真夜中に気配がして目を覚ますと、隣の部屋で寝ているはずの次女が立っていた。
「足が痛くて眠れない」と泣きながら言うので、僕のベッドに横にならせて、マッサージをしてあげる。

正直しばらくは眠くて頭がぼーっとしていたけれど、いつもは母ちゃんになんでも頼むはずなのに、足の痛みをなんとかしてくれるのは父ちゃんだと信じて声を掛けてくれたことがとても嬉しくて、なんとか期待に応えてあげたいと思った。
下半身が全体的にかなり痛いみたいで、曲げたり伸ばしたり揉んだりツボ押ししたりと試してみたけれど、なかなかよくならなかった。
もう僕の力じゃ無理かなって思ったんだけど、30分ほどすると「痛みがひいた」って言ったので、そのまま僕のベッドに一緒に寝た。
いつもなら「キモい」「ほんと嫌だから」とか言って密着を避ける次女も、この日は何も言わずに隣に寄り添ってた。
そのうちに小さな寝息が聞こえてきたから少し安心する。
「なんの痛みなんだろう。なにかの病気じゃなくて、成長痛ならいいんだけど」
そう思いながら僕も眠りについた。
翌日、次女の足はだるい程度で、それ以降も眠れないほどの痛みが来ることはなかった。
やっぱり成長痛だったのかもしれない。
何事もなく終わりそうなので、僕はただただ幸福感にひたっている。
その二日後、今度は103才のおばあちゃんが足が痛くて歩けないと、その日は起きてくることができなかった。
「マッサージしたあげたら?」って母に言われたので、部屋に行ってやってみることにする。

足の指と、足首とをしっかりと反らせてやることの繰り返しなんだけどね。
「足がポカポカしてきて気持ちいい」と言ってくれた。
僕は「なんてか細い足なんだろうな~」と、初めてさわるおばあちゃんの足がほとんど骨と皮だけしかなくなっていることの感傷にひたっていた。
もしかしたら、このまま寝たきりになってしまうかもしれない・・・。
そんな心配をよそに、翌日からまた普通に起き上がり、日常生活を一人でこなしているおばあちゃんがいる。
「あのマッサージがよく効いた」って言ってくれるけど、そんなわけないよね(笑)
なんだか引き続き僕の独学のマッサージが必要とされたことが嬉しかった。
それは誰でもできる簡単なものだけど、きっと効果は大きい。
大切な人の患部に触れるだけで効果が表れるという「お手当て」と同じことなのだろう。
ぜひ大切な人の足に触れてみてほしい。
目に見えないやり取りができるから。