「母がくも膜下出血で倒れた日」を初めから読む下矢印

 

 

 

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主治医から電話があったのは、母からの電話があった翌日のことだった。電話の内容は、病状についての経過報告と、そろそろ転院を視野に入れたほうがいいとの内容だった。

 

その時点での母は、すでに入院先の病院でリハビリを始めている状態。歩いたり簡単な受け答えはできるものの、右手と右足の動きが鈍かったり、記憶が飛びやすく、注意力が落ちていることが気になると言われていた。

 

「記憶が飛びやすい」「注意力が落ちている」と聞いても、あまりピンとこないかもしれない。実際、私もピンとこなかったのだけど、主治医がとてもわかりやすく説明してくれた。

 

その時の母は、ボタンを押してエレベーターを呼んで、中に入るまでは1人でできていたそうだ。でも、中に入ってから肝心の行き先ボタンを押せない。エレベーターが動き出すのを、立ったままずっと待っている。

 

これが「記憶が飛びやすい」「注意力が落ちている」状態なのだそうだ。

 

結論、この状態で自宅退院は厳しいと主治医は判断したようだった。そしてその数日後、主治医と看護師と私の3人で、転院に向けての面談をすることになった。

 

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