「卒業」
チョン・リョウォン
“自分自身を応援する方法を学んだ”
チョン・リョウォンが、ドラマ「卒業」で
再び女優人生に残るキャラクターを誕生させた。
「卒業」は、学習塾のベテラン講師ソ・ヘジン
(チョン・リョウォン)の前に元教え子のイ・ジュノ
(ウィ・ハジュン)が新人講師として現れることから始まる
秘密のミッドナイトロマンスだ。
チョン・リョウォンは、確かな演技力で作品に入り込み、
塾講師ソ・ヘジンを完璧に表現した。
独特のおぼろげな雰囲気でウィ・ハジュンとのドキドキ、
ハラハラする物語を描いて視聴者を魅了した。
―― 作品を終えた感想はいかがですか?
チョン・リョウォン:本当に久しぶりに、ただただ愛されて、
可愛がられながら演技しました。そのせいか、
楽しかった休暇が終わったような気分です。
「卒業」のグループチャットルームがあるんですけど、
そこで「これから何を楽しみに生きればいいの」みたいな話を
していたら、「みんな何してる? 会おうよ」と言われて
急に会いました。その時に撮った写真をInstagramに
アップしたら、すごく気に入ってもらえて、
一緒に残念がってくれました。
―― 制作発表会で「卒業」が人生最高の作品になりそうだと
おっしゃっていましたが、本当にそうなりましたか?
チョン・リョウォン:本当に運命的に出会った作品なので、
人生最高の作品になりそうだと言ったんです。私がかつて、
日記に一緒に仕事をしたい監督や脚本家の名前を
書いていたのですが、そのリストにアン・パンソク監督も
ありました。私と共演した同僚俳優たちが、
アン監督の作品に出演してほしいと言っていたためです。
去年の5月頃、台本を一つもらって、聞いてみたら、
恋愛ドラマでアン・パンソク監督の作品だというので、
読みもせずに「やる」と言いました。
―― そのようにして初めて仕事をした
アン・パンソク監督はいかがでしたか?
チョン・リョウォン:アン監督は、
「これはこのように表現したらどうでしょうか」と質問すると、「リョウォンさん、俳優というのはですね……」と
答え始める方です。最初はそのような会話をどのように
進めていけばいいか分からなかったのですが、
時間が経つにつれて監督のスタイルが完全に分かってきました。「演技について何も言われなければ、
監督は満足しているのだから、私もそれに
満足すればいいんだな」と分かりました。
以前は監督に褒められたり、確認してもらいたい気持ちが
強かったのですが、アン監督を経験したら、
「あ、これくらいでいいんだ」と思えるようになりました。
だから作品が終わった後も十分だと感じました。
―― 劇中のソ・ヘジンが成長したように、
チョン・リョウォンさんも演技をしながら成長したと
思いますか?
チョン・リョウォン:ヘジンは仕事はよくできますが、
恋愛や気持ちを表現することは苦手です。
私も仕事はうまくやっているようにみえて、
自分自身のことは応援していなかったように思います。
しかし、この作品を通して、自分自身を応援する方法を
学びました。ヘジンが結局は講師を辞めて夢に向かって
進むようにです。だからといって、私も女優を辞めると
言っているわけではありません(笑)。
―― 講師を辞めるには、ソ・ヘジンのキャリアが
もったいないとも思いました。
チョン・リョウォン:私は最初からヘジンが塾を辞める結末を
描いていました。ジュノが良い先生になることが、
ソ・ヘジンの完全な卒業だと思ったからです。
ヘジンがずっと先生、先輩としてそばにいると、
ジュノの成長に限界があると思います。だから、
自分の夢を求めて去るのが、一番良い結末だったと思います。
―― 韓国の学習塾は経験したことがなかったと思いますが、
講師の演技はどのように練習しましたか?
チョン・リョウォン:私は韓国の学習塾を経験したことが
ないので、とても不安でした。そのため、
台本をもらった時からずっと講義を観ました。
休みの日も見て、聞きながら寝ていることもありました。
板書の練習も、実際に塾に夜11時くらいに行って
夜明けまでやりました。ですので板書の演技にはすごく自信が
あったのですが、思ったより講義のシーンが少なく、
板書するシーンもたくさんカットされてしまい、
とても残念でした。tvNで未放送分を
公開してくださったのでよかったです。
―― 職業が強調される演技を主にやられていましたが、
久しぶりにロマンスを披露しましたね。
チョン・リョウォン:「ついに恋愛か!」と思って
とてもワクワクしました。最初の4話までの台本を
受け取った時は、「恋愛の要素があまりないな」
と思ってがっかりしましたが、5話からはワクワクし過ぎて
台本を放り投げました。ジュノの
「行間、全部読みましたよね?」というセリフを見た瞬間、
「あぁ、韓国語の先生が主人公である理由があるんだ」と思い、その時から、会話が絶対に横道にそれないスキルを
持った彼らの恋愛が楽しみでした。あまりに気に入ったので、
脚本家さんに台本の写真を送って、
「この作品が私に来たことが信じられません。
プレゼントみたいです」と伝えたことを覚えています。
―― ウィ・ハジュンさんとの共演はいかがでしたか?
チョン・リョウォン:作品をやる前はウィ・ハジュンさんを
一度も見たことがなかったので、Instagramを
探してみました。作品の中の荒っぽい姿とは違って、
すごくよく笑う人だったんです。「明るく、愛嬌がありそうだ」と思って最初の撮影に行きましたが、
「イカゲーム」の撮影中だったので、短髪で日焼けまで
していました。実際にも寡黙な性格でもあり、
少し心配しましたが、そういった性格のせいか、
ジュノのキャラクターを憎らしかったり、
軽々しくならないようにうまく表現していました。
ハジュンさんがジュノ役を引き受けてくれたことが、
とてもありがたかったです。
―― ユニークなベッドシーンも話題になりましたね。
チョン・リョウォン:アン監督が現場で
「ヘジンは、恋愛経験がない」という設定を
くださったのですが、最初は理解できませんでした。
でも設定なので、本当に恋愛経験がないように、
ぎくしゃくする演技をしました。
ハジュンさんとも「このように合わせればいいのではないか」
と話して撮影に臨みました。監督がその状況を撮って、
1カットで終わらせたんです。これでいいのかなと
思ったのですが、放送を見たら、すごく艶めかしいので
驚きましたし、なぜ恋愛経験なしという設定を与えたのか、
さらに撮る必要はないと言ったのか、すぐに分かりました。
―― 職場で恋愛をすることについてはどう思いますか?
チョン・リョウォン:最初は「特に問題ないだろう」と
思っていたのですが、この作品では先生と弟子の恋愛が
描かれているので、一歩間違えたら「じゃあ、うちの子も?」
という危険な想像をされるかもしれないと不安もありました。
そのため表現に気を遣いました。
―― 今回の作品で、恋愛ドラマに対する欲はある
程度解消されましたか?
チョン・リョウォン:第9部以降、事件が起きてから
恋愛の要素があまりなくて、撮影中にスチールを撮る監督と
「後でInstagramにアップする、仲睦まじい写真でも撮ろう」と言って、私とハジュンさんが密着した写真を撮ったのですが、それがポスターになりました。そのポスターを見た瞬間に
「よし、これくらいなら満足」と思って、
その時に解消された気がしました。
―― 最近は活動が少ないように思いますが、
何か理由はありますか?
チョン・リョウォン:作品をたくさんやらないといけないとは
常に思っています。でも、そのチャンスはすべての俳優に
与えられるわけではなく、最近は編成も難しいので、
「与えられた作品に最善を尽くそう」と思っています。
それでも休む期間が長くなると、演技の感覚を
失うような怖さもあり、不安もあります。
でも私は、できる限り着実に、
たくさん演じたいと思っています。
今も次回作を検討しています。
―― 一番印象に残っているセリフやシーンは何ですか?
チョン・リョウォン:この作品で一番好きなシーンは、
ピョ・サンソプ先生の講義シーンです。
ピョ・サンソプ先生役のキム・ソンイルさんを、
その講義シーンで初めて見ました。
リハーサルをしていたのですが、本物の先生を
連れてきたのかと思うほどでした。
それで「私も負けられない。学校で会うシーンは本当に
上手くやり遂げなければならない」と思って頑張りました。
―― 女優チョン・リョウォンさんの人生の
名シーンを挙げるとしたらいつですか?
チョン・リョウォン:まず、初めて
「青龍(チョンリョン)映画祭」に参加した時が
思い出されます。その時、私が新人賞の候補だったのですが、
トイレで緊張しすぎて、鏡を見ながら
「大丈夫。あなたが緊張しているのはあなた以外誰も
知らないから」と言い聞かせました。
その鏡の前にいた時が今でも記憶に残っています。
2つ目の名シーンは、私が「卒業」を撮って、
初めて自分に「十分だった、苦労したよ」と
言ってあげたことです。私は一度も作品を終えてから
「十分だった」と言ったことがなかったのですが、
「卒業」は私にとっても、ヘジンにとっても、
十分だったように思います。
名前は本名ではなくていいです。
よろしくお願いします。