私の両親は共働きだったので
祖母に育ててもらった、
いわゆる「おばあちゃん子」でした。
中学生のときだったか
それまであまり昔のことを
語らなかった祖母の口から
戦争のころのことや
戦後にあった様々な苦労話を
ゆっくり聞く機会があり
とにかく必死に生きて来たことが
ストレートに伝わってきて
祖母に対する見方が
変わってきたことを覚えています。
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今回ご紹介する絵本は、こちら。
『ベッシーちゃん』
石川えりこ
アリス館

なおちゃんは、
ふすまをそっとあけました。
「おばあちゃん、
いっしょにねてもいい?」…
おばあちゃんは、
なおちゃんの背中をトントンしながら
小さな声で英語の歌を歌いました。
「おばあちゃんは、
どうして英語の歌を歌えるの?」
なおちゃんが尋ねると、
おばあちゃんは少しずつ
小さい頃のお話をしてくれました。
実はおばあちゃんの両親は
カナダのバンクーバーに
日本から仕事を探して渡航しており
おばあちゃんはバンクーバーで
生まれていたのです。
おばあちゃんの名前は「ふじ」。
そして、そのほかに「ベッシ―」という
名前がありました。
それからおばあちゃんは
なおちゃんにせがまれて
「ベッシ―ちゃん」と呼ばれていた
子どもの頃の話をしてくれました。
8年間、カナダに住んだ後、
両親の方針で
日本の教育を受けるために
たった一人で日本の親戚に預けられた、ベッシ―ちゃん。
学校を卒業したら
カナダに帰れる。
そう聞かされていたのですが
戦争がはじまって
帰れなくなってしまいます。
カナダがふるさとだということも
英語がしゃべれることも
ずっと誰にも言えずに。
ベッシ―ちゃんは、
作者である石川えりこさんの
実のおばあさまです。
この作品には
戦争について声高に叫んだり
訴えたりする場面はありません。
でも
「ベッシ―ちゃん」の話を通して
時代の大きなうねりの中で
日々、生きている人々の姿と
そのときに感じていたことが
じんわりと伝わってくるのです。
人生には
予想もしていなかったようなことが
何度も起こります。
特に戦争は
否応なく、人々の生活を変えていきます。
それでも
毎日を生きていくこと。
そして
命をつないでいくこと。
その素晴らしさを
静かに語ってくれるような作品です。
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