こんにちは。

あおい堂鍼灸院の今泉です。

 

前回、前々回のブログでは頭皮の色をテーマに取り上げました。円形脱毛症脱毛部は周囲の健常毛のある部分に比べて赤っぽく見える。しかしそれはAGAでも同様であり、発赤というよりもその人の持つ肌の色に戻っている事が分かった(中には例外もあり)。そして髪の成長の良い部分は頭皮が青白く変化していく事も分かった。またウンナ母斑の様に実際に赤く見える部分は血管腫であり皮下に血液は存在しても血圧との関係から血の流れ、血流は必ずしも良いとは限らない可能性に至った。一方で健康な頭皮の色である青白はチアノーゼ然り、本来はいわゆる血色の悪い色が青白なのである。血色の悪い色なのに髪の健康が保たれているのは何故なのか。

……と、前回はここで終わりました。

 

 

早速続きです。

円形脱毛症について様々な事を話していると、特に女性の方に多いのですが髪をまとめた時の太さの事をお話に成る方が多くいらっしゃいます。最近まとめた髪の太さが細くなってきた……、とお話を伺うと悲しくなる一方で、太くなってきたと聞くと本当にうれしいものです。やっぱり毛量の変化によってまとめた髪の太さは細くもなれば太くもなります。見事に太くなってきた時には気持ち的にも少し余裕が生まれてきます。

 

そうです。髪の本数が増えれば太さが増すのです。一般的にまとめた髪の太さは毛先や中間の太さしか注目されない事が多いのです。

 

えっ、何が言いたいのかって?

 

そうです。髪(毛束)の根元の太さにも注目してみて欲しいのです。

私は不思議に思う事があります。例え全頭脱毛に成っても、全頭に髪が生えそろってもお顔を構成する目や鼻の位置関係は変わらないのです。ジェジェ

髪の毛一本一本の太さはおよそ0.08ミリです。そして教科書的には髪は全頭で10万本あるとされます。いくら0.08ミリと言っても10万本もあればかなりの幅をとります。

 

突然ですが船の大きさを表す表現の話です。全長や全幅などもありますが、船の大きさを表す特徴的なものとして排水量と言う言葉があります。これは水を満タンに満たしたプールに船を浮かべた時、どの位の水があふれるかを表しています。つまりどの程度の水を押しのけるのかが船の大きさを表すのに使われているのです。

これと同様に髪が無くなってしまった頭皮に10万本の髪が存在すると頭皮は四方八方に押し広げられるのではないでしょうか。ソウ オモイマセンカ?

 

しかし、実際に髪が抜けた後、生えた後にお顔の位置関係は変化を起こした感じはしません。証拠としてはウィッグをつけると元のお顔のままです。ではこの髪が作り出す『幅』はどこへ行ったのでしょうか。またこの幅は頭皮にどの様な影響を及ぼすのか。この辺を少し考えてみましょう。

 

仮に髪の毛10万本が1本だったら何処くらいの太さに成るのでしょうか。計算してみましょう。太さを求めるのですから髪の毛の断面の面積を求めてみましょう。

えっ……と円の面積は半径×半径×円周率3.14です。『πr²』ですね。久々に思い出しました(笑)

髪1本の直径が0.08ミリですから半径は0.04ミリ。

0.04ミリ×0.04ミリ×3.14=0.005024平方ミリ

これを10万本ですから10万倍すると

502.4平方ミリ

センチに換算して凡そ50平方センチと言ったところでしょうか。

この10万本の断面積から毛束の太さ(直径)を出すには逆に3.14で割った数の平方根……

10万本は直径凡そ8センチの毛束です!

 

一方で頭皮の表面積はどのくらいなのでしょうか?

かなり雑ですが頭を球体として見て、髪の有る部分はその半分として見ます。

ざっとですが……

56センチが日本人平均頭囲です。

円周から半径を求めるのですから

2πr=56センチとして

半径r=56÷3.14÷2かな。

そうすると8.917……、球体として見た時の頭の半径は8.9センチとしましょう。
球体の表面積は
S=4πr²  オボエテ イナイナァ……
頭の表面積=4×3.14×8.9×8.9ですね。

すると994.8776なので995としましょう。

球体として見た場合、髪のある部分はその半分として2で割ります。

そうすると髪の有る部分の頭皮面積は497、およそ500平方センチです。

これに対して先に求めた10万本の髪の断面積は50平方センチでしたので、頭皮面積に対する髪の占める面積は凡そ10%となります。フゥ~

体重などでもそうですが全身で僅か1~2kg太っただけでも顎のラインが変わったりしますね。全身に分散しても大きく変化するのに頭頂だけにその10%もの面積を占める物を新たに埋め込んだらどうなる事でしょうか。足して110%です。密です!ブルドッグの様に顔の全てが下に弛んでしまう恐れがあります。

でも、この10%の面積、髪があっても無くてもその存在の影響を出さないのです。これは毛穴周辺の組織が緩い結合組織であることが伺えます。ある程度の圧により皮膚が動くが何処までも動くわけでもない。例えば腕をつねってゴム人間の様に腕の裏側までつねった場所が回るわけではないようなものです。例えるならば毛穴一つ一つが柔らかい植木鉢に入っているようなものです。

やわらかいので膨らみますがどこまでも膨らむわけではないので顔に影響が出るようなことは無いのです。ただし毛穴と毛穴の間は密な状態が作られます。

この毛穴と毛穴の間の『密』についてですが、毛穴と毛穴の間には毛細血管が存在します。そして周囲の毛穴から圧をかけられますので毛細血管が押しつぶされそうになります。頭皮の青白さを考える際に私はここが大切に思えるのです。

 

ここでまた私の趣味としてのバイクからの知識です。今のバイクや車は皆インジェクションという燃料噴射装置が付いていると思いますが、私が乗っていたようなバイクにはキャブレーターという装置がありました。これは流体の流れる断面積を狭めると流体の速度が増すベンチュリー効果という物理法則を使った燃料供給装置です。前回のブログでもつまんだホースから出る水は速く遠くにまで飛んでいくと言う記述をしました。それと同じです。髪の幅で四方八方から圧をかけられた毛細血管は結果として中を流れる血流の速度が増す(ベンチュリー効果)。血流の速度が増せば周囲の細胞に不断なく必要かつ十分な酸素や栄養を供給できる可能性があります。当ブログのどこかで書いた記憶がありますが抗がん剤の標的に成ってしまう程に髪の代謝速度は身体の中でも非常に速いものです。それだけ毛根の必要とする酸素や栄養は多く必要であると考えられます。そもそも毛細血管は非常に細く赤血球が1つずつ列んで通るのがやっとの太さです。そこをのんびりと血液が流れていては毛根周辺の細胞が酸欠になってもおかしくありません。当然代謝が遅くなります。髪が伸びません過去記事:その長さはいつからですか?参照の事。この髪の成長遅滞を解消するためには素早い血液供給が一番であると思います。素早い血液供給は血流速度が速くなければ実現できません。その為にはベンチュリー効果の実現が求められます。その時、髪の『幅』による周囲の毛根への圧が必要な条件となるのではないでしょうか。同時に細くなった毛細血管は血流速度は速くなりましたが細いために毛細血管内に存在している血液量は減少します。圧が強すぎても血流が遮断されてダメ、ゆるゆるでも良くない、プラス10%程度の圧のかけ方こそが髪の成長にとって絶妙な加減なのかも知れませんね。

 

思い出してみると髪の成長が良い部分は青白い皮膚の色でしたね。『青白い頭皮』は血液が少ない&髪の成長(代謝)が良い部分。この二つを同時に満たすのは毛細血管のベンチュリー効果と思われます。

ベンチュリー効果と前回出てきた脈動効果、この二つが毛細血管内でしっかりと発揮されて初めて髪の持続可能な成長が見込めるのかもしれません。

 

 

円形脱毛症でも一か所の脱毛部のすぐ隣や近隣に連発して発症する事があります。このケースなどもひょっとすると周辺を栄養する責任血管またはそこから伸びる毛細血管網のどこかに血流の滞りがある事が原因という可能性にも注意します。発症したばかりの脱毛部及び周辺に刺絡(しらく:ごく少量の出血をさせる鍼法)を施すと脱毛部の拡大を防げる場合があります(これが案外多いのです)。本来刺絡は悪血(おけつ:循環から外れた古い血)を取り去り、気の流れを取り戻す目的で行われますが、これなども出血(刺絡)させることによって血流の滞りを解消させているのが視点を変えた刺絡の影響なのかもしれません。
 

こうなると円形脱毛症の原因の数ある内の一つとして、やはり血流の停滞が挙げられそうです。この場合は単発、ある一定のライン上(蛇行性も含む)、または一定の部位に連発して生じる円形脱毛症をまずは疑いたいと思います。発赤(肌色に成る:血流が滞った)して抜け始めて、停滞して(虚血状態が続く)、頭皮が赤いまま産毛が生えだし(血流が少し改善:脈動効果が回復)、髪が成長しだすと青白くなる(ベンチュリー効果も回復)といったシナリオも現実と思えます。この場合は責任血管となる細動脈や近辺の毛細血管の血圧に注目する必要があると思われます。
 

 

再び血余についてですが、東洋医学の基となる東洋思想は『易(えき:変化の法則)』であり、陰陽論です。陰陽論では陰陽和合が最高です。これを血余(血が豊かである事)に当てはめてみます。物質である「血液」量(陰:血)物質ではなくて「働き」である血流(陽:気)の二つ、つまり気血が塩梅よく存在することを陰陽和合の現れとしの『血余』と医学古典は言っているのかな?と改めて思うのでした。

過去記事で肝血虚が一番多い円形脱毛症の体質と書きました。東洋医学的には青色は「肝」、白は皮毛(ひもう:皮膚の事)を司る「肺」、血流は統血(とうけつ:血脈)を司る「脾」、脈(みゃく:血流)を司る「心」、そして髪質は「腎」、のそれぞれが少しづつ髪の健康に関わるのです。青白い頭皮とはこれら五臓の働きの集大成であると思います。脾と心が巧く働くと肝の状態も良くなり(頭皮が青くなる)、更には皮毛の状態も良くなり白(肺の色は白で、尚且透明感も関与)くなる。周りのサポートをしっかりと受けたうえで腎の華、髪が美しく栄えるのでしょう。



 

どうですか、長くなってしまいましたが

楽しめましたでしょうか?

良ければ参考にしてみてください。

 

 

 

追記:本当に長くなってすみません。

もっと簡単な例えができないか考えていたら、ありました!

海です!砂浜です!

湿った砂浜を歩く時、踏み出した足の周りの水がスゥ~ッと引きますね。足を髪、砂を頭皮、海水を血だと思ってみてくださるともっと感覚的にも良く分かるかも知れませんよ?!

 

また過去記事の『仮説として』では自己免疫を免れるような物質が代謝をしている毛根からは出ているという仮説を立てましたが、この説もまだ捨ててはいません。参考までに読んでみて欲しいです。

 

 

 

 

 

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