【佐渡島②】『7SEEDS』で巡る金の島【5/25】 | 世界の道の曲がり角 The Bend in the Road around the World

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山と旅と写真の記録
2019.1.7~2020.3.11世界一周旅行 完
山を求めて長野県に移住。

『7SEEDS』のネタバレ注意。



5月25日(土)②


お次は佐渡観光のメインスポットのひとつ、佐渡金山。金鉱山として平成元年に金がなくなるまで400年近く採掘が行われていたところだ。平成元年といえば私の生まれた頃だ。そんなのついこの前じゃないか、と思ったらもう35年も前の話なので驚く。現在は世界遺産登録に猛プッシュされており、アリの巣のように広がる採掘跡の一部を見学することができる。



見学コースは二つある。せっかくなのでどちらも行く。入場料1500円。



内部はひんやりと薄寒い。説明板を読みながら進む。



やたらリアルな工夫人形たちが漏れ出る地下水をせっせと運び出す様子を演じてくれる。



こちらは地下道を補強する人たち。たまにセリフが再生される。家に帰りたいらしい。とにかくリアルで、たぶん閉場後には「疲れたわー」とか言いながら別エリアの人形たちと喋ってる。
あまり負の歴史には触れられていないけど、こんな陽の光も当たらない暗く澱んだ空気の地下での重労働は過酷で早死も多かったようだ。これに比べれば私の労働環境はまだマシなのかもとか思える。



地下道を進む。『7SEEDS』でまさにこんな感じの地下道も多く登場し、何らかの危険が待ち受けていたりするので緊張感が高まる。というか積極的に『7SEEDS』脳になって必要以上に緊張感を高めて楽しむ。



暗く長くジメジメとした掘削道を抜けると緑豊かな場所。佐渡金山の象徴的景観「道遊の割戸」。金脈を掘りまくっていたら山がぱっくり割れてしまったそうな。そんな日本昔話じゃあるまいしと言いたくなるほんとの話。



緑生い茂る隙間にかつての金採掘設備の名残。いつか完全に自然に飲み込まれるのかもしれない。あ、これも『7SEEDS』っぽい。


佐渡金山に満足して次へ進む。すぐ近くにある北沢浮遊選鉱場跡。この高低差を利用した設備なんだとか。ここも今やツタに覆われて自然に飲み込まれかけている。もっと近くで見て歩き回ってみたい。



海沿いにどんどこ先へ進む。弁慶のはさみ岩。『7SEEDS』でも世界崩壊前には観光スポットだったとしてセリフに登場する。
挟まっているねえ。行った時間には逆光になってしまっていた。

ここから北端までひたすらにドライブ。と言っても思いの外アップダウンが多く、道が狭いところもあり気が抜けない。時々「サドイチ」の看板が。自転車で佐渡島を一周するやつだ。いやいやとんでもない。アップダウン半端ない。かつてアワイチ(淡路島)、ビワイチ(琵琶湖)、しまなみ海道、そしてアンイチ(アンコールワット)を若気の至りだけでやったが、これは絶対迂闊にやったらあかんやつ。
海岸沿いにも時々集落がある。店も交通機関も十分ではないだろうに、こんな坂道だらけの場所で特に高齢者はどうしているのかと思えば、シニアカーでスイスイ移動するおばあちゃんを何名か見かけた。なるほどなるほど。



日が傾いた17時ごろ、北端付近のスポット大野亀に到着。巨大な一枚岩がドーンと鎮座している。



ここ大野亀はトビシマカンゾウの群生地。偶然にも訪れた5月下旬〜6月上旬はこの黄色い元気な花があたり一面に咲き誇る季節だった。何だか日本じゃないみたい。どこかファンタジックな景色。知らずにいい時に来た。去年冬の間際に無理やり来なくて良かったな。



大野亀に向かって細い踏み跡が続いていたのでなんとなく登ってみる。思いの外大変に感じたけど後で見れば登頂まで10分程度。



てっぺんにはなにやら祠的なもの。



今日走ってきた大佐渡の海岸線。西陽を受けて美麗。



反対側の海岸線。左上に見えるのはこれまた写真スポットの二ツ亀。ここから見れたから良しとした。

時刻は18時近く。だいぶ日が長くなったとはいえ日没が迫っている。


佐渡の真ん中らへんにある両津港近くまで走り、さらにそこから山道をグイグイ登って今夜の車中泊ポイント、ドンデン高原ロッジ標高890mに到着。どうにか真っ暗になる前に来られて良かった。



青が深くなっていく夕暮れの空。ここから本州側の小佐渡が見渡せる。

『7SEEDS』で登場人物たちはどこだか何だか分からない密林を彷徨い翻弄されるのだが、やがてそこが佐渡島であることが明らかになる。さらに小佐渡は地殻変動によって沈んでしまっており、残った大佐渡も陥没して地下に森が広がる二重構造となっている姿が描かれている。(壮大)
ここドンデン高原から眺める景色も小佐渡と大佐渡の間の平地は加茂湖や水が張られたばかりの水田が広がっており、沈んだ小佐渡を想像補完すると『7SEEDS』に出てきた景色を覆い浮かべることができる。

「これが佐渡…」

ひとしきり『7SEEDS』の世界観に浸ったらドンデン高原ロッジのお風呂をいただく。500円。石鹸類、ドライヤー完備。



お風呂から出てくるとあたりは暗くなっており夜景が綺麗に見える。島の明るいところは両津港付近の市街地。そして水平線に見えるのは本州新潟の明かり。
下調べはしてきたのだが、念のためロッジの方に車中泊していいかお伺いして了承を得る。ロッジ内のトイレは自由に使用可。ありがたいことこの上ない。



やがて完全に暗闇。と思ったらやたら明るいお月様。満月やや欠け。両津湾に月明かりが反射していとをかし。
星空も見つつのんびりしたいところだが、なんせ午前3時起きなので眠い眠い。22時前には就寝。おやすみなさい。

松本を出発してから佐渡島のメイン観光スポットを巡り巡る濃厚な1日目だった。
続く