歌舞伎座 九月大歌舞伎第三部『東海道四谷怪談』 | ANNEX324

ANNEX324

都内在住30代。買いものや観劇の記録など

 

坂東玉三郎さんがお岩様、片岡仁左衛門さんが伊右衛門を演じると聞いて頑張ってチケットを取った九月大歌舞伎。

ぴあの一般発売でなんとか取れましたが、感染対策で前後左右間隔を空けての販売なので余計に激戦だったのではないでしょうか。

ご年配の方が多いから、結構念を入れた販売の仕方を続けていたのかな。

ただこの販売方法のおかげで1階一番後ろの席でも見えづらさもなく、ゆっくり楽しめて良かったです。

 

 

 

四谷怪談は高校の演劇部で上演したことがあり大まかな流れは覚えていましたが、ディティールが違う色々なバージョンがあるので、この鶴屋南北作の歌舞伎では忠臣蔵の外伝という立ち位置で描かれている点だったり、殺されたお岩が釘付けにされた戸板が川で釣りをしていた伊右衛門の元に流れ着いてしまう描写だったり、当時実際あった事件やゴシップが取り入れられている点が面白いな、と思いました。

 

 

 

玉三郎さん演じるお岩様、貧しさや産後の病が長引いてやつれている弱弱しさも表現しつつ、武家の娘・武士の妻としての矜持、母としての愛がこのキャラクターの根っこにある強さなのだなと感じさせる演じ方で、だからこそ伊右衛門からの仕打ちに、夫の裏切りへの女としての怒り悲しみだけでない強い無念さや憤りが表れてああなったのだなという説得力がとてもありました。

仁左衛門さんの伊右衛門もリーディングロールとしての華と色気を出しつつ、短絡的かつエゴの塊のような最悪な男を見事に演じ切っていて、こちらもさすが、素晴らしかったです。

 

 

 

mizのmy Pick