体験世界って、なに?
わたしたちは、それぞれ生活していく中で、さまざまな経験をしています。
その経験は、外から見ると同じようなことをしていても、経験する人が異なれば、異なった感情や感じ方をしています。
全くことなるというよりは、少し異なっているといった方がいいかもしれません。
例えば、スケートをしているとき、慣れていない方であれば、「転びそうで怖い」「体重をどこにかけたらいいかわからない」など体験しているでしょう。
スケートに慣れ親しんでいる方であれば、「頬にあたる空気がひんやりして気持ちいい」とか「今日の氷はよくないな」など体験しているかもしれません。
ただ、この体験は、お互いが全くわかり合えないわけではありません。
わたしたちは、健康に生活しているときは、各個人の体験は一定の共通事項があります。
そのおかげで、お互いの経験を想像したり、共感したりすることは難しくありません。
しかし、ひとたび脳卒中などの病気にかかると、患者さん方の体験は変化して、その変化している中で生活をしていくので、さまざまな経験のあり方も変わってしまいます。
そのさまざまな経験のあり方の変化を療法士は、理解する必要があります。
経験する感じが変化することを理解した上で、患者さん方が話されることを傾聴し、どのような声かけを行うと行動が変化するのか学ぶ必要があると思っています。
療法士が、「そこの椅子に座ってください」と患者さんに声をかけたとしても、高次脳機能障がいがある方にとっては、「そこの椅子はどこにあるの?」とか「椅子にどうやったら座れるのだろう」と疑問の感情を体験するかもしれません。
また、麻痺している足のふくらはぎが硬い患者さんであれば、座ろうとしたときに「麻痺の足が硬くなって、ビーンと突っ張ってしまった」など身体の変化を体験している可能性があるでしょう。
このような、患者さん個人の体験は、患者さんが語って初めて周囲の方が気づくことがあります。
患者さん個人の体験を知っていれば、「そこの椅子に座ってください」という声かけの方法が変わるかもしれません。
「体験世界への歩みより」は、医学とは無関係のように思えるかもしれませんが、患者さんの気持ちをくみ取り、療法士との隔たりを少しでも解消するかもしれません。
体験世界のことをリハビリテーションの臨床の中に落とし込みたいわたしは、勉強していく中で、「現象学」や「神経現象学リハビリテーション」という分野を知りました。
「現象学」や「神経現象学リハビリテーション」については、少しずつブログに書いていきたいなと思っています。
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