心に残るひとたち | gem polu ジェム・ポルー(青い宝石)店主 aotabiのブログ

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ジェム・ポルー(青い宝石)
http://gem-polu.com/


ルースとハンドメイドジュエリー・ブライダルジュエリ-のお店です。
自分で選んだルースで 貴方だけのこだわりのジュエリーに仕立ててみませんか? 

美術館めぐりが好きで 旅先や 少し遠いところでも できる限り行ってみよう!と思ってます。



ジャンルは ジュエリー(アンティーク)、ガラス工芸品、金工品、彫刻、空間芸術、そして 絵画。


館内で放映されている 製作風景や 解説のビデオも 結構マジメにみちゃいます。


常設ならば 又 訪れることも できるのですが 海外の所蔵品だと こっちから 会いに行くしかありません。


そこで 思わぬ人にであってしまうことも・・・



学校を卒業して 最初に入った会社は、副業として 


「クレサンベール」という

 再結晶宝石を使ったジュエリーを取り扱っていました。

http://www.kyocera.co.jp/prdct/jwely/cv/


メーカーは 京セラ。


バブルのころは LAのロデオドライブにも ショップのあった 別名「イナモリジュエリー」


とも呼ばれておりました。


年に何度か展示会があって 販売のため社員が 当然参加するのですが


これが とっても苦痛でした。


まず 集客。そんな 高額なものを買ってくれる人脈はあるわけないし。


友達に 来てもらうのも申し訳ないし。


ジュエリーは好きだけど知識は まったくないので 「再結晶宝石」や デザインの良しあし ジュエリーの価値な


んて さっぱりです。


当時、宝飾部門の担当が K常務。


この方は会社創設の時に とても 尽力・貢献されたひとで、仕事になると熱血常務でした。


もっとも顕著な特徴は  オカマ言葉なんですよ!


どんなに遠くにいても すぐにわかる。。。


話す内容はしごく マジメなのですが、他の重役さんたちにも


「やだ、○○ちゃんったら~」

「そうなのよ~困っちゃうわ~」


と ふつーに オカマ言葉で 会話されておりました。


直属の上司ではありませんでしたが そんなところは 


卒業したてで世間知らずのキュウリョウドロボーの私にも 感じるところがあり


ひそかに尊敬しておりました。

(一応 ご家族もお子さんもいらっしゃるので ほんとの ゲイではありませんでした 念のため)



今でも忘れられないのが 展示会の前日に 社員に 製品の説明をするときのこと。


いつもの オカマ言葉で 真剣に ジュエリーの説明をされておられました。


再結晶宝石以外にも 著名な日本のジュエリー作家さんの作品も扱っていたので


話が それに移った時のことです。。。


作品が まだ ディスプレイされていなくて ごちゃごちゃに置いてあったのをみて


一瞬、眉をひそめた K常務。


ですが、すぐに


「あら、これは●●さんの 作品ね、そして これは タカクラ。 これは△△さん。」と 


さくさく 作者ごとに あっという間に ディスプレイされたのです!


準備ができていないのを 怒るかな?と思いきや あっという間のことでした。


数もかなりあったと思います。


「スゴイ!」 

「この人って一体何者なんだ~~~!!」 

常務っていうことは知ってるけど。。。


作者と 作品をしっかりみ分けるなんて  よく見て、勉強していないとできないことです。。。

しかも 本業とは全く異なる 商材。

他の オジサンたちは 言い方は悪いけれど、もうかりゃいいみたいな風潮だったのですね。

常務の接客は とてもエレガントでした。

もちろん あの 言葉使いで。

いったい あのパワーと情熱は 何なんだ! 




のちに 自分がこの仕事に 携わることになった時に


宝飾品を 理解して 相応の 取扱いをすることができることは


容易ではないと 痛感しました。


男性の とくに年配の方が エレガントに ジュエリーを扱うのは 身だしなみから 言葉づかい


細部にまで 気を配っていないと 難しい。。。


ガラスケースに べったり 指紋を残すような ムッサイおっちゃんには 接客されたくありません。


お客様は 美しいものを 求めて エレガンスな気分を 味わいたくて 来店されるのですから。



GIAに鑑別実習にかよっていたときに 偶然にも 神戸のクレサンベールでバイトしてみない?


と先生に声を掛けられたとき。


まっ先に K常務を思い出しましたよ。



・・・話を 元に戻しましょう。


あれから ずいぶん 年月がたって キュウリョウドロボーの 芸術にとんと ご縁のなかった私も


いつしか そういうものの良さが味わえる 年齢になりました。


そして つい最近 県外の 思いもかけない 美術館で 


K常務を お見かけしたのです。


それも 2度も。。。


はじめは 気がつかなかったのですが


杖をついて 楽しそうに ゆったり アンティークジュエリーの展示作品を 観ていらっしゃいました。


お年を 召されたな・・・(ということは 私も・ですよね)


でも ちっとも 変わっておられません。


当時の 雰囲気 そのまんまに。


仕事もとっくに 引退されているでしょうし、私が 退社した後に 会社が 合併吸収されたと聞いたので


その後、宝飾部門が継続されたかどうかも 不明です。


が、折にふれて K常務を思い出すのは


これだったんですね。



美しいものを 愛する心・感動する心


あのときに K常務に 仕事以外の 情熱を感じたのは・・・



私の勝手な思い込みなのかも知れません。


その後 又 別の 美術館で お見かけしました。




声はかけませんでした。


なんとなくですが。。。(気恥ずかしいというか、何なんでしょうね)


でも 又 出会えたことと いつまでも 私の心に残っているK常務に


こころのなかで そっと 頭を下げずにはいられませんでした。