ぐんぐん気温が上がってきましたね~、うひょぉ~~
でもまだまだ毎日鼻ムズのAです。
大連休は仕事したり映画観たり、インドアな感じで過ごしてました~
いい映画を観たんで、早速レビュー行きますよん。
■鑑定士と顔のない依頼人(2013)※思いっきりネタバレするよん
結構いろんな方に絶賛されてたので気になってた本作。
どんなジャンルか内容なのか、予備知識は無いまま鑑賞しました~。
2時間超えのイタリア映画、面白くて映像も美しくてあっという間でしたよ。
主人公の渋いお爺ちゃん・ヴァージルを演じるのは、
パイレーツ・オブ・カリビアンとかに出てる俳優さん、らしい。
(あのシリーズ自体あんまりちゃんと観たことがなくて…すいません)
重厚な雰囲気もあり最初はちょっとしたミステリーなのかな、位で観てたのねん。
そしたら恋愛ドラマ要素も出てきたりして、いやぁ~面白い。
仕事がデキるヴァージルはオークショニアも卒なくこなす美術鑑定士。
高齢だけど独身で、身なりはベテラン鑑定士という感じで品がある。
なんとなく冷たそうなお爺さんだなぁ…なんて思って観てたんだけど、
ある出会いからこの人がどんどん可愛らしく表情豊かになっていくのよ。
古くて大きなお屋敷で物語は展開していくし…これがイイよね。
大好物よ、お屋敷モノ。
ネタバレしないと説明できないストーリーなんで、もう書いちゃうよ~。
(よく出来た映画だからまだ観てない人はここからは読まない方がいいかも)
え~っと、流れを簡単にまとめるとこんな感じ。ヴァージル視点ね。
鑑定の依頼が来たため依頼先の屋敷に行くのだが、
依頼人の若い女性クレアは自分の部屋から出てこようとしない。
どうやら「広場恐怖症」で引きこもっているらしい。
↓
電話やドア越しに話したり、覗き見で彼女の姿を見るなどして、
次第にクレアが気になる存在に。
↓
女性の扱いに不慣れな為、若くてプレイボーイ気味な修理屋のロバートに相談。
クレアに振り回されながらも真摯に彼女をサポートする。
↓
クレアを部屋から出すことに成功。愛し合うようになる。
なんだかんだあり外出もできるようになったクレアを自宅に入れるようになる。
↓
最後の仕事であるオークション出張から帰ると、
隠し部屋のコレクション(沢山の女性画※)が全て無くなっている。
※友人ビリーと組んでズルして手に入れた貴重な絵画
↓
ビリーから送られた絵やロバートが完成させたオートマタだけが置いてある。
それらにあったメッセージから、騙されて絵を全て持っていかれた事を悟る。
今まで関わってきた人皆が姿を消しており、
クレアの話や引きこもりだった事なども、全て嘘だった事が分かる。
↓
絵と愛する人を失い、壊れ、施設に入る。
↓
クレアが話していた街へ引っ越し、新しい生活を始める。
彼女の話にあったカフェに独りで入り、席に着く。…おしまい。
若い女性を好きになったのに実は騙されていたという、悲しい老人の話…。
でも撮った監督がこの映画は「ハッピーエンド」だと言ってるのね。
それを踏まえて、よ~っく考えてみた私なりの解釈がこちら。
★クレアの気持ち
ヴァージルと居る時のクレアの愛は本物だったのかも。…現在はどうであれ。
「贋作の中にも本物がある」と何度も出てくる言葉。あれがメタファーじゃないかと。
演技で付き合ってたクレアの中に、本当の愛が芽生えてた気がする。
クレアの言葉「この先何が起こっても…」なんて普通は言わない言葉だし、
本音じゃないかなぁ、と。
話にあったカフェも実在してて、本当の話もしてたって事だし。
編集者と電話で「結末をハッピーエンドに変える」などとも言ってたけど、
作家というのも嘘だった訳だし、ヴァージルとの結末をせめてハッピーにしたい、
という、愛情や罪悪感からの意志表示ではないだろうか。
騙すはずの相手に癒され惹かれ、気持ちが変わったんじゃないかな…?
(嫌な爺さんだったら酷い言葉を残して居なくなってもおかしくないよね。
いや、でもそれだったら絵画泥棒を止めてくれって話なんだけど、
ビリーとの契約やロバートへの気持ちがあって…って事?にしておこう)
★ヴァージルを騙したメンバー、理由
主犯はヴァージルを恨んでいたビリー(ドナルド・サザーランド)の仕業っぽい。
才能を認めようとしない・組んでも自分ばかり儲けようとする、
そんなヴァージルへ不満を持っていると思われるシーンもあったからね。
なんてったってドナルドだしね~。なんとなく嫌な予感はしたよね~w
ロバートは今回、金が欲しくてビリーの話にのったんじゃないかな。
技術は持ってるけどそんなに稼げない…手っ取り早く金が欲しかった、みたいな。
(お金がほしいわけじゃない、とか言うシーンがあったけど裏返しだよね)
で、クレアは、ロバートのそばに居たいとか振り向いてほしいとかで
協力したんじゃないだろうか。(勝手な推測よ)
クレアの元カレはロバートなんじゃないかな、と思うし。
元カレについての話で出てきたカフェは実在してたわけだし、
そこってロバートが好きそうな歯車だらけのお店だったし。
ところが女たらしの彼にはない一途な愛をヴァージルから受け、
ヴァージルへも気持ちがいったのではないかな…?
(妬かれたくて爺ちゃんを愛する演技に熱が入った、などでは無い事を祈る)
サブメンバー、ロバートの彼女・サラや屋敷の使用人もグルだと思う。
最後の詐欺主要メンバーからのメッセージ、クレアのものは無い。
ビリーもロバートも「お前は本物を見分けられると言いながら騙されたんだよ♪」と
欺いて喜んでる気がするのね。特にビリーは面白かったはず。
でもってクレアは何も残してないから、
「騙しちゃってごめんなさい。…なんも言えね~~!」じゃないかと。
…都合良すぎるけどな。
★ラストシーンに続きがあったら
ラストシーンのカフェでクレアが登場して
「あの時は合わす顔も無くて…けどずっとあなたの事を忘れられなかった」
なんて言ったらハッピーエンドなんだけど、これはさすがに無理があるような。
実際のシーン、ヴァージルは独りで誰かを待つ様に席に座り、映画が終わる。
この後も、クレアが現れることは無い、と私は思うんだよね。
施設から出てあの街へ引っ越したのは彼女からの手紙があったからかもしれない。
(じゃないと住所とか分からんはずだし、施設で他の人から手紙を受け取るシーンが
あった為。…クレアから届いてたかは定かではない)
でもさすがに歳の差があり過ぎだし、そもそも騙した相手だし、
元カレへの思いが断ち切れてないかもだし(ロバートに依存してるかも?)、
あと普通にクレアが若くて綺麗でモテそうだというのもあり、
あの時は彼女もヴァージルが好きだった、けど今になって会う程ではない。
ってところじゃないかな。
ヴァージルは彼女を思い続けてるっぽいけど。
(ロマンチストな男と現実的な女の差かしら…)
★私が出した結論
「あの時だけはクレアにも愛があった」って事で。
今彼女が居ないんじゃ意味無いだろうが!どこがハッピーエンドじゃいっ、
って言う人もいるとは思うけど。
ヴァージルが一時でも愛を得たからハッピーエンドって事なんじゃないかな?
残った寂しさと心の傷はさておき…(おくなや!)
騙される前の彼だったら…ずっとつまんない顔をしてたとは思うよね。
愛する気持ちも知らないままズルで手に入れた絵をただ独りで眺めてさぁ。
かと言って、騙された後の状態も…病んじゃっててかなりマズイ。
でも彼女からの手紙があったっぽくて、「愛があった」が成立。
あの街へ行って心機一転スターティンなんだから、まあハッピーエンドなのでは?
(最悪なのは彼女に全く愛が無かった場合で、それが所謂バッドエンド?)
クレアから愛された、っていう実感があるから後悔は無い気がするんだよね、
ヴァージル。騙されたけど、その中に真実の愛もあった、っていうね。
本当にヴァージルの表情が人間らしく生き生きと変わっていったしね。
あの…詐欺師を擁護する訳じゃないからね、念の為。あくまで映画だからよ?
でも実際の詐欺師ってロバートみたいな人たらしが多いんだろうな。
…詐欺罪への罰則はもっと厳しくしないと!
(ヴァージルの場合、絵の落札者は元々ビリーだから絵は返ってこないし、
ズルしてたから警察にも話せない案件なんだよね~、やられたね~)
私もロバートは凄くいいあんちゃんだと思って観てたからね…!
ジム・スタージェスの演技が絶妙なのよ~。怖い怖い。
伏線だらけの作品なのでここに書ききれない程ポイントがあるんだけど、
この辺にしておこうかね。
本物クレアさんのくだりが結構な伏線になってて面白いよね。
(これまで書いてきたクレアさん、実は偽名で本名は分からないのよ。
ヴァージルへの手紙で書いたかどうだか…?)
しかしあの小さい本物のクレアさんって、本当に人間なのかな…?
凄い記憶力だし、実はオートマタって事はないのしらん…?
(だとすればロバートがオートマタについて話してたシーンがメタファー?)
もう一度観てみるとまだまだ新しい発見がありそう…。
解釈が変わるかもしれないので、そん時にはまた書き足したいと思います~。
いやぁ~、本当に面白くて素晴らしい作品でした。
…それでは今回この辺で。
次回、またお会いしましょう…!