フライを張る力 |  青行燈

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  本業絵描き。モデルと役者をしております。
  数学の家庭教師とハウスキーパーのお仕事は指名のあった日に。
  23歳大学生の息子と二人暮し。
  必要なものは自分で作ってしまう方。
  日本酒、食器、手拭い、妖怪、恐竜、昆虫、お花好き。
  

昨日の続きです。

上がるしかない、もう戻れません。

陽が暮れますと滑落死の危険が御座いますので、絶対に日暮れまでには登り切ります。

 

前回が13:30に着けましたので、なんとかなりますでしょう。

 

末弟に体力のないことを茶化されながら、動画も残して登って参ります。

 

ほっとする広い場所は、落石の危険がある為、休憩出来ません。

 

両脇を彩る七竈。

七竈の林でふざける弟を撮影する余裕くらいは御座います。

 

 

14:00、遂に涸沢到着です。

 

ヒュッテの旗が見えてから、何度も休憩をしました為、多くの方に「どこから来たの?」とお声を頂きました。

私は慣れぬもので住まいの方を答えましたが、山での質問は「どこの登山口から登ってきたの?」という意味なのですね。

早朝バスの方は既に登り切っている筈ですので、こんな時間に上がって来る人はどこかの山から渡って来た人間だというご判断のようで、そういった意味で訊かれておりました模様。

 

二人目のご質問からは、河童橋の方からと応えられました。

恐らくそれはこの時間の答えとしましては恥ずかしいものだったでしょうけれども、いいえ、速く登らねばならぬ決まりも御座いません。

まだこんなにも陽の高い内に登れて、テントも張ることが出来ますので、何の問題も御座いませんよ。

 

紅葉は4割程度ですが、空も山も緑も岩場のお色も目の覚める程に大変美しいです。

 

お客様はベストシーズンの為か、前回と比べまして多く、私のテント許可証が227番でしたので、230張り程あるのでしょう。

ヒュッテから小屋まで伸びている、岩を平坦に揃えられた細い道の近くはもう空地が御座いませんでしたので、ごろごろとした岩場を遠くまで歩いてテントを張りました。

どのテントが自身のものが分からなくなりますので、今回も目印のハロウィンお化けのガーランドです。

 

テントがしんなり見えますのは、私に余力がなくフライを張る前に弟がヒュッテへお誘い下さいましたからです。

取り敢えずはピーカンのこの時間、雨の心配が御座いせんのでこの侭ヒュッテへ参ります。

 

前回は余裕で座れましたが、空席を少し待ちました。

 

今回も末弟と生ビールで乾杯です。

厳しい行軍でしたが、この景色です。

全て吹き飛びますね。

おでんと、今回新商品の“涸あげ”を頂き、弟と目を合わせて取り出します。

弟は赤ワイン。

私は今回ドイツの白です。

 

水を持ち上がることであんなにも不平を申しておりましたが、二人共無論の勿論、アルコールを持ち上がっております。

ワイングラスもね。

今回も周りの方に「うわあ、ワインだ!グラスも!良いなー!」と言って頂けました。

 

続きます。