「ちゃんとしている」ことをどんどん自分に課していき、

 「人は信じられない」という信念を強固に持ちながら育ってきた私。


そんな私が、何もできない状況になってしまったことがある。


(その3)です。

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結婚してはじめの3年は、都会で二人暮らしをしていたが、

3年後、夫の仕事の都合で、夫の田舎で同居することになった。



私も仕事をしており、結婚する段階でもともと夫の両親との同居を希望していた。

結婚する直前に夫が東京に行くことが決まり、私がついて行ったのである。



だが、夫の田舎に戻ると決まったものの、

4月が仕事のスタートだった私とは違い、
夫は6月末まで東京にいなければならなかった。


つまり、夫のいないなかで、私だけが夫の両親と祖母と一緒に暮らす期間があったのである。


私の夫は末っ子。

兄姉と年が離れていたため、結構ほっとかれて育ったと言っていた。

言い方を変えれば、何をしたとしてもOKだったようだ。


新しい生活がはじまって、
私は「いい嫁にならなくっちゃ」と自分を追い込んだ。



だが、のんびりした義母は、

私がやります、と言っても

「いいから、いいから~。」

と、ほわ~んと言って家事をやってくれ、


明るい義父は、言葉の違いをおもしろがって夕食時に楽しい話をたくさんしてくれた。



そうこうしているうちに、

新しい職場での人間関係と仕事そのものが
だんだんうまくいかなくなり、


私は、精神的にどんどん追い込まれていった。



 周りの人が優しい言葉をかけてくれても、

 「本当はそう思ってないくせに。」

 「そんなことを言われたって、わたしは◯◯ができないんだから意味ない。」


そんな風に自分をどんどんいじめていた。



夫が6月末に戻ってきたときには、


私は食欲がなくなり、夜もあまり眠れなくなっていた。


なんとか自分をふるいたたせて職場に行き、

くたくたになって帰ってくる。




義母はいつものようにほわ~んとしながら夕食を作ってくれた。


くたびれはてていた私は、茶碗と箸を持ったまま眠りこけることが何度も有り、


「聡子さん、寝なさい。あとは私がやるから。」


そう、毎日言われていた。



そんな様子の私に、義父も一切何も言わなかった。




 私は、隣に寝ている夫を、ほぼ毎日、夜中にたたき起こした。


 「もういやだ!仕事やめる!」

 夫「やめれば~。」

 「やめられるわけないじゃん!これもあれもやんなきゃいけないし、そんな無責任なこと!」

 夫「じゃあ、続ければ~。」

 「いやだ、いやだ、行きたくない。゜(゜´Д`゜)゜。」




そんな、支離滅裂なやりとりを、夜中に毎日していたのである。



私がぐったりして、お風呂にも入らずに寝ているのを知っている夫は、

夜中に私が叩きおこすと、よく一緒にお風呂に入ってくれた。

お風呂の中で泣いている私の頭を洗ってくれた。


その間も、私は

「やめる。」「行かない。」「でも、そんなことしたら許されない。」「行くしかない。」

そんな言葉をくり返していた。



 (先日、夫にそのことについて改めてお礼を言ったら、「そうだっけ?」と言われた。びっくり!)



それが1ヶ月ほども続いただろうか。


あんなに好きだった映画にも一切行かず、

休日はとにかく死んだように寝ているか、

休日出勤して仕事をしているかのどちらか。



こんな、私が理想としていた「嫁」からはかけ離れた生活をしていたのに。



しかも、家のことは何もせず、迷惑かけ放題。


夫に至っては、毎晩夜中に起こされ、ぐちぐち訳の分からないことを言われる。



そんな生活をしていたのに。





夫も、夫の両親も、


私が何もできなくても、ALL OKだったのである。



ただ、私が存在しているだけで、ALL OKだったのである。




それから半年かけて、私はゆっくりゆっくり回復していった。





次の4月からは職場内での移動もあり、


少しずつ仕事もできるようになっていった。




私は、実家に全く帰らなくなった。



義母から「少しくらい帰って、お母さんに顔を見せてあげたら。」と言われても、

かたくなに、帰ろうとしなかった。



なぜなら、



私のすべてにOKを出してくれる今の家族と一緒にいるほうが、




何倍も何倍も幸せだったから。


だが、やはり、

母に対する感情に向き合わなければならない日がやってきた。




それは、母がいない場所。


ある研修会場でのことである。


(その4)「私、本当は…」に続く。

 

 

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