初めから読む
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面談の当日、母から電話があった。
「もしもし、アンリ?」
「うん。どうしたの?」
この日の母は、少し調子が良さそうな声だった。始めて電話をしてきた日のように声は掠れていたけど、前みたいな言葉のつっかえはほとんどない。
仕事中だったのでさっそく用件を尋ねると、「今日、病院に来てくれるんだって?ありがとう」とのこと。ああ、わざわざお礼を言うために電話してくれたのか。と思ったのだけど、本題はその先だった。
「母さんが毎日飲んでた万田酵素のゼリー、もし間に合うなら持ってきて欲しいんだけど」
いや、そっちかーい!!
思わず心の中で突っ込む。母は万田酵素のヘビーユーザーで、倒れる前まで「生姜のシロップ入りゼリー」みたいのものを毎日飲んでいた。それを、最近まったく飲めていないからそろそろ…とのことだった。
「今日は無理だよ〜。職場から直接行くし。ていうか先生に飲んでいいか聞いた?」
「聞いてない…」
自己判断かーい!!
どんだけ飲みたいんや。そう思いつつ、先生に許可をもらってからにしようと母に提案して、ちゃんと納得してもらった。いきなりのことで驚いたけど、毎日飲んでいたものを飲みたくなるほど回復しているんだと思えて、なんだか嬉しかった。
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