僕はもう23歳。そんなに若くも無い年頃となったけれど、学歴の中で生きて来て、しかも大学中退後、夢も希望も無く、ただ生きる為だけに仕事を探していた。
あの、大学内での競争主義と、そこから二度に渡る堕落した日々とで、すっかり将来に対して夢が持てなくなっていたのだ。
愛知県から京都まで歩いた時の疲れも、向こうで受けた心の傷も癒えて、僕はやはり
生きる為に
仕事を探していた。
そして、そうやって仕事を探すと、辿り着く先は派遣会社となる。
広島県にある大手の自動車の車両組立工場へと行き、そこでの仕事が始まった。
僕に仕事を教えてくれたのは、そこの社員の方で、凄く気さくな方だった。
ある日僕がこのままで良いのか良く解らず、相談をした事がある。
その時、その人は丁寧に頷いて聞いてくれた。そして、
『資格を取った方が良い。今から先、生きていくには経験も必要だと思うけど、何より自分の能力を示す証明が必要になる。
何がやりたいのかを、よく考えてそれに合わせた資格を取っていく。
基本的な学力があるなら、絶対にできる』
と、アドバイスをくれた。
僕は『資格』なんて考えた事も無かった。また、今を生きる事に必死になり過ぎていた僕には、一刻も早く仕事をしなければ、と思うのが先で、全く頭に無かったので、ショックを受けたのを今も忘れられない。
それから、僕は何がしたいのか、そもそも資格を持つとどんな事が出来るのか、
それを調べる所から始めた。
そんなある日、書店で見た、会計学の本に凄く惹かれた。
立ち読みでは飽きたらず、購入して本格的に読みふけって行く内に、僕がやりたいのは監査や会計の分野だという事に気づいた。
しかし、その分野の資格試験は、困難を極めていた。
頂点に立つ、公認会計士は当時まだ僕は一次試験から受ける必要があったし(現在は、学歴条件が無くなっている為、高卒でもいきなり本試験受けられます)、他もかなり難しい…。
だから、時間が掛かる事を承知の上で、まず全ての基本になる簿記から勉強を始めたのだ。
だけど、仕事が忙しい中での勉強は、バランスを取るのが非常に難しいのだった。
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