横浜美術館『モネ それからの100年』展 | ANNEX324

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都内在住30代。買いものや観劇の記録など

 

お休みをとって実家に帰省したついでに、横浜美術館のモネ展に行ってきました。

 

東京の美術館と比べると(新国立とか広いけど)横浜美術館は館内も、まわりの敷地もひろびろ、豊かな感じで、外国の美術館みたいな風情で好きです。

平日の昼間だったから余計にそう感じられたのかな。

 

展示では、モネの絵画プラス、その影響を受けた現代アーティストの作品を取り上げています。

 

 

モネの《セーヌ河の日没、冬》

なかなか見られない大河の氷結から少しずつ溶けていく様を、モネがいかに夢中になって筆を動かしたかが伝わってくるよう。

 

 

同じくモネの《霧の中の太陽》

霧があるからこそ美しい、とロンドンの情景をいくつもキャンバスに残したのだそう。

ロンドンの産業革命後の街並みと霧の取り合わせが気に入ったのかなぁ。

ホームズとか切り裂きジャックとか、そういうミステリーの匂いがする感じでしょうか。

ぼわんと光る画面の中、建物や人にわずかな差をつけて描いてるのが見事です。

 

 

あとモネの作品では、画像は拾ってきませんでしたが、晩年、視力を失いつつある中で描いた、真っ赤な庭のお花の絵がどきっとする鮮烈さで印象的でした。

 

 

大きさに圧倒されたのが、モーリス・ルイスの作品。

決して広くはない自宅で、奥様が仕事で外出し、戻ってくるまでに作品を仕上げていたそうで。

ただどうやってこの大きさのキャンバスに絵の具を流したのか?が未だ不明なのだとか。

 

 

どこまでも広がるようなモネの睡蓮の連作から着想を得た、福田美蘭さんの新作。

明け方のビル群と、人が去った飲食店の静けさがガラスを境に、でもどこが境かはっきりせずまじりあうように広がっていくのが幻想的で、吸い込まれそう。

 

私はいつも音声ガイドを借りるのですが、借りなくても説明(子供向けに易しい解説でした)が結構充実していて、素人にはとっつきにくい現代アートも楽しんで見られると思いました。

 

 

最近、宇多田ヒカルさんの「初恋」にはまっていて、名曲「First Love」や過去の色々な作品と比べて聴いていると、核となる「宇多田ヒカルらしさ」は確かにあるのだけど、年齢や節目ごとに興味をもっているものや、そこからの影響された思考の流れが如実で、そのアーティストの素直さというか、吸収力を楽しめるってとても贅沢な娯楽だなと考えています。

 

モネも、そのとき彼の目に何が映っていて、何に心が捕らわれているのかが、多作であったり、連作というスタイルもあって余計に分かりやすい。

子供が好きなモチーフを何度も何度も繰り返し絵に描いたりするような、純粋な探求心。

だからこそ多くの人が作品作りに影響を受けるのかな、と感じました。