イリオスとの戦闘から3ヵ月後、


 セフィルートはオーブへ向かっていた。


 もう一度、策を立て直すためだった。


 これは、ポイズンファングのメンバー全員の意見だった。


 

 セフィルートの格納庫にいた「フォーク・デュオッサ」は、


 ガンダムアサシンの最終調整を行っていた。


 アサシンはイリオスとの戦闘で、ほぼ半壊の状態だった。


 だが、アサシンの本体はバックパックの部分であるため、


 バックパック自体の補修は簡単だった。


 しかし、アサシンのコアとなるMSの破損がひどかった為に、


 コアMSを破棄せざるを得なくなってしまったのだった。


 代用のMSを短期間で組み立てたものの、


 以前のコアMSより性能が落ちてしまい、


 アサシンの最大限の力が発揮できなくなった。


 代用したMSは「アストレイB-86」のセンサー部を


 本来より、性能を数%上げたものだった。


 今回、オーブへいく目的は、


 アサシンのコアMSの受取と、


 ポイズンファングへの新加入メンバーの搭乗。


 それと新機体の受取だった。


 新加入メンバーの名前は


 「サーヴァ・デュオッサ」で、「フォーク」の息子だった。


 彼は相当なMS操縦技術の持ち主で、


 守備的な戦闘を得意としている。


 受け取る新機体も彼専用のMSとなる予定だ。


 


 イリオスとの戦闘から3ヵ月後...


 ダイゴはセフィルート内にある


 展望室でひとり、

 宇宙を眺めていた.....

 C.E.85.


 生活コロニー「エデン」のニクロムで


 ダイゴはレスト家の長男として生まれた。


 レスト家はMSエンジンを製造する会社、


 「レスト・エンジニアーズ社」を立ち上げ


 大量生産して大儲けしている、


 いわば、大富豪の血筋である。


  その長男として生まれてきたダイゴは


 英才教育を受けながら生活してきた。


 いずれはレスト家を継がせるつもりだった。


  だが、ダイゴはレスト家を継ぐつもりは無かった。


 その理由は、父親であり、社長であり、軍人でもある、


 「ガウズ・エル・レスト」の存在だった。


  ガウズはザフト軍から生体実験を受けていたのだった。


 それは家族にも告げられず、


 ただ「仕事が忙しい。」としか伝えられなかった。


  ダイゴは自分もああなってしまうのかと思うと、


 レスト家を継ぐということを受け入れることが出来なかった。


  ダイゴは17歳になると、宇宙プラントMS技術研究所に


 特別研究員として、迎え入れられた。


 そして、そこでテストパイロットを務めたために


 MSの操縦技術を身につけた。


 そして、19歳になった時に、


 ポイズンファングからスカウトを受け、


 ザフトの新作MS受け渡しとともに、


 ポイズンファングに入った。


 そして、ダイゴは今があるのだ。



 テールスタビレートを貫かれたアサシンは、


 ロールアウトカラーに戻り、


 海面に落下していった。


 「グラージュ!!!」


 すぐにライアーガンダムはアサシンを抱えに


 落下するアサシンの真下に行こうとしたが、

 

 その間で、イリオスに阻まれた。


 「邪魔だ!そこをどけー!!!」

 

 ダイゴは両腕部の、


 高圧縮エネルギー砲をイリオスにむけ、発射した。


 イリオスは頭部のビームシールドで、


 高圧縮エネルギー砲を防いだ。


 だが、高圧縮エネルギー砲の威力が強かったのか、


 頭部は破壊された。


 だが、その直後にイリオスの腹部が開き、


 大型メガランチャーが現れた。


 「ついでに貴様をここで殺す!」


 そして、イリオスの大型メガランチャーが


 ダイゴのライアーガンダムにむけて、放たれた。


 ダイゴはライアーガンダムの両肩にある、


 ビームシールド発生装置で、


 ビームシールドを二つ発生させた。


 メガランチャーはライアーガンダムに直撃した。


 「ダイゴ...」


 セフィルートから声が聞こえた。


 

 そして、メガランチャーの爆煙の中から、


 黄金の翼がイリオスのパイロット、


 ガナストの、目に入った。


 そして、まだ、海面に落ちていなかった、


 アサシンをライアーガンダムは引き上げた。


 一瞬の出来事だった。


 そして、アストレイB-86に撤退命令をだし、


 グラージュの乗る、アサシンを預けた後、


 ダイゴはガナストに向かっていった。


 「このミッション、完遂する___________________」


 深紅の機体、イリオスは、


 スクリプトガンに似た小型銃砲で、

 

 アサシンのコクピットを狙ってきた。


 「貴様は代々受け継がれてきた


  サハク家の血を引き継ぐものの1人だ。


  貴様が政府のデータを持ち出したせいで、


  両親が疑われて政府に殺された。」


 「ガナスト...」


 ダイゴはこの会話を黙って聞いていた。


 そして、ハッと気付いた。


 グラージュがいつも戦闘のときに首につけている


 ロケットには幼い少年の写真が入っていた。


 「あの、写真が弟だったのか...」


 イリオスに乗っている少年はガナスト・スターレンツ。


 正真正銘のグラージュの弟だ。


 

 深紅のイリオスと漆黒のアサシンは


 お互いに激闘を繰り広げていた。


 「スクリプト改!!!」


 イリオスが放ったビームが、


 アサシンの脚部を直撃した。


 「グラージュ!!!」


 ダイゴはアサシンに近づいた。


 だが、グラージュの声が聞こえてきた。


 「来るな、ダイゴ!これはオレの問題だ。」


 そして、そのとき、イリオスから通信が来た。


 「もう、時間の無駄だ。


  ここを貴様の墓場とする。」


 そして、イリオスの背部と両腕部にある


 テールスタビレートが全開になった。


 そして、機体全体が眩い閃光が放たれた。


 すると、赤い一筋の光が


 アサシンのテールスタビレートを貫いた。


 


 フェイズ2開始直後、


 敵12番基地を上空にて確認したダイゴは、


 セフィルートも戦闘態勢に入らせた。


 最初に敵基地に攻撃を仕掛けたのはグラージュだった。


 「スクリプトガン!!!」


 そして、拡散されたビームは敵基地に直撃した。


 だが、敵基地は攻撃しなかった。


 どうやらこちらの様子を見ているらしい。


 「クソッ!なめやがって!


  Delta System 発動!」


 アサシンのテールスタビレートが開き、


 漆黒に輝いた。


 そして、アサシンは驚異的な力を見せた。


 なんとスクリプトガンを連結させたのだった。


 「ツインスクリプト発射。


  続いて超高濃度圧縮エネルギー波発射!」


 グラージュはアサシンを巧みに操っていた。


 「グ、グラージュ...」


 メンバーは皆、顔を合わせていた。


 いつもみんなのムードメーカーのような存在で、


 楽しくわらっているグラージュが、


 これほどの力を持っているなんて...


 「これで終わりだ!」


 グラージュがアサシンの腰部にある


 エネルギー砲を撃とうとした瞬間、


 上空から緑色の閃光が、


 アサシンのエネルギー砲を貫いた。


 ダイゴたちが上空を見上げると、


 そこには、深紅に輝くMSの姿があった。


 「ZGMF-P61S ガンダムアサシンを基にし、


  完成したのがこの機体...


  この機体で、本物を超えてやる!」


 アサシンに通信で音声が入ってきた。


 「ZGMF-97A イリオス


  深紅に輝くその姿...


  まさに返り血を浴びた暗殺者のよう。」


 なんと、深紅に輝く機体はアサシンの発展型だった。


 グラージュはイリオスと呼ばれるMSのパイロットに尋ねた。


 「貴様、名を名乗れ!」


 「ガナスト・スターレンツ...


  お前の弟だよ。」