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この地で起業すると決めて、その準備に櫻井は一人忙しい。
一人、書斎で資料やら、書類やらと格闘中だ。
ノウハウや人脈と秀でたアイディアがあれば、今じゃどこででも仕事は始められる。
海外に行っていた時に出来た太いパイプもある。
とは言っても、一人で出来ることには限界があるのも確かだ。
ふと、頭に浮かぶ顔。
でも、今回ばかりは、昔から右腕として頼りにしていた松本に助力を乞えない。
家からも、その事業からも離れてしまった、今や、何の後ろ盾もない自分。
常に連絡を取り合っていても、松本は櫻井がきっぱりと相葉との関係を諦めたと思っているので、さすがに今更言いづらい。
そのうえ、松本の気持ちを何となく知っているから……。
PCのキーボードを叩く手を止め、小さく息を漏らす。
……あいつ、雅紀に今の仕事を紹介してやったくらいだからなあ。
俺や和のように、一度は愛する人と決別をしなくてはならないほどのしがらみもなく、純粋に惹かれることが出来るんだから。
色々、回り道をしてきた自分からしたら、少し羨ましい。
しかし、そうは言って人一倍、プライドの高いアルファでもある。
今の俺を受け入れてくれるだろうか。
櫻井は思案顔で頬杖をついた。
と、部屋のドアをノックする音。
「はい」
そっとドアを開け、雅紀が顔を覗かせた。
「翔さん、コーヒー淹れたけど……」
どこか遠慮がちに瞳を向けて微笑む。
部屋の空気が一気に柔らかくなるのを感じる。
「ありがと。ちょっと休憩するよ」
そう言って椅子から立ち上がると、近づいてきた相葉の手を引き、ぐっと引き寄せる。
「えっ、ちょっ、翔さん!」
「何?俺の休憩タイムに口挟まないでくれる。やばっ!ちょー、癒されるんですけど!」
細身でしなやかな体躯を、その体温とともに包み込む。
相葉からはいつだって良い匂いがする。
甘美で堪らなく魅かれる。
もっと嗅ごうと、首筋に顔を埋めれば、自分のつけた歯形が、ふわりと、そのうなじに浮かび上がった。
「し、仕事中でしょ?」
少しだけ、熱を含んだ声。
互いの体温が急に上がるのを、二人は同時に意識してしまうのだった。
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えー!次回、限定行きー!?
いや、まだわかりませんけどね。( ̄▽ ̄)