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クロヤギ頭の読まず買い

ちまちまと進まない読書をしつつ、本を買うのは止められない。

こんなに買っていつ読むん?と自分に一人ツッコミを入れつつ日々を暮らす不良主婦の読書(購入)記録ブログ

弥勒 (講談社文庫)/篠田 節子
(2001)
¥960
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『ゴサインタン』『聖域』 など、人が生きることの根源に関わるテーマを読む人を倦ませない圧倒的な迫力を持って描き、それぞれ信仰や宗教の問題にも深く関わってくる大作ですが、これはまた他の2作を凌ぐ凄絶な内容の作品でした。


☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


ヒマラヤの小国・パスキム。


仏教とヒンドゥー教の融合した建築や工芸品などの美しさは他に類を見ない。


人々の生活様式や姿形は独自の美意識を保ち、年若い国王、イシェ・サーカルの善政のもとに守られ、首都カターの街は豊かに潤っている。


またその独自の文化を保護するため、カター以外の地域への外国人の立ち入りは禁じられている。


新聞社の文化事業担当である永岡は、美に対する感覚と自らの美しさを武器に数々のカタカナの肩書を持って活躍する妻の髪飾りが、パスキムから不正に持ち出されたと思われる仏像の宝冠の一部であることに気付く。


その出所から以前訪れその芸術に魅せられたカターの政変を知り、パスキムを日本で紹介することで文化財を保護しようと美術展を企画するが頓挫、他国との国交を完全に断絶されたパスキムに単身潜入する。


小国の政変情報は報道されず捨てられていく中、わずかな情報から想像していたことと現実の相違を、人の途絶え、美術品の破壊されたカターの街と僧侶の大量虐殺死体を前に永岡は思い知る。


唯一残されていた秘宝の弥勒像を持ち出した永岡は、やがて革命軍に捕えられ、彼らの理想のもとに村人たちと同じく過酷な労働を強いられるのだが…


☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


永岡やカターの住人が当初虐待と感じた労働や食事内容は、実はパスキムの山間民にはこく普通の生活であり、王政下のカターの繁栄はその民からの搾取によって成り立っていたことがわかります。


このような王政を否定した革命派は全ての人間が平等な社会を理想として一切の異分子や旧体制の遺物を許さず、宗教やそれに関わる仏像だけでなく娼婦や加工食品、医薬品までもを否定し、その改革を断行するのだが、その結果は…


パスキムは架空の国であるが、この政変はカンボジアのポル・ポト政権下の大量虐殺や、中国の文化大革命をモデルにしているといいます。


篠田ファンならこの凄絶さも物語として楽しめると思いますが…万人にお薦めするのは少々躊躇する作品ではあります。

メイの天使/メルヴィン バージェス
(1997 石田 善彦 訳)
¥1,470
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☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


両親の離婚にやり場のない気持ちを抱えた少年・タムは、自分だけの秘密の場所、丘のふもとにある廃屋となった農場に向かう。


そこで出会った人なっつっこい犬と崩れかけた暖炉の中で束の間に見た少女は、犬に飼い主のように呼びかけ、タムを見つめていた。


やがて、浮浪者の老女"ロージー"と彼女の飼い犬のように従うウィニーと同じ場所に入ったタムは気がつくと、見慣れた丘のふもとの堆肥の匂いのする農場に立っていた。


そこは戦時下のコールデイルの町。


ソウト・イット農場の農夫、ミスター・ナッターに匿われ、暖炉で見た少女・メイと共に過ごした三日の後、家に戻ったタムは、やがて農場に起こった出来事を知り、再びあの暖炉へ…

☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


イギリスのYA小説。


過去のコールデイルへの入り口は衣装ダンスならぬ廃屋の崩れかけた暖炉。


子ども向けの単にわくわくする物語とはまた別の恐怖や嫌悪といったマイナスの感情を伴う緊迫した雰囲気で物語は進んでいくが…


カーネギー賞受賞&候補の作品は大人でも楽しめる作品が多いなぁ。

これも私の好きな作品。


肩胛骨は翼のなごり (創元推理文庫)/デイヴィッド アーモンド

\735

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運命の剣 のきばしら (PHP文庫)/中村 隆資
(1999)
¥720
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敢えて銘を刻まず/中村 隆資


犬死将軍/鳴海 丈


利休燈籠斬り/火坂 雅志


あかね転生/宮部 みゆき


斬奸刀/安部 龍太郎


明治烈婦剣/宮本 昌孝


残欠/東郷 隆


リレー小説の逸品。


鎌倉時代に鍛えられ"のきばしら"と名付けられたひと振りの備前の名刀を巡り、「敢えて銘を刻まず」で生まれた刀の来し方を踏まえ、終戦前から戦後を描いた「残欠」に至るまで、時代を追って書かれた短篇集。


この"のきばしら"の由来に伴う刀鍛冶の矜持を描いた「敢えて銘を刻まず」、会津若松の武士の娘に生まれながら、戊辰戦争で官軍相手に父親が戦死した後に生まれ、余計者と疎まれつつ家族の非業の死を見送った娘の気丈な闘いを描いた「明治烈婦剣」、学士中尉である叔父からこの刀を軍刀として託された近衛工兵少尉の終戦前後を描いた「残欠」なんか、特にいいですねぇ


この刀に関わる人それぞれの生きざまを描きながら、彼らの生きた時代を、短い枚数で鮮やかに切り取った歴史小説でもあります。


誉めてばっかじゃ参考にならん?

春の数えかた (新潮文庫)/日高 敏隆
¥420
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私は子どもの頃から頭の中身があまり成長していないので、本の好みもほとんどそのまま。


読書は常に現実から異世界への楽しい旅!


こうして冒険物語やファンタジーを愛するおばちゃんになったのですが、大人になってひとつだけ変化があるとすれば、時にはエッセイも読むようになったことでしょうか。


それでもやはり、すぐ手が伸びるのは小説の方で、優しげなタイトルと表紙に惹かれてこの本を買ったのは去年の春だったような…


その後もnanikaさんのところで他の作品の紹介記事 などを見ながら、ようやく今年の春の足音を聞いて開いてみました。


著者は1990年代の半ばから彦根にある滋賀県立大学の学長をされていた動物行動学の先生。


湖l国の東南で生まれ、湖畔で高校、京都市中で大学生活を送った私には、比良比叡の山並、鴨川河畔などの懐かしい風景に自然科学の視点からの考察を加えた描写は、知らない風景や光景を想像して読むのとはまた別の感慨があります。


「なぜ大きい生き物は数が少ないのか?」


「なぜ同じ種類の植物は同じくらいの高さに花を咲かせるのか?」


そんな疑問を持つことすら忘れ、道々の花や木の小さな変化に気づかずに足早に通り過ぎる日々を過ごしてしまうことの多い中、ああ、なるほど!と読むことを楽しみながら納得できる話ばかり。


昆虫や鳥や木といった各地の生き物の話だけではなく、日本のスリッパ文化についての話などもあり、これに触れた解説の椎名節もまた楽し。


単行本の表紙もこれまた素敵♪


私たち人間が自然はいいなぁ、長閑だなぁと暢気に眺めるとしても、生き物はみなそれぞれ生きるために日々闘っている、そんなことを忘れずに生きていたいもの。


春の数えかた/日高 敏隆

¥1,365
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オーロラの向こう側 (ハヤカワ・ミステリ文庫)/オーサ・ラーソン
(2008 松下 祥子 様)
¥987
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ボルチモアに自ら行動する女性探偵、テス・モナハンがいれば、キールナには女性弁護士、レベッカ・マーティソンがいるぞ!

スウェーデン推理作家アカデミーの最優秀新人賞受賞作で、2作目は同じく最優秀長篇賞を獲得したそうですが、以前goldiusさんの買う本リストで見かけて(作品の記事はこちら )、便乗して買ってみました。


著者自身も弁護士の経歴を持ち、この作品の舞台となるスウェーデンの北の町・キールナの生まれだとか。


☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


スウェーデンの首都で働くワーカホリック気味の弁護士、レベッカ・マーティンソン。


早朝のオフィスで故郷の美しい教会で起きた無残な殺害事件のニュースを見た彼女は色を失う。


ヴィクトール・ストランドゴード。


レベッカが彼の姉で、親友だったサンナとともによく知る宗教家で、<我らが力の源>教会の実力者。


弟の死体の発見者であるサンナからの電話を受けたレベッカは、上司のモーンスの嫌味を受け流し、気づけば自身もその教会との因縁の残るキールナの町に向かっていた…。


十代で信仰に目覚め、母親になったサンナは、不安定な精神状態と美しく幼げな容姿で、いつも誰かの助けを必要としながら乞わずしてそれを得る女性。


税金が専門のはずのレベッカも、つい放っておけずにサンナを守ってマスコミの矢面に立ち、弁護士生命を危険にさらし、子どもたちの世話に加えて彼女の弁護まで引き受ける羽目になるのだが…。


☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


妊娠中で内勤のはずが、この事件で助っ人に駆り出された馬面?の女性警部。


膀胱が圧迫されていつもトイレの心配をしていると思えば、情緒不安定に陥って泣きながら家事をしていたり。


人間味あふれる愛すべき女性の活躍する反面、男性にモテるタイプの見本のような女性が、最後にはものすご~くムカつくヤツに思えてくる。


というか、教会関係者はいいとこなし。(あ、もちろん物語の中のね。)


こういう女性ならではの部分を描きつつ、女らしいというより人間臭いヒロインのミステリはシリーズで読みたくなりますね。