前回は日本国内製造ワインと日本ワインを取り上げました。今回は日本ワインに焦点をあてたいと思います。
【前回記事はこちら→https://ameblo.jp/anzai-sake/entry-12814359565.html】
日本ワインの生産量、ワイナリーの数は、ともに山梨県が最も多く、次に長野県、北海道と続きます。山梨では古くからぶどうの生産とワインの醸造が行われ、国税庁の定める「GI(Geographical Indication)地理的表示制度【お酒について正しい産地であることと一定の基準を満たして生産されたことを示す制度】」に日本で初めて認定された地域でもあります。GI認定は上記3地域の他、山形県、大阪府も認定を受けています。
出典:国分グループ本社㈱「JWINE®」 https://jwine.net/knowledge/gi/
酒類関係のGIですと他に蒸留酒(主に焼酎)や清酒があります。どのGIにも共通しているのが原料、製法に明確な基準を設けている点です。
GI認定地域以外にもワイナリーは数多くあり日本のワイナリー数は460軒を超えています。ここ最近の増加数は山梨県、長野県、北海道が多く、特に直近の増加数で最大は長野県となっています。
ワイナリー数が増加する→供給量が爆発的に増加するという訳ではなく、小規模ワイナリー数がその多くを占めている為、全体的に数量は増加しているものの、極端にという訳ではありません。
日本でのワイン造りの歴史を調べると、明治10年(1877)、祝村(現在の山梨県甲州市勝沼町)に日本初の民間ワイン醸造場「大日本山梨葡萄酒会社、通称 祝村葡萄酒醸造会社」(※現在のメルシャン(株)の母体)が設立され、以後、新潟県 岩の原葡萄園、山梨県 マルキ葡萄酒(現 まるき葡萄酒(株))、茨城県 牛久醸造場(現・牛久シャトー)などが設立されていきます。
話題はそれますがサントリー赤玉ポートが発売されたのが明治40年です。当時は現在のようなワインというよりも甘味果実酒のような味わいの商品がメインでした(実際に美容、健康といったセールスコピーが多かった)。
国産ワイン=大手メーカーが造る低価格ワインという認識の方も多いかもしれません。
以前は
(1)国内の小、中規模のワインメーカーが造る高額なワイン と、
(2)大手メーカーが造る低価格のワインが一括りに【国産ワイン】
として販売されていました。
かなりの価格差がある為、その価格の違いを理解出来る方はほとんどいらっしゃらなかったのではと推測します。この価格差はどこからかを考えるとズバリ、原料コストが要因の一つです。
(1)自社畑栽培、契約農家栽培、委託栽培など日本国内で収穫されたワイン用ブドウを使用したワイン と
(2)海外産濃縮果汁(ジャムのような状態での輸入物)を使用したワイン
では圧倒的に後者の方がより安いコストで造る事が出来ます。そしてそのジャム状の物を(日本国内で)水で希釈、発酵させれば少し前までは「国産」ワインと表示できました。
基本的には原材料の多くが輸入されており、「国産」とは名ばかりのもので、世界的に見てもこれを国産ワインと呼んで良いのか疑問が残るところでした。日本国内で流通されているワインについてワイン愛好家たちからは、海外産原料の国産ワインと、日本で栽培・収穫されたブドウを使用した日本ワインを、もっとわかりやすく明確に区別すべきだという意見があったのも事実です。
国税庁が定める「果実酒等の製法品質表示基準」によって「日本ワインとは、国産ぶどうのみを原料とし、日本国内で製造された果実酒」と基準が設けられ2018年から適用となりました。今後、国産ワインは姿を消し、2018年10月のワイン法施行以降に生産されたものは「国内製造ワイン」という名前が付けられることになります。このように表示基準によって明確にルール化されたことで、国内で流通するワインは「日本ワイン」、「国内製造ワイン」、「輸入ワイン」の3つに区分される事になりました。
個人的にはやっとという感じが否めませんでしたが、これで海外ワインとほぼ同じようなワイン法が出来た訳で、これは喜ばしいことだと思います。
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