ある読書家 | anydaynow

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東京、三重

ずっと漫画ばっか読んでいたけど、

 

ちょっと気分を戻そうと思い、小説を読みだした。

 

梅雨の長い雨に対抗して、『1Q84』である。

 

それを、知人に話したら、村上春樹の話になり、

 

店の中で、えら長く立ち話をした。

 

彼は『ねじまき鳥』も『カフカ』も『1Q84』も読んでいないけど、

 

キャリアとしたら、僕より長い村上春樹ファンだ。

 

どうして読まないんですか?と訊くと、

 

別にすぐ読まなくていいというのが彼の考えで、

 

残りの人生の為にとってあるというようなことを言っていた。

 

僕は久しぶりに名言を聞いた気がした。

 

それで話が大江健三郎に移ったところで、僕はもう行かなきゃと

 

言って、失礼をしたけど、彼はずっと文学の話がつきない。

 

たぶんいい人なんだと思う。

 

少なくとも僕に会うといつも本の話をしてくれるし、僕が本を読んでいると

 

何を読んでいるのか訊いてくれる。それはとても大事なことだ。

 

じっくりとこころを落ちつけて一冊の本を読むことは、

 

孤独へ身を投じることとは異なる。

 

ましてや大人になってからする読書には、学生の読書みたく将来の為という

 

打算がないから、残りの人生の為に好きな本をとっておくというのは、

 

間違いのない生き方なのかもしれない。

 

梅雨になり、東京のいいところは、

 

あちこちにあじさいが綺麗に咲いていることぐらいだ。

 

ときどき見せる梅雨の晴れ間を見ながら、

 

ずっとこの感じが続いてくれたらなあと思ったり、思わなかったり。

 

いつか会えるか、一生会えないかわからないけど、どこかで

 

僕が本を読んでいるのを見かけたら、何を読んでいるか訊いてほしい。