全国2人くらいのそんなに陽のあたらない名曲ファンのみなさま、そんなに待ってなかったとは思いますがお待たせしました。やっとこのシリーズ、再開することができます。

 思えば10月初旬、突然PCからの音声が出なくなり、それから2ヵ月以上は音ナシのPC生活でありました。
 そのへんのことは2つ前の記事でも書きましたが、その後も事態は予想もつかぬ展開へ。


 

 あの時点では新調した中古PCに「電源コードを差し込む部位がユルユルで、ちょっと動いただけですぐ抜けてしまう」という致命的欠陥が発覚し、結局、それとはわずか3日でサヨナラすることに。
 返品するとともに店頭で提案されたベストな選択は、その日だけ全国350台限定で激安になる新品PCを買うというもの。差額でいくらか払うことになりますが、それでも当初のメーカー修理よりは安くつく計算になるのです。
 また、これのために電車に乗り、そこから片道15分くらい歩かなきゃならない距離にあるお店への往復を3回やったことになるのですが、それが限定品にめぐり合える幸運を呼んだのですからオッケー牧場ということにしておきましょうか。
 ただ、結果的にはあの記事で三助さんに指摘されてた「新品買いましたってオチだけは勘弁してください」で決着を見ることになりました。そこについては面白くないオチにしてしまったことを読者さまには深くお詫びいたします。 <(_ _)>
 
 さて今回のよいこのデンジャラスセレクションは、数にまつわる音楽で構成していきます。
 そうなると『いっぽんでもニンジン』のような数え唄の特集としたいところなのですが、生憎そればかりで面白い歌を集めるのはなかなかしんどい。なので、曲のなかに数字が出てきたり数を数える描写があるものを対象としていきます。
 数え唄的なものなら既に過去記事で出しちゃったものもあるしね。
 
ヘッドフォン
 
音譜五百木佑野(東京放送児童合唱団)『おふろのうた』<作詞:秋元康/作曲:市川都>
 
 NHK『みんなのうた』で放送された曲。『ひらけ! ポンキッキ』にも『おふろのかぞえうた』というのがあるが、それとはまったくの別歌。
 風呂嫌いな子どもを主人公にした歌で、さまざまな理屈をつけて入浴することを拒む内容になっている。三拍子のリズムに乗り、鼻が詰まったような声で聴く者を魅了する。
sao☆
 作詞者の秋元康いわく「子どものお風呂嫌いについて一生懸命言い訳する歌を作りたかった」とコメントしていたそうで、彼の思わくどおり、たまたま放送を見た私と母はケラケラ笑ったことを憶えている。聴けばわかると思うが非常に楽しい歌でして、いっぺん耳にしただけで忘れられなくなるくらいのインパクトを持つ。
 が、そのころNHKには父母や風呂屋から苦情の電話が殺到していたらしい。あわや放送禁止歌の仲間入りするところだったのか?
 その5年後、同番組では『おふろやさんへつれてって』なる曲を放送。『おふろのうた』とは対照的に視聴者の反応は好意的であったそうだが、この番組の視聴者がいかにセンスがないかがわかるエピソードである。
むっ
 なお本曲はカラオケ屋さんにも置いてあります。個人的にはラリルレロの発音を過剰に巻き舌にして、杉良太郎チックに歌うのが楽しいです。
 

 

ヘッドフォン

 

音譜川田義雄とミルク・ブラザース『かはッた數へ唄<作詞:川田義雄とミルク・ブラザース/作曲:川田義雄とミルク・ブラザース>

 

 この企画をやるにあたり、面白い数え唄を漁っていて発掘した曲。
 1940年7月に出されたものらしいのだが、なんともカッチョいいのである。後のハナ肇とクレージーキャッツが非常に似たかんじの曲を出していたような気がするが、クレージーファンのなかにはピンときた方もおられることだろう。たぶん、あれとおなじ系統の音楽なんでしょうね。
 伝説の4人組音楽ユニットあきれたぼういずで一世を風靡した川田義雄氏が、グループ分裂後に別ユニットでリリース。タイトルの「かはッた(変わった)」は自身の苗字「川田」からもじったものである。
 本曲では川田氏と「岡村」という人物が交互で掛け合いのように歌うスタイルをとっているが、この岡村とは川田氏の実弟にあたる岡村龍雄氏のことではないかと思う。
 ところがその後、日本は戦争に突入。岡村氏は1944年、グァムにて戦死されたもよう。楽しんでいいのかどうなんだか、よくわからない歌になってしもうた。
爆弾
 なお本曲は、おなじメロディで歌詞だけ違うものが他にもいくつか存在しているようだ。
 

 
ヘッドフォン

音譜石川ひとみ『三枚の写真<作詞:松本隆/作曲:大野克夫>
 
 この曲には思うところ多々あって、今回のラインアップには最後まで迷った。当初は他に用意していたものもあったのですが、全体的なバランスを考慮し、思い切って投下に踏み切ることに。また本曲は石川氏の代表的ナンバーである『まちぶせ』の次にリリースされたものなのでそこそこ知られているのでしょうが、ちゃんと聴いてみたのは近年になってからという個人的事情もあり。
 さて。よいこのデンジャラスセレクションを始めて約2年半になりますが、その一発目のトップバッターとして打席に立ったのが石川ひとみ氏の『さよならの理由』でありました。そんな古い記事に、いまになって熱心なコメントをくださる方がおられまして。
 なんでも最近、石川氏のコンサートへ行く機会があったそうですが、彼女の歌声は「アラカンとなった現在でも健在」「生歌のほうがイイ」・・・といった情報。この証言にはあらためて「やはり彼女はアイドル枠にしておくにはモッタイナイ“歌手”だったのだな」と思った次第。グッドニュース・アレンですな。
グッド!
 ところで私の個人的な感覚ですが、先に挙げた『まちぶせ』や『さよならの~』に関してはアレンジがいちばんの聞きどころだと思っている。でもこの曲において最大のウリは、なんといっても歌詞。問答無用の松本隆ワールドに「してやられた」感でいっぱい。じつに巧い構成で。
 非常に物語性が強く、16歳の夏→17歳の秋→20歳の春・・・と、約4年の月日のあいだに移ろう情景や心もようが見事に描写されている。良質な映画を一本観たような感覚にも近い。似たようなパターンでは『路地裏の少年』が真っ先に思い浮かぶのだが、我が人生“少年よ、家出せよ”的な在り方でここまで来てしまった私にはなかった世界観なのだ。こんな歌に噛みつかれたが最後、自分なら動揺のあまり歌えなくなってしまうだろう。石川氏はよく平気な顔して歌えるもんだと心配してしまうではないか(まぁ石川氏は自分とは違う人種だとは思うが)。
 なお本曲は『まちぶせ』同様、もともと三木聖子氏が歌っていたものを石川氏がカヴァーしたものである。そのため「『三枚の写真』といえば三木聖子のものだ」と主張する根強い層もおられるのですが、両ヴァージョンを何度も聴き比べてクールに判断してみた結果、今回は石川版を掲載することにしましたので三木氏ファンのみなさんゴメンナサイです。  <(_ _)><(_ _)><(_ _)>
 

読者さんには関係ないことなので詳細は書きませんけれど。

1年前、長らく連絡をとってなかった実家から手紙が届いた。身内の訃報であった。
綴られた文字を目にしたとき、脳内を流れたのが、なぜかこの曲のサビの部分。
その意味では、個人的には特別な曲になったのかも。

 
ヘッドフォン
 
音譜新井薫子『OH!新鮮娘<作詞:岩里祐穂/作曲:岩里未央>
 
 今回いちばんの問題作がコレ! なにしろ先ほどの『三枚の写真』で授かった余韻が、ものの見事に吹っ飛んでしまうのだから。それほどの破壊力を誇るのが本曲なのであります。台風
 とにかく「どうしてこうなった」と突っ込みたくなる箇所を挙げれば枚挙にいとまがない。とりあえず本曲の投下理由として「おなじフレーズを何度も無駄に繰り返す」ことで、今回の掲載資格である「数にまつわる」審査を強引に突破してしまった――という経緯もふまえ、先に謝罪しておきたい。 <(_ _)>
 新井薫子
といえば'80年代の前半、B級アイドルの代表選手として知られた人でありますが、おそらく世間的には「麻丘めぐみの『わたしの彼は左きき』をカヴァーした人」くらいの認識しかないのではなかろうか(だけど、そんなに売れてない)。かく言う私も彼女については「変わった名前」と「アイドルにしては微妙なビジュアル」の印象しかなく、それ以外にはコレといったものを感じなかったので「売れないだろうなー」と思っていて、実際そのとおり消えていった人だったのです(アイドルとしての活動期間は1982年から1983年までで、驚くほど短い)。
 ・・・私の目はフシアナでした。近年、たまたま本曲の動画を目にしたときの衝撃たるや・・・!雷 私が勝手に名前と微妙なビジュアル以外は没個性的だと思っていた薫子氏は、その後、髪をショートにしたうえ顔をパンパンにするという肉体改造(?)を施しており、没個性どころか見たことも聞いたこともないような狂気的な歌唱法で私の脳天をカチ割ったのであります! 何者かのイタズラ電話により「どうしてこうなった」を100人前くらい出前されたような気分に苛まれまして・・・まるで、それまで軽く見ていた私の認識を強力な兵器でもって覆しにかかるのが目的なのかといわんばかりの凄まじさ! あああ、おそろしや~。叫び
 そもそもコレ、曲づくりの段階でおかしいだろ。まず歌詞を解析してみたが、これはニッポン語か? いや、地球上に存在する言語として認めてもいいのか? よくこんなんでレコード会社はGOサインを出したもんだと、その英断にはアタマが下がるよ(脳天はカチ割れた状態ですが)。
 冒頭の「わたしは あなたの 新鮮娘!!♪
」は「わたしは ハウスの たまご麺♪にも応用が利きそうなツカミでありまして、これに「う、う、浮気な・・・」「きょ、きょ、今日こそ~」と嫌な予感のするジャブが何度か繰り返されます。不幸なことに嫌な予感は当たることとなりまして、直後に「アッ!と言わせるぞ」だの「衝撃的ダイビング」だの、おまえはメキシコのプロレスラーかと言わさんばかりの強烈なフレーズで追い打ちをかけてきます(2番では「泣かせるぞ♪」というのがあり、よりタチが悪い)。この時点で私的には致命的なダメージを負ってしまったのですが、最終的には激しくクビを振りながらの「新鮮!」×6、でトドメを刺してくるのでありまする!ナイフ
 なんてバイオレンスな曲でありましょうか。これね、小さい子が見たらトラウマになりますよ。たぶん、いまテレビで放送するなら「当時の時代背景を考慮し、そのまま放送します」的なことわりが要るんじゃないですかね?
 さらには謎を呼ぶ点がありまして。どうやら作詞者の岩里祐穂氏(作詞した作品はいっぱいあるようなのですが、知ってるのがひとつもない)は、作曲者の岩里未央氏とは同一人物らしいのだ。何故そのような小細工をするのか(笑)?
 ちなみに例の世論サイトの人にこれを見てもらったとき、参加者のなかから「この子を使ってるプロダクションは経営が成り立つんだろか?」と心配する声が挙がるほどでした。で、まことに遺憾ながら薫子氏のレコードリリースは本曲をもって終了している・・・。
 

間奏のあいだも飽きさせることはない。
ダンスでフラつく場面が最大の見どころだが、これを活かすにはカメラワークとの連携が重視されるのだ。

 
ヘッドフォン
 
音譜ゆうき志乃『志乃の数え唄<作詞:中山千夏/作曲:はしだのりひこ>
 
 前回に続き特撮時代劇『風雲ライオン丸』の挿入歌から。じつはあのときのよりも、こっちのほうが私にとっては本命の曲でした。
 はしだのりひこ作品を当シリーズの8回目にして初投下したのでありますが、その直後、はしだ氏が亡くなってしまった。はしだ氏についてはここで私なんぞが語らずとも、もっと詳しい方の記事を見てもらったほうがいいと思いますんで簡単に終わらせることとします。
 言うまでもなく、はしだ作品には名曲が多数存在します。ですが私が知るなかで、はしだ作品のいちばんのお気に入りが本曲なのであります。もう何年も何年も前からずーっと動画サイトに上がってほしいと切に願っていたのですが、なかなかそれが叶わず半ば諦めていただけに、このたびupされてたのをみつけて歓喜した次第でしてね。
爆  笑
 本曲は『風雲ライオン丸』における登場ヒロイン=志乃のテーマソングでありますが、そういうのを抜きにしてもイイでしょコレ。初めて聴いたのは特撮モノのCDでしたけど、屈折しまくった私でも本当に心洗われるような気分になったものです。
 まぁ、それだけです。言葉にしてゴチャゴチャ書いたってしょうがないでしょ、この曲は。聴けばわかると思いますんでね。
 なお本曲には別テイクとして劇中で志乃を演じた宮野涼子氏が歌ったものがあるが、このたび掲載したのはゆうき志乃ヴァージョンのほう。とはいえ、例えば『戦え! 仮面ライダーV3』には宮内洋の他に水木一郎や子門真人、『秋冬』にも原大輔や三ツ木清隆や高田みづえ・・・などなどのさまざまな歌い手がいたように、どこの馬の骨に歌わせたのかと勘繰るような歌手でもなく。またホームセンターや高速道路のサービスエリアの売店でワゴンに乗せて「○本で\1000」とまとめ売りにされているカセットテープとして世に出されたものとも違い、きちんと正規のレコードとして発売されていたものなので、いわゆる“パチソン”とは異なり「競作」と解釈いただきたい。そもそもインチキ臭さはないのでご安心くだされ。
 

 
ヘッドフォン

 目下、7年連続ひとり正月を絶賛満喫中であります。私は家族の誰とも感性が合わなかったため、見たくもない『紅白』とか『駅伝』とかにつき合わされることのない年末年始は、わりと性に合ってるかもしれません。
 あ、最初のほうに「幸運」と書きましたけどね。実際、新PCは優秀かもしれないのです。まず、画面がキレイ。そして音声もキレイ。こんなん使ってると前のタイプのには戻りたくなくなるかもしれません。
 ひとつだけ難があるとすれば、電源コードを差し込む部位がユルユルで、ちょっと動いただけですぐ抜けてしまうのでメーカーに電話を入れまして・・・ん? ん? ?(゚_。)?(。_゚)?
 

 

 

 

 

三枚の写真 三枚の写真
 
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