『関心領域(The Zone of Interest)』 | 空のブログ

空のブログ

見た映画

『関心領域 (The Zone of Interest)』

製作年 2023年
製作国 アメリカ・イギリス・ポーランド合作
配給 ハピネットファントム・スタジオ
監督・脚本 ジョナサン・グレイザー
原作 マーティン・エイミス
キャスト
ルドルフ・ヘス/クリスティアン・フリーデル
ヘートヴィヒ・ヘス/サンドラ・ヒュラー

「The Zone of Interest(関心領域)」は、第2次世界大戦中、ナチス親衛隊がポーランド・オシフィエンチム郊外にあるアウシュビッツ強制収容所群を取り囲む40平方キロメートルの地域を表現するために使った言葉 なんですね。

強制収容所と壁一枚隔てた屋敷に暮らす収容所の所長とその家族は、幸せで満ち足りた田舎暮らしを満喫している。

近くの川に家族で出かけて泳いだり、ベリーを採ったり。
奥さんは、理想の生活…と言う。

家族の生活以外は終始曖昧で、残忍はシーンは出て来ない。
でも常に聞こえて来る騒音は叫び声で、怒鳴り声で、銃声。それを曖昧になるまでぼかしている。
常に煙が吐き出されている隣りの焼却炉は、背景でしかない。

だけど、彼らが泳ぐ川に、焼却炉の遺灰が流れて来るし、ユダヤ人から剥ぎ取った物は家に届けられ、高価な物以外は使用人に下賜される。
コレクションの金歯を並べて眺める少年。
見えない灰は降り注ぐ。

隣で何が行われているか、分かっている。
仕事をしっかり頑張っている。功績をあげている。
…と言う認識しかない。
祖母は、ハッと気が付き逃げ出したのだろう。異常な日常から。

それと同時に、挟み込まれている不思議映像。

吐き気と共に、博物館として公開されている現在のアウシュビッツ収容所をルドルフが見る?シーンは、迷う事なく功績をあげる為に邁進して来た中に漠然とあった仕事に対する嫌悪感…なんだろうか。

彼らは、見ない。自分の生活しか。
中で何が行われる、その時も、戦ったり守ったりしている人がいる事を、見ない。

今も、あそこに住みたいと思うのだろうか…

凄い映画を作った。