クロヤギ頭の読まず買い -12ページ目

クロヤギ頭の読まず買い

ちまちまと進まない読書をしつつ、本を買うのは止められない。

こんなに買っていつ読むん?と自分に一人ツッコミを入れつつ日々を暮らす不良主婦の読書(購入)記録ブログ

翡翠の眼 (ランダムハウス講談社文庫 リ 3-1)/ダイアン ウェイ リャン
(2008 羽地 和世 訳)
¥893
Amazon.co.jp

これはどこで知ったんだか忘れてしまいましたが、あ~、俺もしくは私、最近記事にしたのに!って方がいたらお許しをばm(__)m


☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


主人公は理不尽な理由から不名誉な辞職を余儀なくされた元中国国家警察公安部員・王梅(ワン・メイ)。


中国では禁止されている私立探偵を表向きは情報コンサルタント業として開業しているが、忠実で有能な助手・顧平(グーピン)に助けられ、順調に依頼を受けている。


文化大革命の折に作家の父とともに一時期を強制収容所で暮らし、母の尽力で幼い梅だけは出ることができたものの、その後家族は二度と父に会うことはなかった。


母の玲白(リンバイ)は、北京一といわれる美人で才媛、万事にそつがなく、成功した実業家の李寧(リーニン)と結婚したばかりの心理学者の妹・慮(ルー)がお気に入りで、父に似て理想主義で立ち回りの下手な梅とは口論が絶えない。


梅はといえば、他の女性と結婚した雅萍(ヤーピン)への想いを忘れられずにいる。


そんな折、母の古い友人で梅の大好きなおじさん・陳(チェン)が、文化大革命の混乱時に消失した曹操の翡翠の印章の行方を探し出し、香港への流出を防いで欲しいという依頼を持ち込むが…。


☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


梅は派手な立ち回りを演じるワケでもなく、ミステリーとしてもあっさり。


しかしながら、過去から現在にいたる家族との確執や過ぎたはずの恋、スキャンダルに好奇の目を向ける世間に心悩ませるアラサー中国人女性探偵が中国で活躍するシリーズというだけでも、一読の価値はあるのではないでしょうか。


チャイナタウンは別にして、中国人が探偵役で活躍する中国のミステリーといえば、あの古いポケミスのシリーズしか思い浮かびません。


もっと開拓せねば。


真珠の首飾り (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)/ロバート ファン・ヒューリック

¥945
Amazon.co.jp


ソロモンの犬 (文春文庫)/道尾 秀介
(2010.3)
¥610
Amazon.co.jp

☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


「一度、ちゃんと話し合うべきなのかもしれない」「この中に、人殺しがいるのかいないのか」


秋内静はいわゆるオクテな大学生。


自転車便のバイト代はロードバイクのメンテに消える貧乏学生だが、ボーイッシュな魅力の智佳と、自分のことをあまり話さないモテ男・京也、京也の彼女で智佳とは好対照の女性らしいひろ子の4人でなんだかんだと楽しい学生生活を送っている。


そんなある日、離婚した美人教授の息子で彼らの小さな友人・陽介が、4人の目の前で交通事故に遭い、命を落とす。


小さな主人に忠実なはずの飼い犬が急に道路に飛び出し、手に巻きつけたリードに引きずられたのが原因らしい。


そのやりきれない事件に納得できないものを感じた秋内は、"オービー"の行動の理由と処遇を、近くに住む動物生態学の専門家である一風変わった助教授・間宮に相談するのだが…。


☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


主人公の内心ドタバタの恋愛模様と、動物天国の主か僕か?といった風情の助教授&超がつくほど気の若い祖父にテンネンな母親というユニークな脇役陣の活躍で、滑稽さが魅力の青春ミステリーかと思いきや、何気ないそこここの一行にきっちり仕掛けが仕込まれている。


何より人の心の陰の部分や、理屈で割り切れない何かをわざとらしくなく描くのが上手い人だなぁ、この人は。


騙されて楽しい本は大好き。


今年は1冊はこの人の本を読もうと思ってたので、とりあえず自分の中のノルマはクリアですが…でも、多分またそのうち読むと思います。


万人に愛されるミステリーの見本みたいな好い作品ではないでしょうか。

紙魚家崩壊 九つの謎 (講談社文庫)/北村 薫
(2010.3)
¥520
Amazon.co.jp

小説の内容がハッピーエンドか、ハートウォーミングか…そんな内容には関係なく、面白い本を読んでいると幸せになります。


これは、そんなミステリ短編9つを集めた短編集。


☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


心臓の弱い父の購読する雑誌で目に留った求人広告から健康食品の販売会社で働き始めたばかりのOL・美咲が、アイスクリームを買いに立ち寄ったコンビニで手にしたコミック誌。


その中に店長に似たカットを見つけたことから、美咲の時間が少しずつ狂い初め…「溶けていく」。


お互いに恋する右手と左手を持つ女性がアシスタントをする名探偵が関わる三十七番目と三十八番目の事件。


紙魚一二三という書物収集狂と、その片割れとなるべくして生まれたような名前を持つ妻の暮らす家で、名探偵への儀礼として用意されたのは密室殺人とダイイングメッセージの二つの数式。「紙魚家崩壊」


ミステリ作家の隠れ家的老人ホーム≪幻の園≫で名探偵の見届けた謎の明かされない密室殺人。「死と密室」


もうすぐ"おばあちゃん"になる妻が夫に語る甘酸っぱい想い出話。「白い朝」


園芸雑誌でキノコの記事を担当する千春をめぐる微笑ましい日常の謎?二つ。「サイコロ、コロコロ」「おにぎり、ぎりぎり」


ひょんな偶然から夕食をともにすることになった男と妻の知人である女性の"一期一会"。「蝶」


深夜の麻雀明け、いつもの通勤路線のターミナル駅から始発に乗った俺の知らない"日常"。「俺の席」


一字違いで大違いな『アリとキリギリス』と、≪おばあさん殺人事件≫こと『カチカチ山』の真実…北村版「新釈おとぎ話」


☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


少しずつ常軌を逸していくOLや、少し場所と時間をずらしただけで見えてくる自分の知らない日常を描いた怖~い話から、なんだかエロティックな右手と左手を持つ女性の語る名探偵に挑む犯人の物語、おもわず頬のゆるむような日常の謎やどこか切なげな偶然に、痛快愉快な北村版ミステリおとぎ話…と、どこかのタレントじゃないけど「物語の宝石箱や~!」といいたくなる(笑)


宝石というとちょっと違うかな、人の手で磨かれた勾玉や眺めて微笑ましい細工物に和紙や千代紙できた精緻な折り紙、そんなあれこれを詰め込んだ短編集って感じでしょうか。


J・D・カーの『三つの棺』で有名なあの台詞も登場します(って私はまだ積んだままなんですが)。

今まで北村さんの作品は偏ったシリーズの作品しか読んでこなかったけれど、こんな短編集ならもっと読みたい。


北村ファンの皆さま、またおススメあればおせーて下さいませ。


三つの棺 (ハヤカワ・ミステリ文庫 カ 2-3)/ジョン・ディクスン・カー

¥714
Amazon.co.jp
二壜の調味料 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)/ロード ダンセイニ
(2009 小林 晋 訳)
¥1,470
Amazon.co.jp

古典的なファンタジィや本書のように"奇妙な味"と評される作品が得意で、旧版の≪異色作家短篇集≫に収められた「災いを交換する店」という短篇が江戸川乱歩のお気に入りだったという作家らしい。


新版の≪異色作家短篇集≫はそのうち読む読むといいながら、スタンリイ・エリンの『特別料理』 とフレドリック・ブラウン『さあ、気ちがいになりなさい』 しか読んでないという醜態ですが、ホントにそのうち全部読みます。


旧版から唯一復活していないのが、「災いを交換する店」を収めた巻『壜づめの女房』らしいんですけども…


26篇のうち、9つがオクスフォード流の物腰を身に付けた年若い紳士・リンリーと、肉や塩味料理にかける調味料ナムヌモの訪問販売商人・スメザーズの登場する連作短篇。


リンリーがホームズ、スメザーズがワトスン役で、実際にホームズの名前も作中に登場、彼らの宿敵はモリアーティならぬスティーガーという男。


スティーガーの事件以降、スコットランド・ヤードのアルトン警部が何かにつけ、スメザーズの呼ぶところの"リンリーさん"と彼の住むフラットを訪れては、事件を持ち込んでくる、という筋書きで、一口にいえば失踪した妻や、突然死した男など、奇妙な殺害方法の殺人事件を集めた素人探偵モノ。


このシリーズはつまらなくもないが、続けて読むと多少飽きる。


でもこの調味料"ナムヌモ"は印象に残るなあ、肉料理はわかるにしろ、塩味料理ってナニ?って感じで(笑)


海賊に憧れた少年たちの受けた鮮やかなしっぺ返しが愉快な「ラウンド・ポンドの海賊」や、老刑事がある男の泥棒稼業から恐喝者へ意外な転身をした事件の顛末を語る「死番虫」など、他の単作の方が目先も変わって楽しい。


ただし、半分はホラだかホラーだかわからないような話って雰囲気を背負っているようで、まともに考えればありえない殺害方法の数々。


そうそう、「新しい名人」というチェス機械の話は、チェス・アンソロジーの『モーフィー時計の午前零時』 のジーン・ウルフの作品と比べて読んでみても面白いと思った。


本格推理好きにはあまりおススメいたしませんが、これはこれでまぁ楽しかったかな。

臨床真理 (上) (宝島社文庫 C ゆ 1-1)/柚月 裕子
¥460
Amazon.co.jp

臨床真理 (下) (宝島社文庫 C ゆ 1-2)/柚月 裕子
(2010.3)
¥460
Amazon.co.jp

"共感覚"という言葉と10万人に1人とも2万人に1人とも2千人に1人ともいわれるその感覚を持つ人々の存在について知ったのはかつてお薦めいただいて『マンゴーのいた場所』というYA小説を読んだ時のこと。


マンゴーのいた場所/ウェンディ マス

¥1,365

Amazon.co.jp


本屋で物色していた時にこの『臨床真理』もその共感覚が題材にされているというので、興味を持って読んでみたのですが…

このミスの審査で同時受賞の『屋上ミサイル』を推す大森望ほかの審査員と意見が二分されたというのも頷ける微妙な感触の作品でした。


第二作の原稿がもう上がっていてそれが素晴らしいという茶木解説を信じて、期待したいもの。


『屋上ミサイル』もそうですが、このボリュームで上下巻にする必要ってあるのかしら?


☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


主人公は過去に心を病んだ弟を亡くした辛い経験を持つ新米女性臨床心理士・佐久間美帆。


上司の高城に初めて担当を任された患者は、以前にいた養護施設・至誠学園で結婚を誓った失語症の少女・彩が手首を切り、病院に搬送途中の救急車の中で死亡した時に同乗していた施設の責任者・安藤を刺し、その事件で救急車が横転、救急救命士にも重軽傷を負わせたという20歳の青年・司。


人の言葉に色が見え、それでその言葉の真偽が分かるという司の心を開くために、彼を信じ、過去の事件の真相を知るしかないと考えた美帆は、同級生で警察官の栗原の協力を得て、彩の自殺した背景を調べ始める。


やがて、至誠学園から東郷製作所という特定の企業への就職が目立って多いことに不審を抱き、至誠学園の女生徒が定期的に安藤と外出することを知った美帆は…。


☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆


障害者の性や就職ほか実社会の抱えるシリアスな問題を扱いながらも、「煽情的なウケねらい」などの批判もあったという問題のクライマックスシーンなど、女性作者にもかかわらず官能小説か?と思うほど。


これはちょっと引く人も多いかもなあ。


共感覚について興味があるって人は、解説に挙げられてるような他の本を読んだ方がよさそう。


私はそのうちこの辺を読んでみようと思いますが。


レッド・ボイス (ハヤカワ・ノヴェルズ)/T.ジェファーソン パーカー

¥2,100
Amazon.co.jp

ぼくには数字が風景に見える/D. タメット

¥1,785
Amazon.co.jp