(イラスト:ピンクノイズの少女)
「ロゼッタ(Rosetta)」
初公開年 : 1999年
製作国 : ベルギー/フランス
上映時間 : 93分
監督 : リュック=ピエール・ダルデンヌ 、ジャン=ピエール・ダルデンヌ
1999年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞し、主演のエミリー。ドゥケンヌは女優賞を受賞した作品。
個人的に大好きなダルデンヌ兄弟の作品の中でも特に好きで、思い入れのある作品なのです。
生涯のベスト10にこの映画は入るんじゃないか!?ってくらい好きなのですよ!
トレーラーハウスでアルコール中毒の母親と二人で暮らす少女ロゼッタ。
とにかくお金がなくて、ギリギリのところで生きているロゼッタだったが、ある日職を失ってしまう。
どうしても働きたいロゼッタはあらゆうところで職探しをするがなかなか仕事が見つからない。
行きつけのワッフル屋さんでよーやく仕事をもらい、その店で一緒に働いているリケという青年と仲良くなり、ささやかな幸せな時間を過ごすことができるが、やはりなかなか上手くいかず・・・・・・
といった内容で、ギリギリのところで極貧の生活をしている少女の物語。
とにかく、このロゼッタという少女のたくましく生きる姿がせつない作品。
お金がないから服を売ったり、川で魚をつかまえたりと、たくましく生きている。
このロゼッタの美しいところは
「貧乏だけど施しはうけない!」
「悪いことはしない!」
というポリシーに基づき行動している点だ。
これだけ貧乏ならつい犯罪に手を染めてしまいそうなものだけれど、ロゼッタはこのルールをかたくなに守って生きている。
その理由は物語の中盤。もっともこの物語の中で重要なシーンであるロゼッタんの独白のシーンで判明するのです。
ワッフル屋さんで親しくなった青年リケの家に遊びに行って、一緒にワッフルを食べたり、ダンスをして楽しい時間を過ごし、リケの家に泊まることになる。
リケは紳士なので、別々の部屋で寝ることになり、ロゼッタは1人ベッドの中で自分自身に話しかける。
「ロゼッタ、仕事も見つけた」
「ロゼッタ、友達もできた」
「まっとうに生きる」
と。
もうね。泣きますよ。いま、これ書いてても泣きそうですもん。
そう、ロゼッタはただただまっとうに生きたいだけ。
普通に仕事があって、普通に友達がいる。そんな状態がいかに幸せなことなのかを教えてくれます。
ただ、まっとうに生きたい。でも、それが実は凄く難しいことなんですよね。
そして、物語のラストがもう凄いんです。
ラストについては触れませんが、このラストは様々な映画のラストシーンの中でも個人的には凄く好きなラストです。
物語も凄くおもしろいんですけど、演出もかなりかっこいいんですこの映画。
オープニングのシーンは工場の中を走り回るロゼッタの姿が映し出されるのですが、手持ちカメラの撮影で、もうブレまくり。さらに、カメラとロゼッタの距離がめちゃくちゃ近い!
ほとんど顔しか写ってないから画面の中で一体なにが怒っているのか理解するのにちょっと時間がかかります。
でも、それが臨場感とか、仕事をクビになってしまう!というロゼッタの焦りが凄くうまく表現されている気がします。
全編手持ちカメラでのブレブレの撮影で行われたこの作品なんですけど、後にこの手法が結構一般的になりましたよね。
たとえばこの作品が公開された翌年にカンヌで最高賞を受賞したラース・フォン・トリアアーの「ダンサー・イン・ザ・ダーク」なんかも同じような手法で撮影されています。
演出も、脚本も、演技も全てが素晴らしいこの作品は本当にイチオシですよ!
気になったかたは是非ご覧になっていただきたい!
予告編
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