かつて、夏目漱石が英語教師をしていた時に
『I LOVE YOU』という言葉を日本語で訳したらどういう言葉になるのか、という問いに対して生徒さんが『我君を愛す』と訳した事に、日本人はそんな直接的な表現はしないと指摘し『月が綺麗ですね』という日本人の奥ゆかしい性格を用いて表現したという逸話があります。
日本語で表現する事は、時にして難しく、時にして美しく、非常に魅力的だと思います。
かつて、野口雨情が儚い命の尊さを『しゃぼん玉』という唄で表現したり、谷川俊太郎が生きているという事を『全ての美しいものと出会うということ』と日常で当たり前で忘れていたような事を気付かせてもらえるように表現したり、はたまたブランキージェットシティの浅井健一は心臓の鼓動の音を『赤いタンバリン』という言葉で、色と楽器を使い、生命とリズムを表現していたりと。
一部僕の主観で語らせてもらいましたが、日本語には沢山の可能性と魅力があります。
ラーメン屋にとって、言葉はあまり関係がないと思われがちですが、実はこんな時に、こんな言い方じゃなくて、もっと良い言い方ないかな?なんて考えたりする事があります。
例えば、ワンオペに時に4人組が全員バラバラ4種類のオーダーを注文された時、『少々お時間頂きます』や『一度に作れないんで時間掛かります』と無表情で言いがちなんですが、それだとやはり愛想がないとGoogleマップに書かれてしまう。
そんな事はこれから、
(あー、4人ともそれぞれ食べたい物が違うんだ、人々は武器を降ろし、争う事を辞め、お互いを尊重し合い、ラブ&ピースな世界になれたんだ。まだまだ紛争が起こっている地域や、貧困の問題、オゾン層や海を汚染など問題はあるけれど、今この瞬間は忘れようじゃないか)
という意味を込めて、
『イマジンが聴こえてきましたね』
と笑顔で声を掛ける事にします。
そうすればGoogleマップの口コミも、あいついよいよ狂ったみたいだぞって書いてもらえるハズです。
もうひとつラーメン屋の悩みとして、スマホを見ながらラーメンを食べる行為。
これに関しては、アンタイ的には全然OKなんですが、たまに夢中になり周りが見えなくなって、お待ちがいる事に気付かなかったり、食べ終わっているのに長時間居座られてしまう事もあります。そんな時、今は『すいません、お待ちの方いるのでそろそろいいですか?』とか『もう片付けていいですか?』なんて風に冷たい言い方になってしまいがち。
やっぱりそんな感じで言われると、気まずく感じてしまい、次にまた来ようと思わなくなってしまったり、逆ギレ的にムスっとされて帰っていかれる方もいたりします。
そういった時に良い言い方、表現の仕方はないかな?と今週ずっと考えていたんです。
(ずっとスマホ見てイヤホンで耳を塞いでないで、少し顔を上げて周りの景色や音を、君の素敵な目で見たり、その綺麗な耳で音を聴いたりしてみようよ、もしかしたらこの素晴らしい世界に新しい発見があるかも知れないよ!)いう意味を込めて、
『オラと一緒にドラゴンボール探しに行こうぜ』
と声を掛けようかと思ったんですが、あまり良くない。イマイチ完成度が低く、何より表現としてありきたり過ぎる。そしてつまらない。
僕には表現者としてのセンスがない。
こんな時、夏目漱石だったらどうやって伝えるのかな?そう考えた時に、やはり…
『月が綺麗ですね』
そうやって言えば、下を向いていたお客さんは空を見上げて月を探してくれるかも知れない。
そして、周りを見渡しサッと帰ってくれるハズ。
これから僕がお客さんに『月が綺麗ですね』そうやって声を掛けていた時、どっちの意味で使っているのか想像し、ドキドキ感を楽しんでみてはいかがでしょうか?
先週やっと全21話、約4万文字に渡る長編ブログが完結し、『もう書かなくていい、やっと解放されたぞ!』と思った束の間、またこんな長々とくだらない話をしている自分がイヤになります。
そんなこんなで明日の限定の告知です。
半年以上振りに登場します。
中神家系豚骨醤油
『アンタイ家』 40食くらい
ノーマル ¥900(肉2枚)
スペシャル ¥1,150(肉4枚+味玉+海苔5枚)
※スペシャルの焼豚は数種類の肉を乗せます。
限定トッピング
ほうれん草 ¥100
海苔増し(5枚) ¥100
※写真はスペシャルです。
豚骨と背ガラと鶏ガラをガンガン焚いて、旨味をビンビン引き出しました!
もうこの辺はぶっちゃけ自信あります。
しっかり濃厚、旨味ビンビン系です。
焼豚も頑張りました。
豚のモモ肉でも柔らかい部位の内腿肉を使い、炭火で仕上げました。
しっとり柔らか、そして香りが良い美味しい焼豚になりました。
明日のラーメンはうまじょっぱい味付けにしてますので、白飯が合いますよ!
その他のトッピングもお好きにどうぞ!
10:30オープンです!
また明日〜😇