部位を使うことになり、機能の強化につながります。
3.手の使用内容により改善の方向が決まる
トレーニングの内容によって、脳の変化の特徴が決まります。
脳の変化を導くためには、単に手を使うのではなく、運動学習の方法を取り入れていくことが大切です。
4.使用頻度が重要
脳の変化を導くためには、十分な繰り返しが必要です。
5.使用程度が重要
脳の変化を導くためには、十分なトレーニングの強度が必要です。
6.使用時間が重要
脳のダメージの回復には、十分な使用時間が必要です。
7.目標の意味付けをする
トレーニングは、脳の変化を十分に引き出すために目標の意味づけを明確にすることが必要です。
感情が記憶の定着の強さを調節することがわかっています。
また、課題への取り組みを促進するためには、十分な動機付けと注意力が必要です。
8.年齢が影響
トレーニングによる脳の変化は、若いほど起こりやすいと言われています。
9.転移が重要
ある脳の変化が、他の行動の獲得を促すことがあります。
10.干渉も起きる
ある脳の変化が、他の行動の獲得を妨げることがあります。
最後に
Kleimは、要約の中で、以下を述べています。
「 脳の可塑性についての理解が深まっていることから、この知識を活用してリハビリテーションの取り組みを改善し、機能改善を最大化できるのではないかと期待している。」
Kleimが述べるように、知識を活用して、リハビリテーションの取り組みを見直し続けなければならないと常々思っています。
学び続けることが大事ですね。
引用・参考
1) Kleim JA, et al.: Principles of Experience-Dependent Neural Plasticity: Implications for Rehabilitation After Brain Damage. J Speech Lang Hear Res 51 :225–239.
☆*:.。. 最後まで読んでいただきありがとうございました.。.:*☆