三日間、歩きまわって浮腫んで硬くなった足を、祖母が「足に実が入っているようだ」と表現する。巧いと思った。
祖母が話を続ける最中、私は「足に実が入っている」という表現が昔から謂われている表現なのか、祖母の作りだした独創的な表現なのかが気になって会話どころではなかった。
足に実が入っている。頭の中に木の実を考えよう。どんぐりでいい。表面は硬い皮に覆われて、鋭い石などで砕いてみる。中身は白く、サラサラとしていて、粉を作るのだ。どんぐりではパンが作れる。子どものとき、よくおままごとで砕いたものだ。
どんぐりを砕くと、サラリと溶ける。それはさながら足に固まった血や、リンパのようでマッサージして血流を促すことに似ている。いい表現だと思う。
出典先や、表現の吟味に没頭するあまりに、返事が遅れていたようだ。二度、同じ話を分かりやすく噛み砕いてくれている祖母に、理解している旨と「そうだね、いっぱい歩いたからね」という言葉を返しておく。
そうして、また本を読んでいるふりをして今得た比喩表現を心のメモ帳に書き写すのだ。
日常の中に、驚くべき比喩表現が隠れている。まったく、油断できない。お喋りの花は咲き続ける。色鮮やかに、豊かな花弁を広げている。