前編のつづき。
(裏行場の修了)
こうして平等岩を巡り、等覚を理解したことで、四門の最後の門をくぐる資格が得られたはずです。
最後に「平等岩 まわりてみれば 阿古滝の すつる命も 不動くりから」の歌を唱えました。
「捨て去った自我」と「顕現した本当の強さ」がここに感じられるでしょう。
ここから下っていくと大峰山寺本堂の裏側から「眼洗い行者尊(めあらいぎょうじゃそん)」の祠のところへ出ることが出来ます。
眼洗い行者尊
祠の下に水が湧いていて、その水で眼を洗うと眼病に霊験があると伝えられています。
仏教的な解釈でいうと、曇った心の眼、つまり邪見、偏見の眼を洗うことの大切さが説かれているはずです。
先達さんは「受付の時、最初微妙な返答してごめんなさい」と謝ってくださった上に、「今年初めての裏行場申込者さんです。ありがとうございました。」と御礼まで言ってくださいました。
とても優しい方で、僕のほうこそ先達さんとのご縁に感謝しています。
龍泉寺参籠所に帰ってみると、多くの人が訪れ、活気がうまれていました。
本当に絶妙なタイミングだったのだなと思います。
11:16 山頂へ向けて再出発です。
これは立派な門ですが、大阪の講の1つが建てたものであり四門にはあたりません。
いよいよ最後の門が見えてきました。
妙覚門
四門の第四番「妙覚門」は、「完全なる覚り、大生命と一体化した段階」に入ることです。
大峰山寺の境内に入る頃には、ポツリポツリと雨のしずくを感じ始めました。
大峰山寺本堂
11:23 大峰山本堂に到着です。
今日この戸が開かれたばかりの本堂だと思うと、感慨深いものがあります。
残念ながら現在秘仏「蔵王権現(ざおうごんげん)」は奈良国立博物館に出張中ということでしたが、僕の目的地は「目覚め」ですので問題ありません。(かっこつけんな笑)
お灯明を献じてから般若心経を読誦しました。
雨もなんとか持ちこたえている中、本堂の対面に続く道をさらに上に進みます。
お花畑
頂上の「お花畑」。
ここは一面に熊笹が広がる素晴らしい見晴らしの場所です。
クマ笹は高山に自生し、厳しい冬にも枯れずに繁茂する植物であり、生命エネルギーレベルの高い植物なのだそうです。
自然と一体化した段階へと達した行者は、この生命エネルギーを自然治癒力に変えていけることでしょう。
さらに最高点へ向けてラストスパートです。
湧出岩
11:40 最高点1,719.4mの場所にある湧出岩(ゆうしゅついわ)に到着。
この「湧出岩」こそが蔵王権現が湧出した聖蹟ならば、仏像不在でも関係ないのです。
僕の中に湧き出してきたのは大自然の容赦ない厳しさと包み込むような優しさの両面への受容です。
まさに恐ろしさの中にも深い慈悲を持つ蔵王権現の一端を、この山を歩いたことで感得できたのしれません。
地図作成のために設置された一等三角点もここにありました。
山頂を風が強いのですが、とても気持ちいいです。
分岐標識を左に下りるルートですが、少し先の「日本岩」に寄っていくため直進します。
日本岩
こちらも景色のいい場所である「日本岩(にほんいわ)」です。
先達さんはここで一人読書したりする大好きな場所なのだそう。
北西に背を向け、日ノ本を拝みました。
誰にだって朝日は登りますし、夕日は沈みます。
諸行無常。諸法無我。一切行苦。涅槃寂静。
12:01 再び戻ってきた分岐点を右折し、「レンゲ辻稲村岳」方面へと下っていきます。
レンゲ辻(レンゲ坂谷)ルート
下山は「レンゲ辻(レンゲ坂谷)ルート」を選択しました。
結構細い道なので、よろけないよう注意が必要です。
なんだか今までの岩場より怖いんですけど・・・
鉄の階段が設置され、整備されています。
しかし結構な急傾斜になります。
この傾斜と道の狭さに、この強風はやばい・・・。
崩れた土砂が階段に堆積している所も見受けられます。
まだ通る人が少ないからか、道がよく見えない所もあります。
倒木が道を塞いでいる所もあります。
他に誰も姿が見えないので少し心細くもありました。
広葉樹の芽吹きはまだまだですね。
尾根から下へ。
階段はワープゾーンですね。
ポツリポツリと雨が落ち始めました。
足元がぬかるんだら怖いです・・・。
レンゲ辻 女人結界門
12:21 レンゲ峠の「レンゲ辻」という分岐地点に建つ「女人結界門」を外に出ます。
こちらの門は左から右に文字が書かれているので、右から左だった表参道のものより後にできたことが考えられますね。
ここで真っすぐ登っていくと稲村ヶ岳ですので、すぐに「大峰大橋」と書かれたレンゲ谷方面に下っていきます。
とりあえず修行門を出たので、以降はハイキング、ウォーキングモードへと気分転換です。
楽しんでいこう!
黄緑色の芽の植物が斜面に群生していて綺麗ですが、高確率で有毒植物の「バイケイソウ」ではないかと「グーグルレンズ」は言っております・・・。
雨が強まるのを覚悟していたのに、なんだか陽が差し始めるという予定外の展開。
「やっぱり晴れ男だな」とニヤニヤしながら足取りも軽くなります。
とはいえこの急坂のルートは結構難易度高めで中級レベルかと思われます。
小さな源流の美しい水音がきこえ始めました。
レンゲ坂谷
この辺りの急坂の谷筋を「レンゲ坂谷」といいます。
道なき道をピンクのテープを頼りに進みます。
道が現れたり、なくなったりの繰り返し。
とはいえレンゲ坂谷の前半は谷の右側を歩きます。
支流が集まって水量も少しづつ増えてきました。
表参道ルートと稲村ルートのど真ん中にあるルートですし、遭難のリスクは低いと思います。
その分滑落には十分気を付けて下ってください。
しっかりとした鎖のついた階段があると安心します。
この辺りで初めて3人の下山者を見かけ、追い越して進みました。
道を聞かれたので、初めて通るにもかかわらず自信満々に「川沿いを行けば間違いありません」と答えた僕でした。
この階段を下れば、もう急坂でかかる膝の負担はほぼなくなるでしょう。
川ってこうやってできていくんですね。
だいぶ大きくなった川を、飛び石をつかって渡っていきます。
さて、どこに向かえばいい?
それでも目をこらせば看板が隠れていたり、
必ずどこかにピンクのテープがあるから大丈夫!
今度は左側を行けばいいんですね。
レンゲ坂谷の後半は谷の左側を進んでいくのです。
川と目線が揃うのもこの辺りまで。
だんだんと高い所から美しい渓流を見下ろすようになります。
まぶしい新緑の風景も目に入ってきました。
季節もだいぶ下界の装いに近づいてきています。
水たちよ、集まって大きくなったもんだね。
そうか、君の名前は「山上川」か。
さ~、あと一息。
車道が見えてきました。
だいぶ高いところから下ります。
登山道の終点です。
覗谷出合登山口(林道終点)
13:23 多分ここが「覗谷出合(のぞきだにであい)」という場所かと思われます。
「林道終点」の名の方がよく使われるのでしょう。
川瀬谷林道
ここからは舗装された林道を行きます。
でも基本車一台が通れて、すれ違いはしにくい
大峰索道作業場。物資運搬用のワイヤーを使った運搬設備ですね。
各宿坊の駐車場。
見覚えのある場所に出てきました。
13:43 やったね。ゴールイン!
太陽も祝福してくれました。
もう一度「発菩提心門」をくぐって、こんな石碑があったのかといろいろ見学。
桜もこんなに綺麗だったんだね。
大橋茶屋
最後に大橋茶屋でアイスコーヒーで乾杯。
車に乗る直前から、今度こそ雨が降り始めました。
母公堂
役行者の母・白専女(しらとうめ)を祀る母公堂(ははくどう)にも寄ってみました。
女人大峰と言われる稲村ヶ岳の登山口がここにあります。
龍泉寺
天川村の洞川温泉街に山上宿坊をされている「龍泉寺」の本寺がありました。
雨の中ですが、せっかくなのでお参りしていきます。
御本尊は弥勒菩薩。
なんと水がきれいなことでしょう。
滝も素敵です。
あの水たちの行きつく先はここだったのですね。
まさに大峰という「龍」の口から湧き出した「泉」ですね。
洞川温泉センター
日帰り入浴施設の「洞川温泉センター」に寄って汗を流していきます。
お風呂は結構人が多かったです。
ふ~、すっきり。
帰路
帰り道の運転は土砂降りの中になりました。
だからこそ感謝が湧き上がってきます。
降水確率90%の中なんとかもちこたえてくれたお天気とのご縁。
戸明けの日に巡り合えたご縁。
よき先達さんとのご縁。
そしてこのすばらしき場とのご縁。
ほんとうに、なにもかもがありがたかったです、
僧侶としてではなく、ただの一人の男として登った大峰山。
この女人禁制の山は、男性がより女性に優しくなるための場所だったなというのが僕の感想です。
(完)









































































































































































































































































































































































