『最後に頼る医者には2タイプある』

終幕は自宅で迎えたいと言う対象者は多い。
気持ちは分ります――、が簡単に決められない、いくつかの問題を抱えてます。

1. 自宅で介護してくれる家族が必要
  ・対象者は昼夜逆転生活もあり、24時間介護を覚悟する必要があります
  ・その家族は仕事をする事が出来ず収入は減ります
  ・マダラの痴呆は看病する家族の精神的負担を増加させる(親子は遠慮がない)
※ 問題は介護をする側の肉体的への精神負担が大きく、追い詰められる事です。

これらのリスクを覚悟したり、交代看病可能なら自宅療養の選択もありでしょう。
老人家庭の老々介護、親の介護に疲れ果て――、自殺や殺人の可能性があるなら
まずはじっくり相談してから決めることをお勧めします。

自宅療養での必須に『看取りをして貰える医師の確保』があります。
分かり易く言えば、確実に死亡診断書をしてくれる医師の有無です。
人が亡くなると死亡診断しますが、死亡診断書は医師又は歯科医師だけ書けます。
しかし逝去後に突然依頼しても絶対に書いてはくれません。
そこで逝去時24時間いつでも死亡診断して貰える医師を探すことになります。
(総合病院の医師は自宅に来てくれません。個人医なら来てくれる訳でもない)
この点については、後日詳細を書くつもりです。

ここから、本日の課題『医者には2タイプある』です。
医者は病を治す人と思うでしょうが、実際は2種類に分かれます。

》病気や怪我を治す医師
 大多数の医師が入る枠で、皆さんが通う医院、病院、診療所などの医師です。
 可能な限り病気と闘う医師で、投薬、手術などを行う医師です。

》痛みは取り除くが、楽に終幕を迎えさせたい医師
 緩和ケア病棟の医師、在宅緩和ケアの医師
 個人的な感覚ですが、治すより、どう生きるか相談に乗ってくれる医師です。

最後を自宅で迎えるなら、死亡診断してくれる医師の確保は不可欠ですが、どち
らのタイプの医師にお願いするかは、本人と家族次第です。

ある施設長の話では緩和ケアの医師をお願いしていたが、90代のお婆ちゃんは、
治すと言い張り、緩和ケアの医師と喧嘩して総合病院で手術を受け、今は元気に
生きているそうです。

また、訪問の緩和ケア医師に看取りまで依頼し、最後まで穏やかな顔で逝ってく
れたという話しは何度も聞かされています。

どちらが良い悪いではなく、本人と家族の意思が大事なんだと思う。
これが80才過ぎの対象者なら、比較的判断はし易いような気がしますが、例えば
40代、50代、60代くらいまでの対象者だった場合は判断に迷うでしょう。

癌治療にしても、医療は日進月歩で進んでいるから抗癌剤治療、放射線治療をと
言う医師もいれば、抗癌剤は増癌剤だから使うなという医師もいます。

アメリカでは癌全体の死亡率は下っていますが、全ての癌が減っている訳でなく
増えている癌もあるし、抗癌剤も使われてない訳ではない。

ただ何となく違うと感じるのは『検査受診率』でしょうか。
例えば、子宮頸癌検診の受診率は、日本は30~40%、米国では84%と違います。
当然、早期発見率も違うわけで、現時点では早期発見が一番大事なのでしょう。
癌は不治の病でなく、早期発見なら完治すると言えるくらいまできています。

ステージ0なら90%以上、ステージ1でも80~90%くらいの治癒率でしょう。
ところがステージ2では40%~70%と癌の部位により低くなるし、ステージ3
では20%~40%と更に下がり、ステージ4になると10%台まで下がります。
「食道」「肝臓」「肺・気管」が低く「前立腺」「乳癌」が比較的生存率が高い

僕自身も一昨年10月、内視鏡検診でステージ0の胃癌が発見できた事で内視鏡で
ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を行い8日間の入院で済みました。

胃壁は三層(三層で3mm)だそうで、ステージ0とは一番内側の上皮細胞内で
留まってる状態、ステージ1とは真中の筋肉層で留まってる状態、ステージ3は
一番外側の漿膜下層(しょうまくかそう)まで浸食し、リンパ節への転移も見ら
れる状態、ステージ4は、最初に発症した場所だけでなく、離れた他の部位まで
転移が認められる状態です。

一般的に言われる癌、進行性癌、部位、年齢によって進行速度は違いますけど、
基本的には年に1度の定期検査が大事なのは間違いありません。
癌細胞が1cmになるには数年から20年以上掛かると言われています。
進行性癌と言いますが、進行速度が速いという意味でなく進行した癌の事です。

これはあくまで個人的な見解ですが――、
食道、胃、大腸などの消化器系、心臓など循環器系、そして脳の検査は専門医で
内視鏡などは毎日のように覗いている医師と、たまに覗く医師では見えるものが
違って当然です。明らかな癌なら差はありませんが、僕のようなステージ0での
発見になると結構な差があるはずです。 毎年の定期検査で見つかったのはラッ
キーでしたが、早期発見が最大の防御策です。
またPET(ペット)検査を過信すべきではありません。僕の胃癌をペット検査で
発見するのは難しいんじゃないかな――、

いずれにせよ、どの状態で発見されたかにより判断は違って当然です。
医者の良し悪し、病院の良し悪しは、とかく話題になりますが、友人知人などが
どんなに褒めても、或いはけなしても、自分や家族が望む対処、対応と違ったら
良い医者と思えません。希望に沿ってくれる医師の選択を間違わない事です。

ただ、それと同等か、それ以上に大事なの事が3つあります。

1. 治る病か、治らない病かの正確な判断

年齢的に若くて、治せる病なら最善の治療をしたいと思って当然です。
その意味では遠慮せず、セカンドオピリオンをお勧めします。
主治医がいるなら、自分の気持ちをしっかり伝えたり、病院のソーシャルワーカ
ーに相談されると良いでしょう。自分の命ですから、最後は自分と家族で判断を
するべきです。嫌がる医者もいるでしょうが、判断は自分ですべきです。

2. その時点での財布事情

年齢が若くて治る見込みがあるなら、治療最優先でしょうが高齢で治せないとか
多少良くなってもすぐに――、程度なら緩和ケアのような判断もありでしょう。

3. この先の人生を考えてみる

治らないと分り、身体が動けるなら病室で寝ている必要があるでしょうか――、
行きたい所に行き、逢いたい人に逢い、食べたい物を食べる時間にしたほうが、
より充実した人生の終幕を迎えられる事もあるでしょう。
何処かに出掛けた途中で息絶えても良いと思うなら、動き回るのもありです。

今回は葬儀屋が言う話しでは無いと感じる方もいるでしょう。
確かに死体処理だけ行う一般の葬儀屋なら、こんな話しはしないでしょう。
でも我々は葬儀支援を行い、その目的は『残る家族の生活を守る事』なんです。
葬式を含め様々なパックを創り出すのは、その手段でしかありません。
『残る家族の生活を守る事』とは金銭面だけではありません。
家族に後悔の残らない終幕の提供やアドバイスもそのひとつです。
存命中の今しか出来ない事はいくらでもあるし、死後より絶対に大事なんです。
だから事前相談が必須、事前入会が必須なんです。

その意味では、我々だから見える家族があります。
事前相談の段階で行ったアドバイス、その後2タイプ双方の医師が看取った家族
からの言葉、終幕後に出る後悔の言葉など、稀にならあるでしょうが、当方では
事前、逝去直後、葬式後と一般葬儀社では見られない家族を見続けて12年間、
だもん、言う事の全てが葬儀屋さんと違って当然なんです。

 

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誰もが終幕後の費用を心配する事なく、自分の人生を精一杯楽しめる世の中にしたい
創業者の思いを後世に伝え、当時何を考えてたか嘘のつけない自分日誌でもあります