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1996年の夏。
週末の都内リハーサル室は、全国から集まった大勢のレッスン生たちの熱気と汗の匂いで満ちていました。
当時の櫻井翔は、学校の部活や勉強と両立しながら通う、小柄だけどちょっとクールで大人びた少年。
一方の相葉雅紀は、千葉から総武線に揺られてやってきた、いつも一生懸命で人懐っこい笑顔の少年。
まだ、将来マイクを持つことへの自覚も無いまま、二人は同じスタジオの、少し離れた位置でダンスのステップを踏んでいました。
「はい、今日のレッスンはここまで! 各自しっかり復習しておくように!」
振付師の厳しい声が響き、少年たちが一斉に崩れ落ちます。
「やべっ、あっちいー!」
相葉は激しいレッスンの暑さに耐えかねて、自分のレッスンバッグから「あの日の古い青いスポーツタオル」を取り出し、額の汗をゴシゴシと拭いました。
その時、スタジオの自動販売機で冷たい水を買った櫻井が、何気なくスタジオの後方を振り返ります。
櫻井の視線が、クタクタになった青いタオルで顔を覆っている少年の姿で止まります。
タオルの隅に見えた、色褪せた「S」の刺繍。
(……え?)
櫻井の目が丸くなりました。それは自分が幼い頃に神社の境内で、迷子の男の子に貸してあげたお気に入りのタオルとそっくりでした。
(あいつ……あの時の千葉の!?)
「まさか……、嘘だろ……」
櫻井が驚き、思わずその少年へと歩み寄ろうとした瞬間。
「おい、櫻井! ちょっとこっち来て、次の曲のフォーメーション確認するぞ!」
先輩のJr.に肩をがっしりと掴まれ、呼び止められてしまいました。
「あ、はい! すぐ行きます!」
櫻井は焦って振り返り、もう一度さっきの場所を見ました。
しかし、相葉はちょうど他のレッスン生たちに「相葉ちゃん、帰りにマック行こうぜ!」と腕を引かれ、スタジオの出口へと歩き出してしまっていました。
「あ、あの、ちょっ、待って……」
その声は、周囲のざわめきにかき消されます。
相葉は誰にともなく笑顔で手を振りながら、スタジオの重い扉の向こうへ消えて行ってしまいます。その横顔には、櫻井の胸の中、遥かかなたにあった鮮烈なイメージを呼び起こす、微かな何かがありました。
その日を境に、レッスン生が何十人もいる中で、櫻井は「青いタオルの少年」を無意識に目で追うようになります。
けれど、相葉が別のスタジオに呼ばれたり、櫻井が学校の試験でレッスンを休んだりして、なかなか話しかけるタイミングが訪れません。
(あいつ、ダンスの時とか、いつも一生懸命で、すげぇ楽しそうに笑うんだな……)
正体がはっきりと分からないまま、櫻井の中で「あの時の男の子」は、「気になるがんばり屋のJr.」へと変わっていきました。
一方の相葉も、遠くから自分を見つめてくる、目がくりくりとした知的な少年の存在に気づいていました。
(あの人、いつもダンスが正確でカッコいいな。いつか話しかけてみたいな……)
お互いが「あの日の二人」だとは夢にも思わないまま、切磋琢磨するJr.の仲間として、静かに、でも確実に惹かれ合っていたのです。
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昨日のFNS、MCさん、とにかく可愛かったですね。
なんだろー、相葉くんは変わらない。
その安心感があるから、今も息をしていられるのかも知れない。