食べなかったモノも自分を創る？

こんにちは。
あおい堂鍼灸院の今泉です。

前回の記事では蛇行性円形脱毛症の悪化について書きました。それで本日の記事ではどうして一連の流れで悪化したのかを考察する内容を書こうと思ったのですがご来院されている数名の方から『食べなかったものがどうして自分なのだ？』というご質問をいただきました。そこで本日はこの食べなかったモノが自分という意味について書いてみたいと思います。

そしてコレを理解していただくために例のごとく迂回して説明してみたいと思います。

「ぷはぁ～五臓六腑に沁みわたるぜぇ～」という言葉をきっと一度は聞いた事があると思います。ではこの五臓六腑とは何であるか全部言えますか？きっと五臓五腑までは云えるかもしれません。でも六腑めがなかなか出てこないのではないでしょうか。

まずは五臓から答えを書いていくと……

心臓・肝臓・腎臓・脾臓・肺臓の5つです。この五臓（月+蔵）とは「気」を貯める（蔵）ための内臓（月：にくづき）の事です。取り出して（！）切ってみるとお肉が詰まっています。心臓だってそれぞれの肉厚な壁に仕切られてお肉の塊です。肺は肺胞という細かい空洞はありますが切るとみっちりお肉です。このように臓（ぞう）とは「気」を内にしまい込むから内に臓する内臓と呼ばれます（タブン）。

そして次は六腑です。

答えは……

小腸・胆のう・膀胱・胃・大腸・そして三焦（さんしょう）です。こちらは臓と同じように切ってみると全て中がカラなのです。先ほどの臓が「気」をしまい込むのに対してこちらの腑はモノを運搬する働きを持つモノたちなのです。運搬するから中身が詰まっていません。切ると全て輪っかに成ります。

なるほど……でも三焦って聞いたことないよ、何？と思われるかもしれません。

実はこの三焦、名前が有ってモノがないのです。

つまり「無い」のです。

でも名前はある。

そして機能・働きもある。

？？☆▽∂ｉo☆ ゜◎∂:.！！！

因みにこの三焦の機能は全身の水分調整の様なものです。そして手少陽三焦経という六本ある大事な経絡の一つを任されています。

名前はあって、機能もあるが、モノがない。

そんなものあるかーっ東洋医学なんて出鱈目だーっと思うかもしれませんが、このようなものが実は皆さんの身近にも本当にあるのです。

それは「クチ・口・mouth」。

みなさんのクチはどこにありますか？指をさしてみて下さい。

ノンノン

それはきっと「クチビル」です。

クチは空間であってモノではないのです。クチビルはクチを強調させて便利に使用するための付属品にすぎません。身体のクチ以外にも社会には「入口」「出口」「搬入口」など様々なクチがあります。それらに扉やシャッターがついていたとしてもクチビル同様にクチを縁取る装飾にすぎません。

なぜならクチに実体があったらモノを通過させる事が出来ないからです。入口出口に実体があったらそれは「壁」です。出たり入ったりできません。すなわちクチでは無くなります。

このようにクチとは実体をなくすことで代わりに機能を得た稀有な存在なのです。

確か映画『STAR WARS』Episode Ⅳ（一番古いヤツ）だったと思いますがヨーダが滅する時に『身体は失うがこれで無限の力を得た』的な台詞を言っていたと思います。まさにコレ！

なので先ほどの三焦も実体はないけれどクチ同様にバリバリ機能しているのです。

みんなの好きなドーナツの穴も「穴」という実体のない空間がある事によってポップで楽しい雰囲気という機能が備わっています。なのでリングドーナツを食べたら穴の部分も実はいつのまにか食べていて、楽しい雰囲「気」を得ています。実体のない穴を食べたことによりいつの間にか楽しい雰囲気を味わっているのです。

胎児が受精卵から人になる時、細胞増殖するだけではありません。いくつ細胞増殖したらいくつアポトーシス（細胞死：無くす）するかが決まっています。敢えて減らすことをしなければ重篤な状態になります。その設計図こそがDNAだとどこかで勉強したように思います。

減らすことでしか得られないモノもある。

「気」の解釈ではこのような考え方もアリだと思います。

とまぁここまで書いてやっと前回の記事内容に戻れます。

食べなかったモノも自分に成っているとは食べなかった事で食べた時よりも多くの機能を得た可能性に注目してほしいのです。必要な食事量は別として、余計な嗜好品などを食べたら最終的には血に成り肉に成りだったと思いますが、例えばそれにより生活習慣病に成ったり肥満に成ったり不必要な「気」が邪気と化したりするかもしれないのです。しかしそれを食べなかったことによって健康的に動き回れる機能や、かっこいいボディラインを得たりもできるわけです。これらは食べなかったモノが自分を形作ったとも言えるのではないでしょうか。did not eat.desuyo.

昔の縁日で型抜きなんて云う遊びがありましたがアレも周りの切り取るべき部分が最初から存在していなければ遊びが成立しませんし、上手く無くす事、キレイに形を切り出す事によって成功となるわけです。無くす事、食べない事でうまく行く事柄も世間にはあるのです。

とは言えフードロスを推奨しているわけではありません。念の為。

自分が食べる食べないを選択する事の出来る「縁ある食べ物達」と言うモノを仮定します。縁が生じた時点で既に自分の一部だと思います。ただその中でどの位を口に入れてどの位を口に入れないかで身になる分と機能になる分とで分かれていきます。どこをどう取捨選択して切り抜き、自分を形成するか。クッキーの型抜きのように切り取られた部分は自分の実体に、切り取られなかった部分は実体ではなく機能に成ったと想像できます……か？

食べたモノ（陽）だけが自分を形成しているのではなく、食べなかったモノ（陰）も自分を形成している。表の陽と裏の陰の両方を見るべきであるという陰陽論のつもりなのです。

それ故に

You are what you eat & did't eat.

と書きました。

伝わるかな～不安

※本日はブログ初期頃の『見えないけれど、ある。』にかなり加筆した焼き増し的な記事です。当ブログも開始から結構期間が経ったので新規の読者様達に向けて改めて書いた所存です。