今回の私の失敗談は『糖質制限』についてです。
私が糖質制限をしたことで体にデメリットが生じたものとして
- 徹底的に糖質をゼロにしようとしてエネルギー不足
- 筋肉がなくなった
- 脳が縮んだ
- 睡眠障害
- 栄養不足で肌が黄色くなった
- お腹のトラブルが多くなった
の6つが挙げられるのですが、前回の『ダイエット失敗談②-1』で上から数えて4つまではお話ししていますので、
今回は
『栄養不足で肌が黄色くなった』
『お腹のトラブルが多くなった』
の2点について書いていきたいと思います。
【肌が黄色くなった】
これは私自身も家族も、日常で過ごしている限りではあまり自覚症状などはなかったのですが、いつの日か学校で集合写真を撮った時に気づいたものです。
よくメイクをする方は馴染みがあるであろう『イエベ』『ブルべ』といった言葉があるように、もともと黄色みがかった肌だったのであれば問題はないのですが、
今回の場合はそういったレベルを超えて明らかに同級生の肌より黄色く、変に目立ってしまっていたほどでした。
当時はそれを主治医に相談することはなかったのですが、いま体について勉強すると、
どうも糖質を極端に制限しすぎたことが原因の危険な症状だったようだというのが分かってきました。
ではなぜ糖質を制限しすぎると肌が黄色くなるのでしょうか?
それは、痩せている状態での『脂肪肝』、正式には『低栄養性脂肪肝』というもので、簡単に言うと肝臓がフォアグラ状態になって機能が弱まっているからです。
『脂肪肝』というと“肥満の人がなるもの”というイメージを持っている方も多くいらっしゃるとは思うのですが、実は極端な食事制限でも起こってしまうんですね。
そのメカニズムを説明するとかなり小難しいお話になってしまうので詳しくは割愛しますが、大枠を説明すると以下のような流れになります。
人間のガソリンである糖質が入ってこない。(=食事による血糖値上昇が殆ど起こらない)
↓
体が『飢餓状態だ』と判断。全身に生きるためのエネルギーを運ぶべく、脂肪や筋肉を削って作り出したものを燃料として肝臓へ運び、糖質の代わりを作ってもらう。それらがエネルギー源として血液に流れる。(=血糖値が上がる)
↓
脂肪を分解するときに出る“脂肪酸”と呼ばれる脂肪も一緒に血液に流れ、血液中の濃度が上がる。
(糖質を制限すればするほど脂肪の分解は増えて、この時の脂肪酸の量も増えます)
↓
肝臓に脂肪が溜まりやすくなる。
代謝が落ちて少しの食事量でも体に貯めこもうとする(脂肪がつきやすくなる)。
というような流れになります。
また、血糖値が多くなりすぎたり代謝が落ちたりするということは、血糖値のコントロールがうまくいかなくなるということにも繋がるので、
『脂肪肝』同様、痩せていても『糖尿病』になるリスクが高まり、糖尿病はさらに脂肪肝の症状を進行させてしまう原因になります。
最初に『私自身、自覚症状がなかった』と書きましたが、
その言葉のとおり、肝臓は感覚的に感じられるほどの症状が出にくい臓器とされていて、脂肪肝の状態では自覚症状は現れません。
進行すると肝臓が硬くなってくるので(肝硬変)それに伴って『倦怠感』『疲労感』『肝性脳症(昏睡状態・意識障害)』や『腹水(お腹に水が溜まること)』『黄疸(肌や白目が黄色くなること)』などが起こるようになります。
特に『倦怠感』や『疲労感』に関しては、エネルギー不足やうつ症状などで常に感じているので、なおさら気づけたものではないです。
そのため、いざ『黄疸』の症状が出ていたとしても
私自身は “別に何ともないから大丈夫”と思い込んでおり、なかなか危機感を感じられていなかったのが実際のところでした。
しかし今となれば『黄疸』が出るほどに肝臓の状態が悪くなっていたのであれば、かなり危険な状態にあったと判断ができます。
先ほど『脂肪肝』が進行すると『肝硬変』となり様々な辛い症状が現れはじめるというお話をしましたが、さらに進行した先には『肝がん』という重篤な病気に発展することもあります。
つまり、ここまでの話をまとめると
糖質制限をして肝臓に脂肪が溜まり易くなることによって肝臓が弱り、肝機能が低下。代謝も落ち、肥満になりやすい体質に。
↓
本来肝臓で分解(処理)されるはずの黄色い色素をもった成分(ちなみにこれを“ビリルビン”と言います)が十分に処理できなくなる
↓
血液中にビリルビンがどんどん溜まっていき、肌が黄色く見える(=黄疸)
↓
さらに進行すると脂肪肝が進み、長期的な疾病につながる可能性も高まる危険な状態。
というデメリットが生じた、ということです。
そうならないためには、肝臓に負担のかからないように生活習慣を整える必要があり、
その基本として“食事の栄養バランスを整えること”つまり、
“主食も含めたバランスの良い食事を摂ること”が重要になってくるのです。
【お腹のトラブルが多くなった】
私がガリガリにやせていても、ふと自分を鏡で見た時や食事を食べた後に『太った』と感じていたのは、お腹が出ていたからです。
とはいえ、この状況でお腹が出ているのはお腹に脂肪がついているからというわけではありません。
事実、当時の私の体型は標準体重をはるかに下回っており、お腹以外の部分は痩せこけ、骨ばった状態でした。
ではなぜ痩せているのにお腹が出るのでしょうか?
その理由は、以下の2点が考えられます。
- 胃下垂
→筋肉量やお腹周りの脂肪の量が減っていることから内臓を支えきれず、内臓が下に垂れ下がった状態。消化不良の原因にもなります。
- お腹が張る
→長期間食事を極端に制限すると消化機能が落ち、胃腸がうまく活動してくれなくなっていく・腸内細菌(善玉菌)のエサが入ってこないことで腸内環境が悪くなっている・食物繊維の摂りすぎでガスが溜まる……等が原因。
前者の場合は体に筋肉や脂肪がついていないことが原因ですが、後者の場合は今回の主題である『炭水化物』および『糖質』が大きく関わってくる問題です。
なぜなら、『炭水化物』はエネルギー源の役割だけでなく、腸内環境を整える効果もあるからです。
しかし私は当時『炭水化物』というものに大きな誤解をしていたため、
かたくなに炭水化物を制限した結果、お腹のトラブルが多くなり、
いつまでも自分が太っているように感じたり、食べた後の不安(「食べたから太った!」「こんなお腹で外出できない!」等)の要因になってしまっていたりしていました。
また、その不安が下剤乱用につながって(張ったお腹を対処しようとする)
腸機能の低下をさらに悪化させてしまう・代謝が落ちて余計に脂肪をためやすい体を作る、という悪循環で本末転倒な結果にも陥ってしまいました。
私が当時考えていた『炭水化物』とは、主に主食や砂糖などに含まれる『糖質』のことを指していました。
だから私は「炭水化物を食べたら太るんだ」と考え、徹底的に『炭水化物』と言われる食材を減らしたり、成分表の『炭水化物』の欄の数字が低い商品を選んだりしました。
丁度その時期に
『糖質制限ダイエット』
『現代人は炭水化物を摂りすぎている!』
などという炭水化物は悪者だという主張のダイエットが流行っていたこともあり、インターネットやSNSを中心に情報を集めていた私はどんどん『炭水化物』への抵抗が強くなっていきます。
もしかしたら、今この記事を読んでくださっている方々も『炭水化物』と称されるものに抵抗のある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし実際は『炭水化物』には『糖質』以外にもいろいろな種類があり、それらひとつひとつが人にとって重要な役割を果たしています。
簡単に説明すると
『炭水化物』とは『食物繊維』と『糖質』を総称するもので、
このうち『食物繊維』が腸の働きを良くするために働き、『糖質』がエネルギー源と腸内菌(善玉菌)のエサになります。
『食物繊維』とは、主に野菜やキノコ・海藻類に多く含まれるものですね。
きっと“食物繊維だったら安心して食べられる”というような考えを持っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、先ほども書きましたが『食物繊維』の摂りすぎもお腹の張りの原因になってしまいます。※
その理由は、“野菜=低カロリー”というイメージがあるように、人間は食物繊維を消化できない(エネルギーにならない)ので消化に時間がかかり、
そのぶん分解するときのガスも多く発生してしまうからです。
どんなものもそうですが、「たくさん食べればそれで良い」というわけではないんですね。
※適正量であれば腸内の働きを良くする効果が期待できます。
こうして考えると、
『炭水化物(+脂っこいもの)でなければ、食べたいだけ食べてOK』というネット記事にあった『炭水化物制限ダイエット』の方法を採用していた私は、
- 糖質を極限まで制限していた
- サラダを中心とした食物繊維だらけの食事が多かった
というような食生活が原因で、腸内環境はかなり悪かったと予測できますよね。
さらにいえば私は主食を摂らない分、おかずでお腹を膨らませようとしていたので、必然的に『脂質』『タンパク質』の量が多くなっていたのですが、
それがまた私の腸内環境を悪化させていた原因になっていたという事実も学校で勉強する中で判明したことです。
なぜなら『脂質』や『タンパク質』の量が過剰になると余計に腸内の悪玉菌やガスが溜まる原因になってしまうことが明らかになっているからです。
腸内環境が悪くなった末には『大腸がん』などのリスクもあります。
それに、摂食障害の症状からの視点や理想の体型を目指していた自分としても
お腹が張ることは精神衛生上よろしくなかったし、腸内環境が悪くなって脂肪が溜まり易い体になるのは私が最も望んでいなかったことのはずですから、本当に的外れのことを一生懸命していたことになりますよね。
そうならないためにも、ここでもやはり“主食を含めたバランスの良い食事”を心掛ける必要があり、それが最も効率的かつ長期的に見てもメリットになる方法だということが分かりました。
【“糖質制限ダイエット”の背景とは】
糖質が悪者にされがちな現代ですが、その背景の一つには
“現代病”と言われる『生活習慣病』『糖尿病』『メタボリックシンドローム』等々、偏った食事(栄養素を摂りすぎていること)が原因で罹患してしまう人の増加があると私は捉えています。
事実、学校の授業内でも日本の食事の偏りによる生活習慣病の増加問題を扱うことがあります。
しかしそれは摂りすぎていることが問題なのであって、『糖質』『炭水化物』が問題なのではありません。
それがいつの間にか『糖質』や『炭水化物』等の栄養素の方が悪者になってしまう。
そのことを利用して極端な捉え方をした情報を流し、ビジネスに発展させる。
昔から人々の『ダイエット』に対しての関心は強いですが、
私はそれらのもとになる情報の根幹にあるものが
“見えなくなっていく” “見せないようにする” “見ようとしないで判断する”
そのこと自体に注目すべきであり、現代の大きな問題の一つだと考えています。
しかし現代では、もうその風潮を今すぐなんとかできるようなレベルではなくなってしまっているというのも現状だと思います。
だからこそ、個々人が情報を取捨選択する能力をつけることが大きなこの問題を改善していく第一歩になる。
具体的に言うと
目の前に情報が差し出されたときに
- どうしてそのような結論に至るのか考えられる可能性を探る (その結論に至るまでの根拠や主張するもののメカニズム、発信者の背景等)
- 情報が対象としている人は誰か(=誰に向けて発信しているのか)
- 話題の問題としている点はどこなのか
- 自分の求めているものと情報の最終地点は一致しているか
などを注意深く確認する癖をつけることが、自分の身を守り、今回のような失敗を起こさない対策になるのではないかと私は考えています。
【おまけ】
糖質制限のお話をしたので、この機会に少し私の糖質恐怖症克服についての進捗状況をご報告させてください!
プロフィールにもあるように、病院を卒業してからも糖質恐怖症が色濃く残っていた私ですが、
実は大学に入ってから、それを解決すべく『定期的に糖質を食べる』という目標をもって過ごしてきました。
(2か月に1回、1か月に1回、1週間に1回、1日に1回……と段階を踏む且つ、「できたらいいな」というくらいの心持ちで無理なくステップアップしてきております!)
結果、最近は糖質に対する恐怖心がだいぶ薄くなっている実感があり、
外食の時はあまり糖質やカロリーを気にせずに人との食事やお茶の時間を楽しめるようになっただけでなく、
家でも一日1食~2食はごはん・パンなどの主食や芋類などを食べられるようになりました。
人の家に行った時にもおやつが出たら喜んで食べることができるし、
仕事や学校でもらったお菓子をその場で楽しみ、食べた後でも後悔して過度に気持ちが落ち込むことも殆どなくなりました。
こうして糖質恐怖症が徐々に改善していっているのは
そのような主食を食べるようになった生活でも体型に大きく変化を感じなかった且つ、主食やおやつを食べられる方が人間関係や自分の心の健康の満足度が高くなる実感を得たことがかなり大きいように思います。
未だに家で夜ごはんに主食を食べる事には抵抗があるし、
家で割と安心して食べられるものが『お米』『おかゆ』『ベーグル』『糖質オフのパン』『芋』※など、自分が許容できるものの範囲内でしか食べられない、などはまだ残っているので、そこを気にせずに“食べたいものを食べたいときに食べる”ことができれば理想です。
※ここにあげたものが「良い食材」であるというわけではなく、あくまで私の自分ルール内の食材たちなので誤解無きようにお願いします。
また自分の食に関する課題としては、『3食必ず食べる』『時間になったら食べる』という自分ルールに縛られている節はまだありますし、
『食べられなかったら残す、という選択』や『食べない選択』を選ぶことがまだ苦手で、いまだに無理に食べてしまったときに気持ちが乱れることがあるので、そこもまたこれから改善できたらいいなあと思っています。
現時点で寛解※とは言っていますが、このように私自身も食についての課題は残っているので、皆さんと一緒に試行錯誤しながら問題に向き合っていくことができたら嬉しいです。
※寛解(かんかい):
病気が完全に治った(=治癒)とはいえないものの、病気の症状や検査異常が消失し、日常に支障が出ていない状態。このまま治癒となる可能性もあるが、再発の可能性もある。
以上、ご報告でした!
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