スペイン ムルシア州 ロルカと言う街の標高450m程の山の上にあるパラドールに宿泊した時のことです。
夕暮れ時、周辺を散歩していたら、20メートルぐらいの距離に、いきなり3匹の山羊の親子が走って来ました。この付近は、15世紀のユダヤ人地区の遺跡がある所で、鹿の親子は野生で、付近の山に住んでいるようでした。
崩れかけた遺跡の石壁の下は、急な崖になっていて、3頭は下りて行くのを、ためらっている様子でした。
しかし、遺跡の中には、餌となる草があまり生えていません。このままでは、まだ空腹は満たされません。
暗くなる前に草のたくさんある所に行きたいお母さん山羊。
しかし、下は絶壁のようで、親子は勇気がでません。
『他の道がないか見て来るわね。』 とお母さん山羊。
『お母さん 待って 』 と一頭の子山羊も続きます。
あたりは、だんだん薄暗くなっていきます。
さあ どうするか、早く決めないと、、、
お母さん山羊は、決心して崖を下りて行きました。
『お母さん大丈夫かな?』
残された、子山羊2頭。
お母さんの後について行きたいけど、崖を下りるのは怖い。
すると、一頭の子山羊は、勇気を振り絞って、崖を下りて行ってしまいました。
もう一頭の子山羊は、崖の上に残されたままでした。
みんなと一緒に行きたいけれど、怖くて勇気がありません。私は、母山羊が、子山羊のことを忘れていなかったので、ほっとして、夕暮れの遺跡を後にしました。