前々回のブログ(情報とヘルスリテラシー②)では、ネットリテラシー・ヘルスリテラシーについてのお話をしましたが、
そういう私も溢れんばかりの情報に振り回されてきた者の一人で、それが摂食障害につながってしまった大きな原因の一つでした。
近年では『食』という観点から健康を考える雰囲気が少しずつ出てきた感じもありますが、まだまだ『食育』の存在感は薄いように思います。
勉強することも、食育としてしっかり教わるなどという経験もなかったために、間違った選択ばかりをしてしまう。
『知らない』というだけで、命の危険を伴ってしまったり笑えるはずの時間を失ってしまったりする。
自信が持てると思って駆け抜けた先は、摂食障害という生き地獄。
ただみんな自分を好きになりたかっただけなのに、可愛く(かっこよく)なりたかっただけなのに、そんな結末になってしまうのは悲しいですよね。
情報に翻弄されて健康を害してしまうということは、細菌やウイルスや怪我などとは違って本来なら全く経験せずに済むはずのものです。
しかし、"『早くて楽で単純』に欲しいものを手に入れたい"という欲求は、例えそれが間違っているとわかっていても、そちらを選んでしまうほど強烈です。
しかし前回にも書きましたが、『早くて楽で単純』に手に入れられたものはそれ相応のものが多いのが大半で、欲しいもののハードルが高くなればなるほど、それを手に入れるための努力やお金や時間が必要になってきてしまいます。
それにも関わらず、多くの人が情報を得るネットの世界では圧倒的に『早くて楽で単純』な方法を伝授する記事や、最初から答えが書いてあるかのように思える記事が多く、逆にデメリットや失敗談を発信している記事が少ない。
だから自分で考えるステップを無意識に省略してしまうし、信じたい情報ばかりを見てしまうのだと思います。
皆さんには是非、本当にこの選択が自分にとって有益なものなのか、自分の目標に近づける方法なのかをよく考える癖をつけて欲しいです。
だから今回はタイトルにある通り、私の失敗(=心身ともに良くなかった)エピソードを交えながら、
実際に私が試してきた様々なダイエット法の『失敗する理由』『誇張表現されているポイント』についてお話します。
またその中で、私が勉強して得た『論理的な思考』としての情報も簡単にですがシェアできたら良いなと思います。
私が行ってきた所謂『ダイエット法』は大きく分けて
- カロリー制限
- 脂質制限
- 糖質制限
- 燃焼スープダイエット
- フルーツダイエット
- 脂肪燃焼・成分ブロック系サプリメントの摂取
- 6(=18)時以降断食ダイエット
- チートデイ
の8つで、そしてこれらすべてが『極端なダイエット(減量)方法』だといえます。
今回はその中でも『カロリー制限』『脂質制限』の2つに関してのお話です。
【カロリー制限】
皆さんは、自分が一日に何kcalのエネルギーを含んだ食事をしたら丁度良いのかご存じでしょうか?
また、商品を選ぶときエネルギー表示(kcal)を見る方は多いと思うのですが、ご自分としては何kcalであれば許容範囲で、その理由を説明できる方はどの位いらっしゃるでしょうか?
『基礎代謝』と『1日のエネルギー摂取基準』
少し体型を気にしている方であれば一度は見たことのある言葉かと思いますが、これらを簡単に説明すると
『基礎代謝』というのは、
自分がじっと安静にしている状態でも消費されるエネルギー量のことで、呼吸を行ったり、体温を維持したり、心臓などの臓器を動かしたりなどの自分が意識せずとも自動で稼働し消費されるエネルギー量のことを指します。
対して『1日のエネルギー摂取基準』とは、
人々が健康の維持増進をするためにその量を取ることが望ましいと考えられるエネルギー量を指しており、これは性別や年齢・その人が1日にどれくらい動くかによって区分されています。
また、それらの数値は体が健康な(何らかの疾患やその予備軍である状態ではなく、体型が標準値内である)人のデータをもとに作った数値をもとにしています。
いきなり私がなぜこのような話をするのかというと、
まず私が行った減量方法がカロリー制限であり、そのために基準にしたのがこれら2つの数値だったからです。
私は始め、オーソドックスにカロリー制限をすることで体重を減らそうと試みました。
しかし、まず自分が1日に何kcal摂ってよいものか見当もつきません。
そこでインターネットで調べたところ、この二つの単語を知りました。
見てきたサイトの中には自分の身長や年齢などを入れるだけで自動計算してくれるサイトもあり、それらを使って私が一体どのくらいの『基礎代謝量』『1日のエネルギー摂取基準』であるのかというものを計算したわけですが、
次にどの数値以下であれば自分は減量することができるのかについて全く分かりませんでした。
そこで注目したのが『基礎代謝量』です。
どういうことかというと、
当時の私は「生きるために必要な1日に必要最低限のエネルギー量」なのであれば、それ以上取らなければ痩せることができる、と考え付いたのです。
結論から言うと、その考え方は大いに間違っており、とても危険を伴うやり方になってしまいます。
その理由として、『基礎代謝量』に関しては、私が最初に説明した中にもあるように、
これはあくまで“安静にしているとき”の“内臓などを動かすため(=必要最低限生きるため)の”エネルギー量だからです。
つまり、ただ寝たきりで生きているのではなく、通勤・通学をし、仕事をしたり、部活をしたり、遊びに行ったり、こうして文章を読んだり……
普段いろいろな活動をする私たちにとっては、その活動分のエネルギーを取る必要があり、それが摂取できない場合はエネルギーが不足している状態といえるでしょう。
また『1日のエネルギー摂取基準』に関してはこれもまたあくまで“基準値”であるため、
同じ年齢・性別・活動状態だったとしても、人によって体質や生活習慣などの様々な影響によって微妙に変わってきます。
本当に自分がこのエネルギー量(kcal)で足りているのか不足しているのか、については食べてみて(長期的に考えたとき)どう体型が変化するかを確かめなければわかりません。
つまり、もし自分の身長や年齢によって求めた『食事摂取基準』だったとしても、
それは“絶対にこれ以上食べたら食べすぎ”と断定できる訳ではなく、『大体の基準としてこれくらいとっておくと良いかもしれない値』と捉えておく必要があったのです。
そのうえで、明らかに自分が『エネルギーが有り余っているな』という食事量であったのなら、その数字に近づけられるように食生活を整える必要があるし、
エネルギー摂取量的には問題はなかったけれど、もう少し引き締まった体になりたいというのなら、その数値を維持しつつ、今度は運動や筋トレで体を絞っていく作業をしなければ栄養不足になって様々な支障が出てきてしまいます。
しかし私の場合「この数値を絶対守らなければ太る」という極端な捉え方をしてしまい、毎日3食全て緻密な栄養計算をして管理していました。
また、それを記録することによって
摂取エネルギー(kcal)=基礎代謝量(kcal)になるか、それ以下でないといけないという自分ルールがいつの間にか出来上がってしまっていました。
ではカロリーを気にしてしまうときはどうすればいいのかと言うと、一つの私の提案としては
あくまで一つの基準として一度自分の『1日のエネルギー摂取基準』を計算してみて、1食の大体の摂取エネルギー量を把握してみることをお勧めします。
ちなみに、1日のエネルギー摂取基準は厚生労働省が『日本人の栄養素摂取基準2020』( https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf) として3年に一回のペースで更新したものを発表しているので、それを基準に考えていただければ良いかと思います。
表示されているのは1日のエネルギー摂取量なので、
1食どのくらい食べれば適正なのかな?というのは、自分が該当する数値を3(3食分)で割ってくださいね。
そして次の3つは特に数字に囚われやすい私が意識している事なのですが、
- 栄養表示がないものは具体的な数字を計算しない
→代わりに“お皿に乗る分だけ食べる”などで管理
- 栄養表示は気にしても良いが、端数は四捨五入でざっくり計算する
Ex)289kcal+47kcal+127kcal+108kcal = 290kcal+50kcal+130kcal+110kcal = 約580kcal弱
- 1日単位で考えるのではなく、1週間単位で考える
→摂取基準を超えた日があってもほかの日を少し軽くするなどで代用。ゼロにしない。
などのポイントがあります。
これで私は一日中数字と食べ物のことで頭がいっぱいになったり、誰かとの食事の時間を楽しむことができなかったり、ほかの作業に集中できなかったりすることが殆どなくなりました。
カロリーを気にすることが悪とは言いませんが、前提として『余ったら脂肪になる』意識よりも『動くためのエネルギー源』であるという意識を強く持っていて欲しいなと思います。
【脂質制限】
「脂質はカロリーが高いから」「脂質って油っぽい感じで太りそうだから」と悪者にされることが多いですが、脂質が人の身体にどのように使われているかをご存じでしょうか?
私は減量を始めた当時、脂質がどんな働きをしてくれるのかなどは知らないまま、ただ「脂」と言う字から悪いイメージを抱いたり脂質を悪く書いている記事に影響を受けたりして、脂質を摂る事にかなり抵抗を持つようになっていました。
具体的に言うと、食事に使う油を殆どゼロにしようとしたり、肉の脂身をすべて切り取ったり、肉魚の油の少ない部位を調べてから食べたりして、極度の脂質制限を行っていました。
母に食事を作ってもらう時も「オリーブオイルを小さじ1まで」などと言って母を疑いながら食事を作ってもらっていましたし、それが日常になってしまうと母もストレスとなり、それに比例するようにすれ違いも多くなりました。
また、私自身も自分が料理しないものに関しては「この料理はどのくらい油を使っているのだろうか」という部分が気になってしまい、食事を十分に楽しむことはできませんでした。
確かに、3大栄養素と言われる『炭水化物・脂質・タンパク質』の中で唯一エネルギー(kcal)が高いものが脂質なので、
油や肉魚など脂質を多く含むもののエネルギー(kcal)が高めであるのは事実です。
しかし、脂質は体を作ってくれたり(肌がカサカサにならないのは脂質のおかげ)、内臓を守ってくれたり、体温を温存してくれたり……
私たちが健康的で生き生きとした活動を送るために必須な栄養素です。
エネルギー源以外にも様々な使われ方をするので、食べたものがすべて体脂肪に変わるという事はありません。
そもそも三大栄養素とは、人が生きる上で必須と考えられている栄養素3つのことを指しているため、脂質は悪者どころか、もともとは生きていくための味方になってくれるものなのです。
とはいえ、油が気になってしまうのは致し方ない事だと思います。
そこで私が意識しているのは、気を遣うものを“量”ではなく“質”に変えるという事です。
例えば、
- 体に良い脂質を豊富に含むと言われるオリーブオイルやアマニ油を使う
- 古い油は使わない
- 肉より魚を多めにとる
などです。
ゼロにするのではなく、量や質を整える。
どの栄養素にも言える事ですが、特に悪者にされがちでカロリーも高めな脂質に関しては、その意識を持っておくことが食に振り回されないポイントなのかなと私は考えます。
またこれは余談ですが、私が今まで勘違いしていたことがあって、
それが何かというと
『油に長い時間浸していると(つまりは長い時間揚げていると)その分だけ油を吸ってカロリーが高くなる』という事です。
だから、長い間揚げているとその分だけ多く吸ってしまう=長い間油に入れておかないと中まで火が通らない揚げ物は食べられない、と考えていました。
しかし揚げ物の栄養計算をするときに『揚げ時間』と言うものは考慮しません。
それは何故かと言うと、食品が油を吸える量は決まっていて、長い時間揚げようが短い時間で揚げようが、油が吸着する量はさほど変わりがない(一瞬、油にくぐらせるなど極端に短い場合や、油を切っていなくて表面に多く付着している場合を除く)からです。
そのため、調理法にこだわるあまり食べられるものの範囲を狭めてしまうのは勿体ないなと改めて思います。
【今日のまとめ】
今回は「エネルギー」「脂質」ということで、減量において真っ先に「悪者」扱いにされる者たちの実際に関してお話ししました。
自己解釈やイメージ、説明不足の情報源を拾ってしまうことによって本来の役割や意味を知らずに“排除”しようとすると、結果的に体に思わぬ不調が出てきてしまうことになってしまいます。
『代謝の良い体になりたい』『元気に過ごしたい』『ぴちぴちな肌でいたい』
などなど、今まで「悪者」だと思ってた者たちが実は私たちの欲しいものを作ってくれる味方であることを認識していただけたのなら幸いです。
次回は昨今注目されがちな『糖質』についてのお話になります。
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