おはようございます☀


ピアニスト、藤田真央さんの著書「指先から旅をする」を読みました。



2022年から2023年にかけて藤田真央さん自身によって書かれたエッセイと書き下ろし、恩田陸さんとの対談で構成された本です。かなり読み応えがあります。


とても面白かったです。

私はこの本が書かれている期間の藤田真央さんのコンサートに2回行ってました。そのコンサートについて藤田真央さんがどういう意図でプログラムを作ったか、どういう気持ちでコンサートに臨んでいるかが書かれているわけですから面白くないわけありません。会場のピアノへの向き合い方なども興味深かったです。


昨年6月に行ったコンサートです。


こちらのコンサートのアンコールについてのエピソードも本に書いてありました。指揮者のラハフが真央さんの楽屋に訪れアンコールの相談をしていたところ、真央さんが「連弾をしたい。」と申し入れて本番30分前に初見で合わせてドヴォルザークを弾くことになったようです。アンコールの曲が当日、しかも本番30分前に決まるなんて才能豊かな方達のレベルの高い話ですね。


飾り気のない率直な気持ちが書かれ、クスッと笑えるところもあり、文章が真央さんのピアノのように軽やかでとても読みやすかったです。

ヨーロッパでの夏の音楽祭に参加して色々なアーティストと交流した話も楽しく読ませて頂きました。大御所達の素顔を垣間見ることができたような感じがします。

ヴェルビエ音楽祭での創設者であるマーティンの誕生日パーティーの様子が面白かったです。出身国ゆかりの曲を著名なアーティスト達が演奏していったのを遅れて来たピアニスト、プレトニョフがそれら全てを即興でものにして「ハッピーバースデー」変奏曲にしてその場を持っていったそうです。


これらの夏の音楽祭でのエピソードを読んでいると真央さんがベルリンに住み、キャリアを積むことにした理由がわかるような気がしました。