美術作品解説の「怖い絵」シリーズで著者、中野京子さんが特別監修された、東京上野の森美術館で開催中の「怖い絵」展。
『どうして。』という宣伝コピーもなかなか強烈です。
テレビ出演も多く、知名度のある先生なので老若男女問わず大人気で、連日大行列なようです。
いつ見ても、こんな感じ↓連休中は2時間超えてた…。
「怖い絵」展@kowaie_ten【11月7日(火)】14:20現在 ご入場まで約70分程待ち時間がございます。 チケット購入の待ち時間はございませんが、 チケットは事前にお持ちいただくと比較的スムーズです。 会場内は大変混雑しております。 本日は16:30最終入場 17:00閉館です。
2017年11月07日 14:19
もともと中野先生の著書のファンで、この展覧会開催が発表された後、5月くらいだったかな?発売された中野先生の生解説付き夜間鑑賞会のチケットを購入していたのですが、普通の日に行くんだったら大変だったなこれは。
そして夜間鑑賞会当日。
18時台と19時台2回の解説どちらかをチケット購入時点で選ぶようになっていて、自分の回じゃない時は自由に見て回れるスタイル。2回合わせて参加者160人と言っていたかと思います。
普段の日に比べたら信じられないガラガラぶりで、一番の目玉である日本初公開、ドラローシュ「レディ・ジェーン・グレイの処刑」なんて部屋の中でたった一人で見れてしまった!信じられない!
プレス向けお披露目会や常設しているロンドンの美術館でさえこんなシチュエーションないんじゃないかと思う。
実物のサイズ感や構図、タッチや色合いを直接目すると、本で読んで興味を惹かれたものとは別のものが心に残ったりもします。
何度も言うけれど、展示全てをゆったりした空間で見られるのが本当に格別。
中野先生もtwitterで言及している人が多い、とブログに書いていましたがシムズの作品が数枚展示されていて、柔らかなタッチの中に戦争の痛みや喪失が描かれていて、特に気になりました。
チャールズ・シムズ <クリオと子供たち>
目下ハリウッドを騒然とさせているセクハラ問題と図らずもタイムリーに関連性を感じて、印象的だった聖書題材の作品。
フランソワ=グザヴィエ·ファーブル <スザンナと長老たち>
現代アートにも通じる画風が特徴的だったモッサも面白かった。
ギュスターヴ=アドルフ・モッサ <飽食のセイレーン>
モッサを特にフィーチャーした展覧会とかやらないかな?
中野先生の解説は、冒頭のギリシャ神話に纏わる絵画に始まり、「切り裂きジャックの寝室」、シムズ作品、そして最後にレディ・ジェーン・グレイ。
本で一度読んでいるので知っている話と言えばそうなのですが、お話がとっても上手で引き込まれるし、今回の展覧会にあたって作品を借りる難しさや思い入れの熱さも伝わってきて楽しかったです。
てっきりレクチャールームか何かがあってそこで話を聴くものと思ったら、普通にその絵の目の前に集まって話が聴けたのも(ちょっと脚が疲れたけど)贅沢でした。
その他、会場入り口にあるアトラクション。
目玉の一つであるウォーターハウスの「杯を差し出すキルケー」は、実際の絵にはオデュッセウスの姿が背景の鏡に映りこんだかのように描かれていますが、それを本当の鏡にしてセルフィーが取れる仕掛け。なかなかうまく撮影するには技がいる。笑
鑑賞会の他、図録とお土産もついてきました。
お土産はあんまり期待してなかったのですが、美術館のグッズ売り場にもあったお菓子「黒い恋人」(笑)に、別の美術展のチケットも入っていたし、なかなか豪華。
これでチケット代7,000円いかないって、コスパ相当いいと思う。本当に満足度の高い鑑賞会でした。