クロヤギ頭の読まず買い -9ページ目

クロヤギ頭の読まず買い

ちまちまと進まない読書をしつつ、本を買うのは止められない。

こんなに買っていつ読むん?と自分に一人ツッコミを入れつつ日々を暮らす不良主婦の読書(購入)記録ブログ

すべての美しい馬 (ハヤカワepi文庫)/コーマック マッカーシー
(2001)
¥987
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読んでも読んでも尽きせぬ数多の本の中で、日常の何気ない情景を数ページ描いて人を魅了することのできる作家がどれほどいるでしょうか。

間違いなくそんな作家の一人と思わせる書き出し。

何を今更といわれる方も多いでしょうが、いまだこんな名作を読んでいないという不幸はこれから読むことができるという幸せでもある、そんな気持ちにさせてくれる作品でした。

☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆

戦争とそれだけではない何かで人生を変えてしまった父親と、違う街で女優として暮らす母親。

祖父の葬儀の前に正式に両親は離婚し、彼の生まれ育ったテキサスの牧場は人手に渡ることになる。

少年の名はジョン・グレイディ・コール。

世紀の変わり目からここに住み、彼と赤ん坊だった彼の母親の世話をしてくれた"祖母ちゃん"とその娘のルイサとアルトゥーロと、彼の愛する馬たちとの別れ。

16歳で自分の居場所を失くした彼は親友のロリンズと愛馬(レッドボウ)と共にメキシコを目指して旅立つ。

途中ジミー・ブレヴィンズと名乗る素晴らしい馬に乗る少年と合流するが、嵐に遭い雷を怖れたジミーは銃と馬を失くし、やがてメキシコの町で見つけたその馬を奪い返して逃走する。

ラ・プリシマ・コンセプシオン農場で牧童として働くことになったグレイディとロリンズ。

グレイディは野生馬の調教の腕を牧場主に買われるが、一方で許されぬ仲と知りながら黒い馬を自在に駆る牧場主の娘・アレハンドラと恋に落ちる。

やがて、アレハンドラを愛する大叔母から彼女との交際を諦めるように穏やかに諭されたグレイディとロリンズには予想外の苦難が待ち受けていた…。

☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆

独特の文体のレトリックを駆使した美しい文章で綴られるひとつひとつの情景が心に沁みいるように読み進めるうちに、いつしかどっぷりと作品の世界に魅入られ、気がつけはラストにたどり着いていました。

時に暴力と死の伴う物語の中、グレイディがアレハンドラにプロポーズをしにいく道中のトラックの荷台で彼の新しい服を見た旅の道連れとの短いやり取りとその描写や、アレハンドラと待ち合わせたサカテカスの駅に向かう途中でであった子どもたちとの愛らしい会話には、切ないながらも愛しささえ覚えます。

次世代に残したい本のリストに加えていただきたい名作ではないでしょうか。

多くを失くした彼の向かう場所はどこなのか。

人の居場所とは、そこがどこなのか、ではなく、そこに何があり、誰がいるのか、自分が何をするのか、とだと思うのですが、少年のいる場所には必ず馬がいることでしょう。

これだけ完成度の高い作品だと続編を読みたいような、読みたくないような気持ちにさせられてしまいますね。

平原の町 (ハヤカワepi文庫)/コーマック マッカーシー

¥1,113
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風は悽愴 (徳間文庫)/西村 寿行
(2004)
¥580
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これは、かなり前にWEB本の雑誌で犬の登場する小説の名作といった感じで紹介されていて買った本だったはず。

このタイトルなので、優しい雰囲気の動物小説と思って読む人もないでしょうが、数ページでいきなり押し込み強盗が質屋の嫁と娘を強姦するシーン。

えっ、これっておじさま好みの時代小説だったの?と思いましたが…さてさて。

☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆

大正9年、かつては一匹狼の押し込み強盗だったが、三年前から女と見れば強姦する凶悪犯・安と秋と組み首領として犯行を重ねていた"疾風の徳造"は、人質の縛めを弛めた上、大金を持って逃走する。

過去に苦い因縁があり世捨て人となった義弟の勧めで破れ寺に身を寄せた徳造こと竹緒は、山歩きのうちに母を亡くした一匹の奇妙な野犬の子を拾う。

成り行きから肉や魚しか食べず野武士のように鈍重に見えるゴロと、雑食で公達のような紀州犬のシロの二匹を合わせて育てることになった徳造は、ゴロを飼い始めて以来、買付けの度に他の犬に狂ったように吠えつかれる。

警察と安と秋の双方に追われる身の危険を感じ、ゴロの食糧の調達もままならぬことに心を悩ませていたが、自ら鹿を狩るゴロを見て訣別の時を悟る。

やがて日本狼の最後の生き残りが紙面を騒がせるようになり、凄腕の猟師・源蔵から追われる身となったゴロを助けるために源蔵とゴロを追う徳造は、警察と安と秋の双方に発見されたものの逃走するが、大失態を演じた静岡警察の志乃夫警部から命がけで追われる身となる…。

☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆

読み終えてみれば、心に闇を抱える三人の男が間接にも直接にも日本狼の生き残りを巡って命がけの闘いを繰り広げる辛口のハードボイルド。

そうすることでしか生きられない逃げ場のない男たちと、孤独な狩りと追手からの逃亡を続けながら北へ向かうゴロの姿がそれぞれ重なり合います。

余韻を残すラストをでき過ぎと読むか、必然と読むか?なんてことは少し思ったりもしますが、これぞ大人の男のための動物小説ではないでしょうか。
4月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3578ページ

これだけしか読めなかった理由の大半は『1421ー中国が新大陸を発見した年』にてこずったことでしょうか。
5月はもうちょっと色々読みたいもんだ。



サムソンの犯罪 (創元推理文庫)サムソンの犯罪 (創元推理文庫)
バー<三番館>シリーズの2作目。心和む昭和の香りのハードボイルドタッチの本格ミステリ。甘党にもおススメ。
読了日:04月30日 著者:鮎川 哲也
一人のための正義 (ミステリアス・プレス文庫)一人のための正義 (ミステリアス・プレス文庫)
選り抜きの元警察官で洒落者のタフガイが兄の復讐のためニューヨークの深夜の街で派手に立ち回るシンプルかつストレートなアクションミステリ。助っ人のポーニの存在はアクション小説の王道でしょう。
読了日:04月28日 著者:ジョン クラークスン
人形の部屋 (ミステリ・フロンティア)人形の部屋 (ミステリ・フロンティア)
どこか北村薫を彷彿とさせるような作風。主夫ならぬ家主を自称する父親と娘を軸にした日常の謎ともいえぬ謎を巡る連作短編。「歩く百科事典」とも「電源のいらない検索サイト」ともいわれる主人公の蘊蓄と人の心の機微の織りなす物語が楽しみどころなんだろうし、その類は嫌いじゃないはずなのに、この手放しで好きといえない微妙な感触は何でしょうね。要は凝りすぎ?この著者はきっと曲者だと思うわ。
読了日:04月24日 著者:門井 慶喜
ライオンとであった少女ライオンとであった少女
イギリスとタンザニアに住む二人の少女に訪れたのは偶然か運命か。いつまでもこんな物語に心揺さぶられる大人でいたいと心からそう思う1冊。
読了日:04月21日 著者:バーリー・ドハーティ
1421―中国が新大陸を発見した年1421―中国が新大陸を発見した年
読み終えて正直やっと小説が読めるとホッとしましたが、この永楽帝や鄭和の艦隊を題材にした歴史小説ならまた是非読んでみたい。
読了日:04月20日 著者:ギャヴィン メンジーズ
君のためなら千回でも(下巻) (ハヤカワepi文庫)君のためなら千回でも(下巻) (ハヤカワepi文庫)
誰もが敬愛する裕福で勇敢な父と、暴力を恐れ物語を愛する息子。父の愛を得ることを何よりも望んだアミールは、誰よりも彼に忠誠をちかった友人に汚名を着せてしまう。やがて月日は流れ、アメリカで暮らす彼に神が与えた贖罪のチャンスは試練でもあった、、、物語の裏にはフィクションではないアフガニスタンの歴史が感じられ、平和な国で純粋に物語として楽しんだことにいくらか居心地の悪さを感じてしまった。
読了日:04月07日 著者:カーレド・ホッセイニ
君のためなら千回でも(上巻) (ハヤカワepi文庫)君のためなら千回でも(上巻) (ハヤカワepi文庫)
読了日:04月07日 著者:カーレド・ホッセイニ
λに歯がない λ HAS NO TEETH (講談社文庫)λに歯がない λ HAS NO TEETH (講談社文庫)
このシリーズは"F"以来の飛び入りで人間模様が私にはかなり不透明だが、制振構造や免震構造といった一般人にも馴染みのある建築の話が素人にもわかっておもしろい。意外なお楽しみはプロ棋士・瀬川晶司の「文系棋士の解説」。
読了日:04月06日 著者:森 博嗣
シャーロック・ホームズ四人目の賢者―クリスマスの依頼人〈2〉シャーロック・ホームズ四人目の賢者―クリスマスの依頼人〈2〉
日本人でも知ってる有名人が続々登場。その有名人の名前のアナグラムやら、あの名作との二重のパスティーシュになってたり、真面目なパロディとしてかなり楽しい。
読了日:04月04日 著者:ピーター ラヴゼイ
口中医桂助事件帖 南天うさぎ口中医桂助事件帖 南天うさぎ
江戸の歯医者や歯磨き事情ほか乳製品の在り方などの風俗を含め気楽に楽しめるシリーズ。主人公が爽やか。
読了日:04月04日 著者:和田 はつ子

読書メーター
サムソンの犯罪 (創元推理文庫)/鮎川 哲也
(2003)
¥819
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サマンサさんの記事 を読んで、バーを舞台にしたミステリーという話題から積んであったこれを思い出して読んでみました。
<三番館>シリーズの2作目。


かつてインタビューでハードボイルドを、読んだことがないし、読みたいとも思わないと断言したという著者ですが、どこか海外のそういった作品に通じる雰囲気を持つ探偵が活躍?するこのシリーズ。


暴力沙汰で警察を退職し、妻にも逃げられた酒好き女好きで食道楽の"わたし"が語り手ながら、実際の安楽椅子探偵役はバー・三番館の達磨のような容貌ながら涼しげな眼差しのバーテンダー。


肥満漢で暑がりの弁護士から事件が持ち込まれ、足で聞き込みを重ねた"わたし"が、思いあぐねて<三番館>を訪ね、憑きものが落ちたように心が軽くなるというお決まりのパターンの繰り返しに、不思議と心和む連作です。


トリックもさることながら、やはりお楽しみは毎度登場する弁護士と極甘党の警部、また常に控え目なバーテンダーと常連客といった人々と"わたし"の掛け合い。


調査中は甘いカクテルしか飲まない(しかしながら一気に半ダース注文する)という"わたし"が1作目ではギムレットを愛飲していたものが、今回はバイオレットフィーズに鞍替えした事情、著者のペンネームの由来などなど、解説やあとがきも楽しい。


「分身」に登場する女性が、終戦の頃に生まれて三十過ぎという話なので、時代としては昭和五十年代でしょうか。


現代の科学力なら到底成り立たないトリックもあるものの、昭和の香りの芬芬たる本格ミステリ好きなら安心して楽しめるシリーズだと思います。


しばらくバーミステリーに凝ってみてもいいかなぁ。


次は東直己のススキノ探偵シリーズあたり?


中国屏風/割れた電球/菊香る/屍衣を着たドンホァン/走れ俊平/分身/サムソンの犯罪


一人のための正義 (ミステリアス・プレス文庫)/ジョン クラークスン
(1993 真野 明裕 訳)
¥775
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選り抜きの元警察官で洒落者のタフガイ、ジャック・デヴリンがニューヨークの深夜の街を舞台に活躍するシンプルかつストレートなアクションミステリ。


☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


ロサンジェルスの"警備会社"<パシフィック・リム>で調査員として働くジャックは、敬愛する父の葬儀の夜、妻と3人の子どもと仲睦まじく暮らす兄のジョージと飲み明かすはずだったが、3軒目のアイリッシュ・バーで出逢った金髪美女・ダリルと意気投合し、3人の男とダーツをしていたジョージに出張用の部屋の鍵を預けて別れる


翌朝戻ってみると兄の行方は知れず、やがて意識不明の重体で病院に運び込まれていたことがわかる。


兄の足どりをたどるうち、明け方から営業する深夜クラブの存在が浮かび上がり、ジャックは持てる自分の力とコネクションと金の全てを兄の報復に注ぎ込むが…。


☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


大男同士の銃撃戦というよりは肉弾戦やら、美女二人の確執やら、警察上部と違法クラブの癒着やら、最初に書いた通りわかりやすいことこの上ない話ですが、嫌いじゃない。


助っ人の合気道の達人ジェイムズ・ポーニの存在なんてアクション小説の王道じゃないかと思います。


文章に余韻とか雰囲気とか期待しないで読むにはいいですね。


もっとも古本市で見つけた絶版本なので、あまり遭遇することもないと思いますが。


こちらも絶版のようです。


無法地帯 (ミステリアス・プレス文庫)/ジョン クラークスン

¥795
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