こんにちは、木戸です。
東京は5月末くらいから、暑さと同時に湿気が少しずつ増してきました。
こんなときに電車内の冷房が効いていると、心も身体も安らぎますね。
・・・と言いたいところですが、今回は電車内で心も身体も休まらない話を。
最近、電車内で痴漢の疑いを掛けられ、逃走中に線路上に出て電車にはねられたり
逃げた先の建物から転落死したり、事情聴取後に自殺してしまったり、と何とも後味の悪い
ニュースが続いています。
真相は誰にも分からないわけで、私も安易に痴漢事件について語るつもりはありませんが、
過去の判例などから、痴漢で逮捕された社員に対する処遇について、労務の面でどのような
対応が適切なのか、などを調べてみました。
■ 逮捕されても、容疑を否認している
拘留中の期間は欠勤扱いが妥当で、いきなり解雇するのは厳しいと思います(裁判例を
後述)。拘留が長引けば、会社の都合による休職扱いにするべきと思います。
■ 有罪となってしまった
就業規則等に基づき、最も重い処分の懲戒解雇が真っ先に思い浮かぶかも知れませんが
職場外において職務遂行と無関係の行為であり、やや判断の分かれるところです。
■ 過去の裁判例では
もちろん、痴漢行為の態様や過去に同様の犯罪歴がある場合は重い処分が下りますが
反面、日常の業務態度が良好である場合などは、解雇処分は重いとの判決傾向です。
□ 小田急電鉄事件(H15.12.11東京高裁判決)・・・懲戒解雇は有効
鉄道会社の社員に就きながらの行為、事件の半年前に同様の痴漢行為で罰金刑に
処せられており始末書提出済み、といった背景あり。懲役4ヵ月、執行猶予3年。
□ 横浜市市教委事件(H25.4.11東京高裁判決)・・・懲戒免職は無効
痴漢行為が比較的軽微、高校教師の職に就いているが生徒等を中心に多数が支援・
協力等を申し出ている、といった背景あり。罰金40万円。
□ N銀行事件(H21.1.27東京地裁判決)・・・諭旨解雇は有効
会社の名誉棄損や職務命令違反、正当な理由なき遅刻等の就業規則違反もあるが、
管理職ではないこと等を理由に懲戒解雇は避けた経緯あり。罰金30万円。
痴漢は冤罪の可能性が多くあると言われる中、解雇されて人生が一変する例も数多くあると
聞きます。労務管理は、世間の目や風評などは気にせず冷静に対処する必要があると感じます。
政府や鉄道会社には、加害者にも被害者にもならない何らかの手立てを講じてほしいものです。
爺 「ひょっとして、挨拶がわりに後ろから抱きついただけでも痴漢扱いされるんかのぅ?
これは、痴漢と疑われないように混んでいる朝を避けて11時出社にして正解ぢゃ!」
孫 「おぢいちゃん!それ、れっきとした痴漢だよ!! しかも、寝坊して2時間遅刻した
理由に痴漢を利用しちゃってるし。。」