海堂尊の文庫版最新作。


海堂氏の作品は、ビジネスでアイディアを出すプロセスに似ていると思った。

拡散と集約。

まぁ、ミステリーは基本的には、このフレームに則っているのかな。


最近、産婦人科が減っているという話を良く聞くが、

この作品は産婦人科医師の減少と、代理出産をテーマにしたものだ。


国が行う施策や、法律が正義ではないという強いメッセージを感じた。


この作品を違う人からの視点で書いた、

新刊の『マドンナ・ヴェルデ』を早く読みたいが、

文庫になるまで我慢。

「ジェネラル・ルージュの凱旋」の中心人物、救命医速水のスピンオフ作品。

収録された、それぞれの作品も面白かったが、

後半に書かれた海堂氏の徒然書きが良かった。


海堂氏のどの作品を読んでも、医療現場と国のギャップに対する危惧などの、

医療に対する様々な問題意識があると、私は感じていた。


しかし、当の海堂氏は、そんなことはほとんど問題意識は持っていないらしい。


Aiに関しては、強い問題意識は持っているが、

その他の問題に対しては、それほど強い意識は持っていないとのこと。


すごく飄々としている。


今まで、海堂氏に抱いていたイメージが変わった。

それは、決して、悪い意味で変わったわけではなく、

良い意味・悪い意味という評価を超えて、

面白い人だなと、シンプルに感じた。


これからも彼のファンでいるのだろうな。

14の短編で構成され、最後にすべての短編をつなげるエッセンスが出てくる。

それぞれの短編は小粒だったが、読み終えた後、気持ちがすっとしたというか、

温かくなったというか、そんな感情を抱いた。


イニシエーションラブのような強烈なストレートはなかったが、

すごく良かった。


場面は、街の片隅にある、ミステリー書専門の古書店。

そこには喫茶スペースがあり、毎週日曜には常連が集い、日常の謎を出し合い、マスターが解決するというような内容。


シンプルで、毎回同じ場面なので、読みながら情景がイメージ出来た。


うん。

面白い。