権利能力:私法上、権利義務の帰属主体となることのできる資格
意思能力:自己の行為の結果を弁識するに足りる能力
行為能力:法律行為を単独で有効に自己に帰属させることのできる能力
被後見人:
被保佐人:
被補助人:
詐術:無能力者が相手方に無能力たることを信ぜしめるため積極的な手段を用いることをいう。
=単純黙秘はあたらない
/他の言動とあいまって、相手方を誤信させ、または誤信を強めたとき」は詐術にあたる
責任能力:自己の行為の責任を弁識するに足るべき知能を備えていること

法人:自然人以外のもので、私法上、権利義務の帰属主体となることのできる資格
社団:一定の目的で構成員が結合した団体
財団:一定の目的のために結合された財産の集合
権利能力なき社団:法人格を取得していない社団
職務を行うにつき:職務行為、その遂行に必要な行為、外形上、職務行為またはその遂行に必要な行為と認められる行為を行う場合をいう

土地の定着物:土地を構成しないが土地に固定しており,取引通念上土地と一体と扱われる物
従物:物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有する他の物をこれに附属させた物をいう

法律行為:法律効果を発生させる行為
意思表示:法律効果を欲する内心的効果意思を表示する行為
心裡留保:表示に対応した内心的効果意思が欠けていることを、表意者が知っている場合
通謀虚偽表示:相手方と通じてなした、内心的効果意思に対応しない意思表示
錯誤:表示に対応した内心的効果意思が欠けていることを、表意者が知らない場合
動機の錯誤:内心的効果意思形成の動機に錯誤があること
詐欺:人を欺罔して錯誤に陥れ、意思表示をさせること
強迫:暴行、脅迫によって人を畏怖させ、意思表示をさせること
意思の通知:通知者の内心的効果意思とは無関係に、法が法律効果を認める意思の通知
観念の通知:法律効果を発生させる事実の通知
感情の通知:法律効果を発生させる感情の通知

代理:代理人が本人のために行い、または受けた法律行為の効果が、本人に帰属する制度
自己契約:本人が、自己と相手方との法律行為について、相手方の代理人となること
双方代理:本人の代理人が、同一法律行為の相手方の代理人となること
任意代理:本人の意思による代理
法定代理:本人の意思によらない代理
授権行為:任意代理権を授与する行為
無権代理行為:代理権なく行われた代理行為をいう

無効:法律行為が、その有効要件を満たさないため、当初から確定的に法律効果を生じないこと
取消:瑕疵のため不確定的に有効とされる意思表示を、表示の時まで遡って無効とする意思表示
撤回:意思表示をした者が、意思表示を将来的に無効とすること

時効:永続する事実状態を、権利関係に高める制度
取得時効:他人の物または財産権を一定期間継続して占有または準占有する者に、その物の所有権又は権利を原始取得させる制度
消滅時効:所有権を除く権利が、一定期間行使されない場合、その権利を消滅させる制度
時効の援用:時効によって利益を受ける者が、時効の完成を主張する意思表示
援用権者:時効によって直接利益を受ける者およびその承継人をいう

除斥期間:法律関係を速やかに確定させるため、一定期間の経過によって権利を消滅させる制度
条件:法律行為の効力の発生・消滅を、将来の発生が不確定な事実にかからせる付款またはその事実をいう
期限:法律行為の効力の発生又は消滅を, 実現することが確実な将来の事実の成否にかからしめる付款をいう

不融通物:私法上、権利の客体となり得るが、取引の客体とすることができないものをいう
融通物:私法上、取引の客体となりうるものをいう
物権法定主義:法律が定めるものに限り認められ、当事者があらたに作り出すことはできないことをいう。
一物一権主義:同一物について、同一内容の物権は、一つしか成立しないことをいう。
=一個の物権は、複数の物の上、一個の物の一部の上には成立しない。
=一個の物の上には、複数の物権は存在しない。
物権的請求権:物の円満な支配状態が妨害され、又は妨害されるおそれがある場合に、物の排他的支配を実現するために認められる請求権をいう。
=返還、妨害排除、妨害予防

物権変動:無制限説(判例に同旨)
第三者:登記の缺欠を主張するにつき正当な利益を有する第三者(判例に同旨)
公示の原則:物権変動を第三者に主張するには外部から認識しうる一定の徴表的な形式が伴わなければならないとする原則をいう
公信の原則:真の権利状態と異なる公示が存在する場合に、公示を信頼して取引した者に対し、公示どおりの権利状態があったのと同様の保護を与える原則をいう

占有:自己のためにする意思を持って、即ち、対象物から生じる利益を自己に帰属させる意思を持って、対象物を自らの支配下に置くこと。
占有権:物を事実上支配する状態(占有)そのものを法律要件として生ずる物権をいう
所持:物を現実に支配している状態
自己のためにする意思:自ら占有の利益を受ける意思でする所持
自主占有:所有の意思を持ってする占有
他主占有:
自己占有=直接占有:他人のために、一時占有する権利義務を持ち、物を所持している占有。
代理占有=間接占有
:本人が他人(占有代理人・占有補助者・占有機関)の直接占有を通じて取得する占有
善意占有:本権に基づかない占有のうち、占有者が本権があると誤信して占有している場合(誤信について過失があれば過失ある占有、なければ過失なき占有)
悪意占有:本権に基づかない占有のうち、占有者が本権に基づかない占有であることを知り、又は疑いをもっている場合
占有の推定:186条1項→平穏公然善意、188条→無過失。
占有権の消滅:占有の意思の放棄、占有物の所持の喪失(占有回収の訴え)による
即時取得:前者の持つ動産の占有を信頼して取引した者は、前者が無権利であっても、動産の所有権、質権を取得する制度をいう。=公信力に基づく原始取得を認め取引の安全を図る制度。

過失ある占有、過失なき占有 善意占有者のうちその誤信に過失があるものとそうでないもの


所有権:法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利
附合:動産が不動産に附合して全体として一個の物と見られるに至ったこと、ないし、所有者を異にする数個の動産が付合して、損傷しなければ分離することができなくなり、または、分離するに過分の費用を要するに至ったこと
地上権:工作物または竹木を所有するためなどの目的で、他人の土地を使用する権利
永小作権:小作料を支払って他人の土地において耕作または牧畜をする物権
地役権:自己の土地の便益のため、他人の土地を使用し得る物権である

留置権:他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで、その物を留置することを内容とする担保物権をいう
質権:債権の担保として債務者又は第三者から受け取ったものを、債務の弁済がおわるまで債権者が留置して弁済を強制し、弁済が無かった場合、その物から優先弁済を受けることができる約定担保物権をいう
転質:質物を更に質に入れることをいう
承諾転質:質権設定者の承諾を得てする転質
責任転質:質権設定者の承諾を得ることなく質権者が自己の責任をもってする転質
抵当権:債務者又は第三者の不動産ないし権利の価値権を把握する権利で、担保提供者に使用収益を認めながら、債務不履行があればその担保物から優先弁済を受ける約定担保物権
担保物権

   第七章 留置権

(留置権の内容)
第二百九十五条  他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる(実際には弁済が先履行ではない潮見)
ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
2  前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。

家全部、敷地利用権

(留置権の不可分性)
第二百九十六296条  留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる。

(留置権者による果実の収取)
第二百九十七条  留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる。果実の優先弁済権
2  前項の果実は、まず債権の利息に充当し、なお残余があるときは元本に充当しなければならない。

(留置権者による留置物の保管等)
第二百九十八条  留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければならない。
2  留置権者は、債務者の承諾を得なければ、
留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない。
ただし、その物の保存に必要な使用をすることは、この限りでない。
3  留置権者が前二項の規定に違反したときは、債務者は、留置権の消滅を請求することができる。

(留置権者による費用の償還請求)
第二百九十九条  留置権者は、
留置物について必要費を支出したときは、所有者にその償還をさせることができる。
2  留置権者は、留置物について有益費を支出したときは、
これによる価格の増加が現存する場合に限り、
所有者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。
ただし、裁判所は、所有者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。
同時履行の抗弁権

留置権の行使と債権の消滅時効
第三百条  留置権の行使は、債権の消滅時効の進行を妨げない。

(担保の供与による留置権の消滅)
第三百一条  債務者は、相当の担保を供して、留置権の消滅を請求することができる。

(占有の喪失による留置権の消滅)
第三百二条  留置権は、留置権者が留置物の占有を失うことによって、消滅する。
ただし、第二百九十八条第二項の規定により留置物を賃貸し、又は質権の目的としたときは、この限りでない。

   第八章 先取特権
    第一節 総則

(先取特権の内容)
第三百三条  先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

(物上代位)
第三百四304条  先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
2  債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。

(先取特権の不可分性)
第三百五条  第二百九十六条の規定は、先取特権について準用する。
    第二節 先取特権の種類
     第一款 一般の先取特権

(一般の先取特権)
第三百六条  次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。
一  共益の費用
二  雇用関係
三  葬式の費用
四  日用品の供給

(共益費用の先取特権)
第三百七条  共益の費用の先取特権は、各債権者の共同の利益のためにされた債務者の財産の保存、清算又は配当に関する費用について存在する。
2  前項の費用のうちすべての債権者に有益でなかったものについては、先取特権は、その費用によって利益を受けた債権者に対してのみ存在する。

(雇用関係の先取特権)
第三百八条  雇用関係の先取特権は、給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権について存在する。

(葬式費用の先取特権)
第三百九条  葬式の費用の先取特権は、債務者のためにされた葬式の費用のうち相当な額について存在する。
2  前項の先取特権は、債務者がその扶養すべき親族のためにした葬式の費用のうち相当な額についても存在する。

(日用品供給の先取特権)
第三百十条  日用品の供給の先取特権は、債務者又はその扶養すべき同居の親族及びその家事使用人の生活に必要な最後の六箇月間の飲食料品、燃料及び電気の供給について存在する。
     第二款 動産の先取特権

(動産の先取特権)
第三百十一条  次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の動産について先取特権を有する。
一  不動産の賃貸借
二  旅館の宿泊
三  旅客又は荷物の運輸
四  動産の保存
五  動産の売買
六  種苗又は肥料(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉を含む。以下同じ。)の供給
七  農業の労務
八  工業の労務

(不動産賃貸の先取特権)
第三百十二条  不動産の賃貸の先取特権は、その不動産の賃料その他の賃貸借関係から生じた賃借人の債務に関し、賃借人の動産について存在する。

(不動産賃貸の先取特権の目的物の範囲)
第三百十三条  土地の賃貸人の先取特権は、その土地又はその利用のための建物に備え付けられた動産、その土地の利用に供された動産及び賃借人が占有するその土地の果実について存在する。
2  建物の賃貸人の先取特権は、賃借人がその建物に備え付けた動産について存在する。

第三百十四条  賃借権の譲渡又は転貸の場合には、賃貸人の先取特権は、譲受人又は転借人の動産にも及ぶ。譲渡人又は転貸人が受けるべき金銭についても、同様とする。

(不動産賃貸の先取特権の被担保債権の範囲)
第三百十五条  賃借人の財産のすべてを清算する場合には、賃貸人の先取特権は、前期、当期及び次期の賃料その他の債務並びに前期及び当期に生じた損害の賠償債務についてのみ存在する。

第三百十六条  賃貸人は、敷金を受け取っている場合には、その敷金で弁済を受けない債権の部分についてのみ先取特権を有する。

(旅館宿泊の先取特権)
第三百十七条  旅館の宿泊の先取特権は、宿泊客が負担すべき宿泊料及び飲食料に関し、その旅館に在るその宿泊客の手荷物について存在する。

(運輸の先取特権)
第三百十八条  運輸の先取特権は、旅客又は荷物の運送賃及び付随の費用に関し、運送人の占有する荷物について存在する。

(即時取得の規定の準用)
第三百十九条  第百九十二条から第百九十五条までの規定は、第三百十二条から前条までの規定による先取特権について準用する。

(動産保存の先取特権)
第三百二十条  動産の保存の先取特権は、動産の保存のために要した費用又は動産に関する権利の保存、承認若しくは実行のために要した費用に関し、その動産について存在する。

(動産売買の先取特権)
第三百二十一条  動産の売買の先取特権は、動産の代価及びその利息に関し、その動産について存在する。

(種苗又は肥料の供給の先取特権)
第三百二十二条  種苗又は肥料の供給の先取特権は、種苗又は肥料の代価及びその利息に関し、その種苗又は肥料を用いた後一年以内にこれを用いた土地から生じた果実(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉の使用によって生じた物を含む。)について存在する。

(農業労務の先取特権)
第三百二十三条  農業の労務の先取特権は、その労務に従事する者の最後の一年間の賃金に関し、その労務によって生じた果実について存在する。

(工業労務の先取特権)
第三百二十四条  工業の労務の先取特権は、その労務に従事する者の最後の三箇月間の賃金に関し、その労務によって生じた製作物について存在する。
     第三款 不動産の先取特権

(不動産の先取特権)
第三百二十五条  次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の不動産について先取特権を有する。
一  不動産の保存
二  不動産の工事
三  不動産の売買

(不動産保存の先取特権)
第三百二十六条  不動産の保存の先取特権は、不動産の保存のために要した費用又は不動産に関する権利の保存、承認若しくは実行のために要した費用に関し、その不動産について存在する。

(不動産工事の先取特権)
第三百二十七条  不動産の工事の先取特権は、工事の設計、施工又は監理をする者が債務者の不動産に関してした工事の費用に関し、その不動産について存在する。
2  前項の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額についてのみ存在する。

(不動産売買の先取特権)
第三百二十八条  不動産の売買の先取特権は、不動産の代価及びその利息に関し、その不動産について存在する。
    第三節 先取特権の順位

(一般の先取特権の順位)
第三百二十九条  一般の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、第三百六条各号に掲げる順序に従う。
2  一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には、特別の先取特権は、一般の先取特権に優先する。ただし、共益の費用の先取特権は、その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有する。

(動産の先取特権の順位)
第三百三十条  同一の動産について特別の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、次に掲げる順序に従う。この場合において、第二号に掲げる動産の保存の先取特権について数人の保存者があるときは、後の保存者が前の保存者に優先する。
一  不動産の賃貸、旅館の宿泊及び運輸の先取特権
二  動産の保存の先取特権
三  動産の売買、種苗又は肥料の供給、農業の労務及び工業の労務の先取特権
2  前項の場合において、第一順位の先取特権者は、その債権取得の時において第二順位又は第三順位の先取特権者があることを知っていたときは、これらの者に対して優先権を行使することができない。第一順位の先取特権者のために物を保存した者に対しても、同様とする。
3  果実に関しては、第一の順位は農業の労務に従事する者に、第二の順位は種苗又は肥料の供給者に、第三の順位は土地の賃貸人に属する。

(不動産の先取特権の順位)
第三百三十一条  同一の不動産について特別の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、第三百二十五条各号に掲げる順序に従う。
2  同一の不動産について売買が順次された場合には、売主相互間における不動産売買の先取特権の優先権の順位は、売買の前後による。

(同一順位の先取特権)
第三百三十二条  同一の目的物について同一順位の先取特権者が数人あるときは、各先取特権者は、その債権額の割合に応じて弁済を受ける。
    第四節 先取特権の効力

(先取特権と第三取得者)
第三百三十三条  先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない。

(先取特権と動産質権との競合)
第三百三十四条  先取特権と動産質権とが競合する場合には、動産質権者は、第三百三十条の規定による第一順位の先取特権者と同一の権利を有する。

(一般の先取特権の効力)
第三百三十五条  一般の先取特権者は、まず不動産以外の財産から弁済を受け、なお不足があるのでなければ、不動産から弁済を受けることができない。
2  一般の先取特権者は、不動産については、まず特別担保の目的とされていないものから弁済を受けなければならない。
3  一般の先取特権者は、前二項の規定に従って配当に加入することを怠ったときは、その配当加入をしたならば弁済を受けることができた額については、登記をした第三者に対してその先取特権を行使することができない。
4  前三項の規定は、不動産以外の財産の代価に先立って不動産の代価を配当し、又は他の不動産の代価に先立って特別担保の目的である不動産の代価を配当する場合には、適用しない。

(一般の先取特権の対抗力)
第三百三十六条  一般の先取特権は、不動産について登記をしなくても、特別担保を有しない債権者に対抗することができる。ただし、登記をした第三者に対しては、この限りでない。

(不動産保存の先取特権の登記)
第三百三十七条  不動産の保存の先取特権の効力を保存するためには、保存行為が完了した後直ちに登記をしなければならない。

(不動産工事の先取特権の登記)
第三百三十八条  不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。この場合において、工事の費用が予算額を超えるときは、先取特権は、その超過額については存在しない。
2  工事によって生じた不動産の増価額は、配当加入の時に、裁判所が選任した鑑定人に評価させなければならない。

(登記をした不動産保存又は不動産工事の先取特権)
第三百三十九条  前二条の規定に従って登記をした先取特権は、抵当権に先立って行使することができる。

(不動産売買の先取特権の登記)
第三百四十条  不動産の売買の先取特権の効力を保存するためには、売買契約と同時に、不動産の代価又はその利息の弁済がされていない旨を登記しなければならない。

(抵当権に関する規定の準用)
第三百四十一条  先取特権の効力については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、抵当権に関する規定を準用する。
   第九章 質権
    第一節 総則

(質権の内容)
第三百四十二条  質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

(質権の目的)
第三百四十三条  質権は、譲り渡すことができない物をその目的とすることができない。

(質権の設定)
第三百四十四条  質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。

(質権設定者による代理占有の禁止)
第三百四十五条  質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない。

(質権の被担保債権の範囲)
第三百四十六条  質権は、元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。

(質物の留置)
第三百四十七条  質権者は、前条に規定する債権の弁済を受けるまでは、質物を留置することができる。ただし、この権利は、自己に対して優先権を有する債権者に対抗することができない。

(転質)
第三百四十八条  質権者は、その権利の存続期間内において、自己の責任で、質物について、転質をすることができる。この場合において、転質をしたことによって生じた損失については、不可抗力によるものであっても、その責任を負う。

(契約による質物の処分の禁止)
第三百四十九条  質権設定者は、設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ、その他法律に定める方法によらないで質物を処分させることを約することができない。

(留置権及び先取特権の規定の準用)
第三百五十条  第二百九十六条から第三百条まで及び第三百四条の規定は、質権について準用する。

(物上保証人の求償権)
第三百五十一351条  他人の債務を担保するため質権を設定した者は、その債務を弁済し、又は質権の実行によって質物の所有権を失ったときは、保証債務に関する規定に従い、債務者に対して求償権を有する。
    第二節 動産質

(動産質の対抗要件)
第三百五十二条  動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。

(質物の占有の回復)
第三百五十三条  動産質権者は、質物の占有を奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができる。

(動産質権の実行)
第三百五十四条  動産質権者は、その債権の弁済を受けないときは、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができる。この場合において、動産質権者は、あらかじめ、その請求をする旨を債務者に通知しなければならない。

(動産質権の順位)
第三百五十五条  同一の動産について数個の質権が設定されたときは、その質権の順位は、設定の前後による。
    第三節 不動産質

(不動産質権者による使用及び収益)
第三百五十六条  不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる。

(不動産質権者による管理の費用等の負担)
第三百五十七条  不動産質権者は、管理の費用を支払い、その他不動産に関する負担を負う。

(不動産質権者による利息の請求の禁止)
第三百五十八条  不動産質権者は、その債権の利息を請求することができない。

(設定行為に別段の定めがある場合等)
第三百五十九条  前三条の規定は、設定行為に別段の定めがあるとき、又は担保不動産収益執行(民事執行法 (昭和五十四年法律第四号)第百八十条第二号 に規定する担保不動産収益執行をいう。以下同じ。)の開始があったときは、適用しない。

(不動産質権の存続期間)
第三百六十条  不動産質権の存続期間は、十年を超えることができない。設定行為でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、十年とする。
2  不動産質権の設定は、更新することができる。ただし、その存続期間は、更新の時から十年を超えることができない。

(抵当権の規定の準用)
第三百六十一条  不動産質権については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、次章(抵当権)の規定を準用する。
    第四節 権利質

(権利質の目的等)
第三百六十二条  質権は、財産権をその目的とすることができる。
2  前項の質権については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、前三節(総則、動産質及び不動産質)の規定を準用する。

(債権質の設定)
第三百六十三条  債権であってこれを譲り渡すにはその証書を交付することを要するものを質権の目的とするときは、質権の設定は、その証書を交付することによって、その効力を生ずる。

(指名債権を目的とする質権の対抗要件)
第三百六十四条  指名債権を質権の目的としたときは、第四百六十七条の規定に従い、第三債務者に質権の設定を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他の第三者に対抗することができない。

(指図債権を目的とする質権の対抗要件)
第三百六十五条  指図債権を質権の目的としたときは、その証書に質権の設定の裏書をしなければ、これをもって第三者に対抗することができない。

(質権者による債権の取立て等)
第三百六十六条  質権者は、質権の目的である債権を直接に取り立てることができる。
2  債権の目的物が金銭であるときは、質権者は、自己の債権額に対応する部分に限り、これを取り立てることができる。
3  前項の債権の弁済期が質権者の債権の弁済期前に到来したときは、質権者は、第三債務者にその弁済をすべき金額を供託させることができる。この場合において、質権は、その供託金について存在する。
4  債権の目的物が金銭でないときは、質権者は、弁済として受けた物について質権を有する。

第三百六十七条  削除

第三百六十八条  削除
   第十章 抵当権
    第一節 総則

(抵当権の内容)
ていとうけんとはゆうせんべんさいけんである
せんゆうをともなうふどうさんようえきぶっけん
第三百六十九条  抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
2  地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。

(抵当権の効力の及ぶ範囲)
第三百七十条  抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体(?物理的一体性、社会経済的一体性、趣旨から社会経済的一体性)(従物も含む、趣旨共通だから)(抵当権設定子付与された従物はどうか:)となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び第四百二十四条の規定により債権者が債務者の行為を取り消すことができる場合は、この限りでない。

第三百七十一条  抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。

(留置権等の規定の準用)
第三百七十二条  第二百九十六条ふかぶんせい、第三百四条ぶつじょうだいいせい及び第三百五十一条ぶつじょうほしょうにんのきゅうしょうけんの規定は、抵当権について準用する。
(物上代位性)
価値権説:価値把握権だから
特権説:物に対する権利だから
保険金は保険料の代価である。でも政策目的で。損害をテンポするもので、経済的効用は同じ。
不動産の使用によって(廃棄物投棄、殺人犯の家があった(のうかしゃかい))不動産の価値はき滅しない


    第二節 抵当権の効力

(抵当権の順位)
第三百七十三373条  同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による。

(抵当権の順位の変更)
第三百七十四374条  抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。
2  前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。

(抵当権の被担保債権の範囲)
(後順位抵当権者や一般債権者の不足の侵害を予防するため、定期金さいけんについて、2年分に制限した)
第三百七十五375条  抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。
2  前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によって生じた損害の賠償を請求する権利()を有する場合におけるその最後の二年分についても適用する。ただし、利息その他の定期金と通算して二年分を超えることができない。

(抵当権の処分)
(内容)
転抵当は抵当権を担保に入れること
抵当権の譲渡は、優先弁済枠を一般債権者に譲り渡すこと
抵当権の放棄は、優先弁済枠を一般債権者と比例案分すること
抵当権の順位の譲渡は、優先弁済枠を後順位抵当権者に譲り渡すこと
抵当権の順位の放棄は、優先弁済枠を後順位抵当権者と比例案分すること
第三百七十六376条  抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる。
2  前項の場合において、抵当権者が数人のためにその抵当権の処分をしたときは、その処分の利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登記にした付記の前後による。

(抵当権の処分の対抗要件)
第三百七十七377条  前条の場合には、第四百六十七条の規定に従い、主たる債務者に抵当権の処分を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、これをもって主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。
2  主たる債務者が前項の規定により通知を受け、又は承諾をしたときは、抵当権の処分の利益を受ける者の承諾を得ないでした弁済は、その受益者に対抗することができない。


(代価弁済)債権者の側から請求するもの
第三百七十八378条  抵当不動産について所有権又は地上権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じて(価格決定は抵当権者←→抵当不動産の第三取得者)その抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。

いずれも、第三取得者による優先弁済枠の買い取りの様相

(抵当権消滅請求)379~386第三取得者が請求。
第三百七十九条  抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる。

(せいきゅうけんしゃのせいげん)
第三百八十条  主たる債務者、保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。
(せいきゅうけんしゃのせいげん)
第三百八十一条  抵当不動産の停止条件付第三取得者は、その停止条件の成否が未定である間は、抵当権消滅請求をすることができない。

(抵当権消滅請求の時期)
さしおさえのこうりょくはっせいまえ
第三百八十二条  抵当不動産の第三取得者は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に、抵当権消滅請求をしなければならない。

(抵当権消滅請求の手続)
ていとうふどうさんのだいさんしゅとくしゃがは3しゅのしょるいをおくる

第三百八十三条  抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をするときは、登記をした各債権者に対し、次に掲げる書面を送付しなければならない。
一  取得の原因及び年月日、譲渡人及び取得者の氏名及び住所並びに抵当不動産の性質、所在及び代価その他取得者の負担を記載した書面
二  抵当不動産に関する登記事項証明書(現に効力を有する登記事項のすべてを証明したものに限る。)
三  債権者が二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、抵当不動産の第三取得者が第一号に規定する代価又は特に指定した金額を債権の順位に従って弁済し又は供託すべき旨を記載した書面

(債権者のみなし承諾)
けいばいのもうしたてと択一
第三百八十四条  次に掲げる場合には、前条各号に掲げる書面の送付を受けた債権者は、抵当不動産の第三取得者が同条第三号に掲げる書面に記載したところにより提供した同号の代価又は金額を承諾したものとみなす。
(つまり、消滅請求か、競売手続き進行か:しない、とりさげ、きゃっか、とりけしけってい)
一  その債権者が前条各号に掲げる書面の送付を受けた後二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないとき。
二  その債権者が前号の申立てを取り下げたとき。
三  第一号の申立てを却下する旨の決定が確定したとき。
四  第一号の申立てに基づく競売の手続を取り消す旨の決定(民事執行法第百八十八条 において準用する同法第六十三条第三項 若しくは第六十八条の三第三項 の規定又は同法第百八十三条第一項第五号 の謄本が提出された場合における同条第二項 の規定による決定を除く。)が確定したとき。

(競売の申立ての通知)
第三百八十五条  第三百八十三条各号に掲げる書面(抵当権消滅請求の手続書面)の送付を受けた債権者は、前条第一号の申立て(競売の申し立て)をするときは、同号の期間内(受けた後二箇月以内)に、債務者及び抵当不動産の譲渡人にその旨を通知しなければならない。

(抵当権消滅請求の効果)
第三百八十六条  登記をしたすべての債権者が抵当不動産の第三取得者の提供した代価又は金額を承諾し、かつ、抵当不動産の第三取得者がその承諾を得た代価又は金額を払い渡し又は供託したときは、抵当権は、消滅する。

(抵当権者の同意の登記がある場合の賃貸借の対抗力)
(後付けであり)
第三百八十七387条  登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。
2  抵当権者が前項の同意をするには、その抵当権を目的とする権利を有する者その他抵当権者の同意によって不利益を受けるべき者の承諾を得なければならない。

(法定地上権)(趣旨:)
第三百八十八388条  土地及びその上に存する建物が同一の所有(共有の場合?)者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす(期間?期間の定めのないもの?10年?建物が滅失するまで)。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。

(抵当地の上の建物の競売)
(土地及び建物が同一の所有者に属しない場合)
第三百八十九389条  抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物(土地利用権のない者が建物を所有している場合)を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。
2  前項の規定は、その建物の所有者が抵当地を占有するについて抵当権者に対抗することができる権利を有する場合には、適用しない。

(抵当不動産の第三取得者による買受け)
第三百九十390条  抵当不動産の第三取得者は、その競売において買受人となることができる。

(抵当不動産の第三取得者による費用の償還請求)
第三百九十一391条  抵当不動産の第三取得者(競売で不動産の所有権を失う)は、抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは、第百九十六条の区別に従い(返還金額はいくらか:必要費(果実相殺はあるか)か、有益費か(価格の増加が現存するか)(回復者は支出額と増加額のどちらを選択するか)、(占有者が悪意で回復者が請求したか))、抵当不動産の代価から、他の債権者より先にその償還を受けることができる。

(共同抵当における代価の配当)
第三百九十二392条  債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、その各不動産の価額に応じて、その債権の負担を按分する。
2  債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる。この場合(全部の弁済を受けた場合)において、次順位の抵当権者は、その弁済を受ける抵当権者が前項の規定(配当は、各不動産の価額に応じて債権の負担を案分して決める)に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権者(全部の弁済を受けた先順位抵当権者)に代位して抵当権を行使することができる(次順位抵当権者は抵当権を代位行使できる)。

(共同抵当における代位の付記登記)
第三百九十三条  前条第二項後段の規定により代位によって抵当権を行使する者は、その抵当権の登記にその代位を付記することができる。

(抵当不動産以外の財産からの弁済)
第三百九十四条  抵当権者は、抵当不動産の代価から弁済を受けない債権の部分についてのみ、他の財産から弁済を受けることができる。
2  前項の規定は、抵当不動産の代価に先立って他の財産の代価を配当すべき場合には、適用しない。この場合において、他の各債権者は、抵当権者に同項の規定による弁済を受けさせるため、抵当権者に配当すべき金額の供託を請求することができる。

(抵当建物使用者の引渡しの猶予)
第三百九十五条  抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。
一  競売手続の開始前から使用又は収益をする者
二  強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者
2  前項の規定は、買受人の買受けの時より後に同項の建物の使用をしたことの対価について、買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその一箇月分以上の支払の催告をし、その相当の期間内に履行がない場合には、適用しない。
    第三節 抵当権の消滅

(抵当権の消滅時効)
第三百九十六条  抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。

(抵当不動産の時効取得による抵当権の消滅)
第三百九十七条  債務者又は抵当権設定者でない者が抵当不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、抵当権は、これによって消滅する。

(抵当権の目的である地上権等の放棄)
第三百九十八条  地上権又は永小作権を抵当権の目的とした地上権者又は永小作人は、その権利を放棄しても、これをもって抵当権者に対抗することができない。
    第四節 根抵当

(根抵当権)
第三百九十八条の二  抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。
2  前項の規定による抵当権(以下「根抵当権」という。)の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない。
3  特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権又は手形上若しくは小切手上の請求権は、前項の規定にかかわらず、根抵当権の担保すべき債権とすることができる。

(根抵当権の被担保債権の範囲)
第三百九十八条の三  根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。
2  債務者との取引によらないで取得する手形上又は小切手上の請求権を根抵当権の担保すべき債権とした場合において、次に掲げる事由があったときは、その前に取得したものについてのみ、その根抵当権を行使することができる。ただし、その後に取得したものであっても、その事由を知らないで取得したものについては、これを行使することを妨げない。
一  債務者の支払の停止
二  債務者についての破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申立て
三  抵当不動産に対する競売の申立て又は滞納処分による差押え

(根抵当権の被担保債権の範囲及び債務者の変更)
第三百九十八条の四  元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができる。債務者の変更についても、同様とする。
2  前項の変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。
3  第一項の変更について元本の確定前に登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなす。

(根抵当権の極度額の変更)
第三百九十八条の五  根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができない。

(根抵当権の元本確定期日の定め)
第三百九十八条の六  根抵当権の担保すべき元本については、その確定すべき期日を定め又は変更することができる。
2  第三百九十八条の四第二項の規定は、前項の場合について準用する。
3  第一項の期日は、これを定め又は変更した日から五年以内でなければならない。
4  第一項の期日の変更についてその変更前の期日より前に登記をしなかったときは、担保すべき元本は、その変更前の期日に確定する。

(根抵当権の被担保債権の譲渡等)
第三百九十八条の七  元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。元本の確定前に債務者のために又は債務者に代わって弁済をした者も、同様とする。
2  元本の確定前に債務の引受けがあったときは、根抵当権者は、引受人の債務について、その根抵当権を行使することができない。
3  元本の確定前に債権者又は債務者の交替による更改があったときは、その当事者は、第五百十八条の規定にかかわらず、根抵当権を更改後の債務に移すことができない。

(根抵当権者又は債務者の相続)
第三百九十八条の八  元本の確定前に根抵当権者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債権のほか、相続人と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に取得する債権を担保する。
2  元本の確定前にその債務者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債務のほか、根抵当権者と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に負担する債務を担保する。
3  第三百九十八条の四第二項の規定は、前二項の合意をする場合について準用する。
4  第一項及び第二項の合意について相続の開始後六箇月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなす。

(根抵当権者又は債務者の合併)
第三百九十八条の九  元本の確定前に根抵当権者について合併があったときは、根抵当権は、合併の時に存する債権のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に取得する債権を担保する。
2  元本の確定前にその債務者について合併があったときは、根抵当権は、合併の時に存する債務のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に負担する債務を担保する。
3  前二項の場合には、根抵当権設定者は、担保すべき元本の確定を請求することができる。ただし、前項の場合において、その債務者が根抵当権設定者であるときは、この限りでない。
4  前項の規定による請求があったときは、担保すべき元本は、合併の時に確定したものとみなす。
5  第三項の規定による請求は、根抵当権設定者が合併のあったことを知った日から二週間を経過したときは、することができない。合併の日から一箇月を経過したときも、同様とする。

(根抵当権者又は債務者の会社分割)
第三百九十八条の十  元本の確定前に根抵当権者を分割をする会社とする分割があったときは、根抵当権は、分割の時に存する債権のほか、分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継した会社が分割後に取得する債権を担保する。
2  元本の確定前にその債務者を分割をする会社とする分割があったときは、根抵当権は、分割の時に存する債務のほか、分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継した会社が分割後に負担する債務を担保する。
3  前条第三項から第五項までの規定は、前二項の場合について準用する。

(根抵当権の処分)
第三百九十八条の十一  元本の確定前においては、根抵当権者は、第三百七十六条第一項の規定による根抵当権の処分をすることができない。ただし、その根抵当権を他の債権の担保とすることを妨げない。
2  第三百七十七条第二項の規定は、前項ただし書の場合において元本の確定前にした弁済については、適用しない。

(根抵当権の譲渡)
第三百九十八条の十二  元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権を譲り渡すことができる。
2  根抵当権者は、その根抵当権を二個の根抵当権に分割して、その一方を前項の規定により譲り渡すことができる。この場合において、その根抵当権を目的とする権利は、譲り渡した根抵当権について消滅する。
3  前項の規定による譲渡をするには、その根抵当権を目的とする権利を有する者の承諾を得なければならない。

(根抵当権の一部譲渡)
第三百九十八条の十三  元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権の一部譲渡(譲渡人が譲受人と根抵当権を共有するため、これを分割しないで譲り渡すことをいう。以下この節において同じ。)をすることができる。

(根抵当権の共有)
第三百九十八条の十四  根抵当権の共有者は、それぞれその債権額の割合に応じて弁済を受ける。ただし、元本の確定前に、これと異なる割合を定め、又はある者が他の者に先立って弁済を受けるべきことを定めたときは、その定めに従う。
2  根抵当権の共有者は、他の共有者の同意を得て、第三百九十八条の十二第一項の規定によりその権利を譲り渡すことができる。

(抵当権の順位の譲渡又は放棄と根抵当権の譲渡又は一部譲渡)
第三百九十八条の十五  抵当権の順位の譲渡又は放棄を受けた根抵当権者が、その根抵当権の譲渡又は一部譲渡をしたときは、譲受人は、その順位の譲渡又は放棄の利益を受ける。

(共同根抵当)
第三百九十八条の十六  第三百九十二条及び第三百九十三条の規定は、根抵当権については、その設定と同時に同一の債権の担保として数個の不動産につき根抵当権が設定された旨の登記をした場合に限り、適用する。

(共同根抵当の変更等)
第三百九十八条の十七  前条の登記がされている根抵当権の担保すべき債権の範囲、債務者若しくは極度額の変更又はその譲渡若しくは一部譲渡は、その根抵当権が設定されているすべての不動産について登記をしなければ、その効力を生じない。
2  前条の登記がされている根抵当権の担保すべき元本は、一個の不動産についてのみ確定すべき事由が生じた場合においても、確定する。

(累積根抵当)
第三百九十八条の十八  数個の不動産につき根抵当権を有する者は、第三百九十八条の十六の場合を除き、各不動産の代価について、各極度額に至るまで優先権を行使することができる。

(根抵当権の元本の確定請求)
第三百九十八条の十九  根抵当権設定者は、根抵当権の設定の時から三年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時から二週間を経過することによって確定する。
2  根抵当権者は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時に確定する。
3  前二項の規定は、担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときは、適用しない。

(根抵当権の元本の確定事由)
第三百九十八条の二十  次に掲げる場合には、根抵当権の担保すべき元本は、確定する。
一  根抵当権者が抵当不動産について競売若しくは担保不動産収益執行又は第三百七十二条において準用する第三百四条の規定による差押えを申し立てたとき。ただし、競売手続若しくは担保不動産収益執行手続の開始又は差押えがあったときに限る。
二  根抵当権者が抵当不動産に対して滞納処分による差押えをしたとき。
三  根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続の開始又は滞納処分による差押えがあったことを知った時から二週間を経過したとき。
四  債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けたとき。
2  前項第三号の競売手続の開始若しくは差押え又は同項第四号の破産手続開始の決定の効力が消滅したときは、担保すべき元本は、確定しなかったものとみなす。ただし、元本が確定したものとしてその根抵当権又はこれを目的とする権利を取得した者があるときは、この限りでない。

(根抵当権の極度額の減額請求)
第三百九十八条の二十一  元本の確定後においては、根抵当権設定者は、その根抵当権の極度額を、現に存する債務の額と以後二年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求することができる。
2  第三百九十八条の十六の登記がされている根抵当権の極度額の減額については、前項の規定による請求は、そのうちの一個の不動産についてすれば足りる。

(根抵当権の消滅請求)
第三百九十八条の二十二  元本の確定後において現に存する債務の額が根抵当権の極度額を超えるときは、他人の債務を担保するためその根抵当権を設定した者又は抵当不動産について所有権、地上権、永小作権若しくは第三者に対抗することができる賃借権を取得した第三者は、その極度額に相当する金額を払い渡し又は供託して、その根抵当権の消滅請求をすることができる。この場合において、その払渡し又は供託は、弁済の効力を有する。
2  第三百九十八条の十六の登記がされている根抵当権は、一個の不動産について前項の消滅請求があったときは、消滅する。
3  第三百八十条及び第三百八十一条の規定は、第一項の消滅請求について準用する。
  第三編 債権

行政主体と行政機関

行政機関相互の関係

国の行政組織

  第二編 物権
   第一章 総則

(物権の創設)
第百七十五条  物権は、この法律その他の法律に定めるもののほか、創設することができない。

(物権の設定及び移転)
第百七十六条  物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第百七十七条  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

(動産に関する物権の譲渡の対抗要件)
第百七十八条  動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。

(混同)
第百七十九条  同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。
2  所有権以外の物権及びこれを目的とする他の権利が同一人に帰属したときは、当該他の権利は、消滅する。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
3  前二項の規定は、占有権については、適用しない。
   第二章 占有権
    第一節 占有権の取得

(占有権の取得)
第百八十条  占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する。

(代理占有)
第百八十一条  占有権は、代理人によって取得することができる。

(現実の引渡し及び簡易の引渡し)
第百八十二条  占有権の譲渡は、占有物の引渡しによってする。
2  譲受人又はその代理人が現に占有物を所持する場合には、占有権の譲渡は、当事者の意思表示のみによってすることができる。

(占有改定)
第百八十三条  代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得する。

(指図による占有移転)
第百八十四条  代理人によって占有をする場合において、本人がその代理人に対して以後第三者のためにその物を占有することを命じ、その第三者がこれを承諾したときは、その第三者は、占有権を取得する。

(占有の性質の変更)
第百八十五条  権原の性質上占有者に所有の意思がないものとされる場合には、その占有者が、自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、又は新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めるのでなければ、占有の性質は、変わらない。

(占有の態様等に関する推定)
第百八十六条  占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。
2  前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。

(占有の承継)
第百八十七条  占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる。
2  前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する。
    第二節 占有権の効力

(占有物について行使する権利の適法の推定)
第百八十八条  占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。

(善意の占有者による果実の取得等)
第百八十九条  善意の占有者は、占有物から生ずる果実を取得する。
2  善意の占有者が本権の訴えにおいて敗訴したときは、その訴えの提起の時から悪意の占有者とみなす。

(悪意の占有者による果実の返還等)
第百九十条  悪意の占有者は、果実を返還し、かつ、既に消費し、過失によって損傷し、又は収取を怠った果実の代価を償還する義務を負う。
2  前項の規定は、暴行若しくは強迫又は隠匿によって占有をしている者について準用する。

(占有者による損害賠償)
第百九十一条  占有物が占有者の責めに帰すべき事由によって滅失し、又は損傷したときは、その回復者に対し、悪意の占有者はその損害の全部の賠償をする義務を負い、善意の占有者はその滅失又は損傷によって現に利益を受けている限度において賠償をする義務を負う。ただし、所有の意思のない占有者は、善意であるときであっても、全部の賠償をしなければならない。

(即時取得)
第百九十二条  取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

(盗品又は遺失物の回復)
第百九十三条  前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。

第百九十四条  占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない。

(動物の占有による権利の取得)
第百九十五条  家畜以外の動物で他人が飼育していたものを占有する者は、その占有の開始の時に善意であり、かつ、その動物が飼主の占有を離れた時から一箇月以内に飼主から回復の請求を受けなかったときは、その動物について行使する権利を取得する。

(占有者による費用の償還請求)
第百九十六条  占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担に帰する。
2  占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。
(返還金額はいくらか:必要費(果実相殺はあるか)か、有益費か(価格の増加が現存するか)(回復者は支出額と増加額のどちらを選択するか)、(占有者が悪意で回復者が請求したか))
391条

(占有の訴え)
第百九十七条  占有者は、次条から第二百二条までの規定に従い、占有の訴えを提起することができる。他人のために占有をする者も、同様とする。

(占有保持の訴え)
第百九十八条  占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。

(占有保全の訴え)
第百九十九条  占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。

(占有回収の訴え)
第二百条  占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。
2  占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない。

(占有の訴えの提起期間)
第二百一条  占有保持の訴えは、妨害の存する間又はその消滅した後一年以内に提起しなければならない。ただし、工事により占有物に損害を生じた場合において、その工事に着手した時から一年を経過し、又はその工事が完成したときは、これを提起することができない。
2  占有保全の訴えは、妨害の危険の存する間は、提起することができる。この場合において、工事により占有物に損害を生ずるおそれがあるときは、前項ただし書の規定を準用する。
3  占有回収の訴えは、占有を奪われた時から一年以内に提起しなければならない。

(本権の訴えとの関係)
第二百二条  占有の訴えは本権の訴えを妨げず、また、本権の訴えは占有の訴えを妨げない。
2  占有の訴えについては、本権に関する理由に基づいて裁判をすることができない。
    第三節 占有権の消滅

(占有権の消滅事由)
第二百三条  占有権は、占有者が占有の意思を放棄し、又は占有物の所持を失うことによって消滅する。ただし、占有者が占有回収の訴えを提起したときは、この限りでない。

(代理占有権の消滅事由)
第二百四条  代理人によって占有をする場合には、占有権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一  本人が代理人に占有をさせる意思を放棄したこと。
二  代理人が本人に対して以後自己又は第三者のために占有物を所持する意思を表示したこと。
三  代理人が占有物の所持を失ったこと。
2  占有権は、代理権の消滅のみによっては、消滅しない。
    第四節 準占有

第二百五条  この章の規定は、自己のためにする意思をもって財産権の行使をする場合について準用する。
   第三章 所有権
    第一節 所有権の限界
     第一款 所有権の内容及び範囲

(所有権の内容)
第二百六条  所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。

(土地所有権の範囲)
第二百七条  土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。

第二百八条  削除
     第二款 相隣関係

(隣地の使用請求)
第二百九条  土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる。ただし、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない。
2  前項の場合において、隣人が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。

(公道に至るための他の土地の通行権)
第二百十条  他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
2  池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。

第二百十一条  前条の場合には、通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
2  前条の規定による通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設することができる。

第二百十二条  第二百十条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、一年ごとにその償金を支払うことができる。

第二百十三条  分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。この場合においては、償金を支払うことを要しない。
2  前項の規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合について準用する。

(自然水流に対する妨害の禁止)
第二百十四条  土地の所有者は、隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない。

(水流の障害の除去)
第二百十五条  水流が天災その他避けることのできない事変により低地において閉塞したときは、高地の所有者は、自己の費用で、水流の障害を除去するため必要な工事をすることができる。

(水流に関する工作物の修繕等)
第二百十六条  他の土地に貯水、排水又は引水のために設けられた工作物の破壊又は閉塞により、自己の土地に損害が及び、又は及ぶおそれがある場合には、その土地の所有者は、当該他の土地の所有者に、工作物の修繕若しくは障害の除去をさせ、又は必要があるときは予防工事をさせることができる。

(費用の負担についての慣習)
第二百十七条  前二条の場合において、費用の負担について別段の慣習があるときは、その慣習に従う。

(雨水を隣地に注ぐ工作物の設置の禁止)
第二百十八条  土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない。

(水流の変更)
第二百十九条  溝、堀その他の水流地の所有者は、対岸の土地が他人の所有に属するときは、その水路又は幅員を変更してはならない。
2  両岸の土地が水流地の所有者に属するときは、その所有者は、水路及び幅員を変更することができる。ただし、水流が隣地と交わる地点において、自然の水路に戻さなければならない。
3  前二項の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。

(排水のための低地の通水)
第二百二十条  高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、又は自家用若しくは農工業用の余水を排出するため、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができる。この場合においては、低地のために損害が最も少ない場所及び方法を選ばなければならない。

(通水用工作物の使用)
第二百二十一条  土地の所有者は、その所有地の水を通過させるため、高地又は低地の所有者が設けた工作物を使用することができる。
2  前項の場合には、他人の工作物を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、工作物の設置及び保存の費用を分担しなければならない。

(堰の設置及び使用)
第二百二十二条  水流地の所有者は、堰を設ける必要がある場合には、対岸の土地が他人の所有に属するときであっても、その堰を対岸に付着させて設けることができる。ただし、これによって生じた損害に対して償金を支払わなければならない。
2  対岸の土地の所有者は、水流地の一部がその所有に属するときは、前項の堰を使用することができる。
3  前条第二項の規定は、前項の場合について準用する。

(境界標の設置)
第二百二十三条  土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。

(境界標の設置及び保存の費用)
第二百二十四条  境界標の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。ただし、測量の費用は、その土地の広狭に応じて分担する。

(囲障の設置)
第二百二十五条  二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができる。
2  当事者間に協議が調わないときは、前項の囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ二メートルのものでなければならない。

(囲障の設置及び保存の費用)
第二百二十六条  前条の囲障の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。

(相隣者の一人による囲障の設置)
第二百二十七条  相隣者の一人は、第二百二十五条第二項に規定する材料より良好なものを用い、又は同項に規定する高さを増して囲障を設けることができる。ただし、これによって生ずる費用の増加額を負担しなければならない。

(囲障の設置等に関する慣習)
第二百二十八条  前三条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。

(境界標等の共有の推定)
第二百二十九条  境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する。

第二百三十条  一棟の建物の一部を構成する境界線上の障壁については、前条の規定は、適用しない。
2  高さの異なる二棟の隣接する建物を隔てる障壁の高さが、低い建物の高さを超えるときは、その障壁のうち低い建物を超える部分についても、前項と同様とする。ただし、防火障壁については、この限りでない。

(共有の障壁の高さを増す工事)
第二百三十一条  相隣者の一人は、共有の障壁の高さを増すことができる。ただし、その障壁がその工事に耐えないときは、自己の費用で、必要な工作を加え、又はその障壁を改築しなければならない。
2  前項の規定により障壁の高さを増したときは、その高さを増した部分は、その工事をした者の単独の所有に属する。

第二百三十二条  前条の場合において、隣人が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。

(竹木の枝の切除及び根の切取り)
第二百三十三条  隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
2  隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。

(境界線付近の建築の制限)
第二百三十四条  建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない。
2  前項の規定に違反して建築をしようとする者があるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができる。ただし、建築に着手した時から一年を経過し、又はその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる。

第二百三十五235条  境界線から一メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。次項において同じ。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。(宴のあと事件で、プライバシー権の根拠条文となった)
2  前項の距離は、窓又は縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する。

(境界線付近の建築に関する慣習)
第二百三十六条  前二条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。

(境界線付近の掘削の制限)
第二百三十七条  井戸、用水だめ、下水だめ又は肥料だめを掘るには境界線から二メートル以上、池、穴蔵又はし尿だめを掘るには境界線から一メートル以上の距離を保たなければならない。
2  導水管を埋め、又は溝若しくは堀を掘るには、境界線からその深さの二分の一以上の距離を保たなければならない。ただし、一メートルを超えることを要しない。

(境界線付近の掘削に関する注意義務)
第二百三十八条  境界線の付近において前条の工事をするときは、土砂の崩壊又は水若しくは汚液の漏出を防ぐため必要な注意をしなければならない。
    第二節 所有権の取得

(無主物の帰属)
第二百三十九条  所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する。
2  所有者のない不動産は、国庫に帰属する。

(遺失物の拾得)
第二百四十条  遺失物は、遺失物法(平成十八年法律第七十三号)の定めるところに従い公告をした後三箇月以内にその所有者が判明しないときは、これを拾得した者がその所有権を取得する。

(埋蔵物の発見)
第二百四十一条  埋蔵物は、遺失物法の定めるところに従い公告をした後六箇月以内にその所有者が判明しないときは、これを発見した者がその所有権を取得する。ただし、他人の所有する物の中から発見された埋蔵物については、これを発見した者及びその他人が等しい割合でその所有権を取得する。

(不動産の付合)
第二百四十二条
 不動産の所有者は、
その不動産に従として付合した物(動産、?土地に建物:付合しない)の所有権を
取得する。
/ただし、権原(不動産を利用する賃借権、永小作権など)によって
その物を附属させた他人の権利(対三者:要対抗要件)を妨げない。

(動産の付合)
第二百四十三条
 所有者を異にする数個の動産が、
付合により、
損傷しなければ分離することができなくなったときは、
その合成物の所有権は、
主たる動産の所有者に帰属する。
分離するのに過分の費用を要するときも、
同様とする。

第二百四十四条
 付合した動産について
主従の区別をすることができないときは、
各動産の所有者は、
その付合の時における価格の割合に応じて
その合成物を共有する。

(混和)
第二百四十五条
 前二条の規定は、
所有者を異にする物が
混和して識別することができなくなった場合について
準用する。

(加工)
第二百四十六条
 他人の動産に工作を加えた者(以下この条において「加工者」という。)があるときは、
その加工物の所有権は、
材料の所有者に帰属する。
/ただし、工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは、加工者がその加工物の所有権を取得する。
2  前項に規定する場合において、
加工者が材料の一部を供したときは、
その価格に
工作によって生じた価格を加えたものが
他人の材料の価格を超えるときに限り、
加工者が
その加工物の所有権を取得する。

(付合、混和又は加工の効果)
第二百四十七条
 第二百四十二条から前条までの規定により
物の所有権が消滅したときは、
その物について存する他の権利も、
消滅する。

2  前項に規定する場合において、
物の所有者が、
合成物、混和物又は加工物(以下この項において「合成物等」という。)の単独所有者となったときは、
その物について存する他の権利は
以後その合成物等について存し、
物の所有者が合成物等の共有者となったときは、
その物について存する他の権利は
以後その持分について存する。

(付合、混和又は加工に伴う償金の請求)
第二百四十八条
 第二百四十二条から前条までの規定の適用によって
損失を受けた者は、
第七百三条及び第七百四条の規定に従い、
その償金を請求することができる。

    第三節 共有

(共有物の使用)
第二百四十九条  各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

(共有持分の割合の推定)
第二百五十条  各共有者の持分は、相等しいものと推定する。

(共有物の変更)
第二百五十一条  各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。

(共有物の管理)
第二百五十二条  共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。

(共有物に関する負担)
第二百五十三条  各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。
2  共有者が一年以内に前項の義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる。

(共有物についての債権)
第二百五十四条  共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行使することができる。

(持分の放棄及び共有者の死亡)
第二百五十五条  共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

(共有物の分割請求)
第二百五十六条  各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
2  前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五年を超えることができない。

第二百五十七条  前条の規定は、第二百二十九条に規定する共有物については、適用しない。

(裁判による共有物の分割)
第二百五十八条  共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2  前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。

(共有に関する債権の弁済)
第二百五十九条  共有者の一人が他の共有者に対して共有に関する債権を有するときは、分割に際し、債務者に帰属すべき共有物の部分をもって、その弁済に充てることができる。
2  債権者は、前項の弁済を受けるため債務者に帰属すべき共有物の部分を売却する必要があるときは、その売却を請求することができる。

(共有物の分割への参加)
第二百六十条  共有物について権利を有する者及び各共有者の債権者は、自己の費用で、分割に参加することができる。
2  前項の規定による参加の請求があったにもかかわらず、その請求をした者を参加させないで分割をしたときは、その分割は、その請求をした者に対抗することができない。

(分割における共有者の担保責任)
第二百六十一条  各共有者は、他の共有者が分割によって取得した物について、売主と同じく、その持分に応じて担保の責任を負う。

(共有物に関する証書)
第二百六十二条  分割が完了したときは、各分割者は、その取得した物に関する証書を保存しなければならない。
2  共有者の全員又はそのうちの数人に分割した物に関する証書は、その物の最大の部分を取得した者が保存しなければならない。
3  前項の場合において、最大の部分を取得した者がないときは、分割者間の協議で証書の保存者を定める。協議が調わないときは、裁判所が、これを指定する。
4  証書の保存者は、他の分割者の請求に応じて、その証書を使用させなければならない。

(共有の性質を有する入会権)
第二百六十三条  共有の性質を有する入会権については、各地方の慣習に従うほか、この節の規定を適用する。

(準共有)
第二百六十四条  この節の規定は、数人で所有権以外の財産権を有する場合について準用する。ただし、法令に特別の定めがあるときは、この限りでない。
   第四章 地上権

(地上権の内容)
第二百六十五条  地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。

(地代)
第二百六十六条  第二百七十四条から第二百七十六条までの規定は、地上権者が土地の所有者に定期の地代を支払わなければならない場合について準用する。
2  地代については、前項に規定するもののほか、その性質に反しない限り、賃貸借に関する規定を準用する。

(相隣関係の規定の準用)
第二百六十七条  前章第一節第二款(相隣関係)の規定は、地上権者間又は地上権者と土地の所有者との間について準用する。ただし、第二百二十九条の規定は、境界線上の工作物が地上権の設定後に設けられた場合に限り、地上権者について準用する。

(地上権の存続期間)
第二百六十八条  設定行為で地上権の存続期間を定めなかった場合において、別段の慣習がないときは、地上権者は、いつでもその権利を放棄することができる。ただし、地代を支払うべきときは、一年前に予告をし、又は期限の到来していない一年分の地代を支払わなければならない。
2  地上権者が前項の規定によりその権利を放棄しないときは、裁判所は、当事者の請求により、二十年以上五十年以下の範囲内において、工作物又は竹木の種類及び状況その他地上権の設定当時の事情を考慮して、その存続期間を定める。

(工作物等の収去等)
第二百六十九条  地上権者は、その権利が消滅した時に、土地を原状に復してその工作物及び竹木を収去することができる。ただし、土地の所有者が時価相当額を提供してこれを買い取る旨を通知したときは、地上権者は、正当な理由がなければ、これを拒むことができない。
2  前項の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。

(地下又は空間を目的とする地上権)
第二百六十九条の二  地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。この場合においては、設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる。
2  前項の地上権は、第三者がその土地の使用又は収益をする権利を有する場合においても、その権利又はこれを目的とする権利を有するすべての者の承諾があるときは、設定することができる。この場合において、土地の使用又は収益をする権利を有する者は、その地上権の行使を妨げることができない。
   第五章 永小作権

(永小作権の内容)
第二百七十条  永小作人は、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する。

(永小作人による土地の変更の制限)
第二百七十一条  永小作人は、土地に対して、回復することのできない損害を生ずべき変更を加えることができない。

(永小作権の譲渡又は土地の賃貸)
第二百七十二条  永小作人は、その権利を他人に譲り渡し、又はその権利の存続期間内において耕作若しくは牧畜のため土地を賃貸することができる。ただし、設定行為で禁じたときは、この限りでない。

(賃貸借に関する規定の準用)
第二百七十三条  永小作人の義務については、この章の規定及び設定行為で定めるもののほか、その性質に反しない限り、賃貸借に関する規定を準用する。

(小作料の減免)
第二百七十四条  永小作人は、不可抗力により収益について損失を受けたときであっても、小作料の免除又は減額を請求することができない。

(永小作権の放棄)
第二百七十五条  永小作人は、不可抗力によって、引き続き三年以上全く収益を得ず、又は五年以上小作料より少ない収益を得たときは、その権利を放棄することができる。

(永小作権の消滅請求)
第二百七十六条  永小作人が引き続き二年以上小作料の支払を怠ったときは、土地の所有者は、永小作権の消滅を請求することができる。

(永小作権に関する慣習)
第二百七十七条  第二百七十一条から前条までの規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。

(永小作権の存続期間)
第二百七十八条  永小作権の存続期間は、二十年以上五十年以下とする。設定行為で五十年より長い期間を定めたときであっても、その期間は、五十年とする。
2  永小作権の設定は、更新することができる。ただし、その存続期間は、更新の時から五十年を超えることができない。
3  設定行為で永小作権の存続期間を定めなかったときは、その期間は、別段の慣習がある場合を除き、三十年とする。

(工作物等の収去等)
第二百七十九条  第二百六十九条の規定は、永小作権について準用する。
   第六章 地役権

(地役権の内容)
第二百八十条  地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に違反しないものでなければならない。

(地役権の付従性)
第二百八十一条  地役権は、要役地(地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転し、又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
2  地役権は、要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的とすることができない。

(地役権の不可分性)
第二百八十二条  土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地のために又はその土地について存する地役権を消滅させることができない。
2  土地の分割又はその一部の譲渡の場合には、地役権は、その各部のために又はその各部について存する。ただし、地役権がその性質により土地の一部のみに関するときは、この限りでない。

(地役権の時効取得)
第二百八十三条  地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。

第二百八十四条  土地の共有者の一人が時効によって地役権を取得したときは、他の共有者も、これを取得する。
2  共有者に対する時効の中断は、地役権を行使する各共有者に対してしなければ、その効力を生じない。
3  地役権を行使する共有者が数人ある場合には、その一人について時効の停止の原因があっても、時効は、各共有者のために進行する。

(用水地役権)
第二百八十五条  用水地役権の承役地(地役権者以外の者の土地であって、要役地の便益に供されるものをいう。以下同じ。)において、水が要役地及び承役地の需要に比して不足するときは、その各土地の需要に応じて、まずこれを生活用に供し、その残余を他の用途に供するものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
2  同一の承役地について数個の用水地役権を設定したときは、後の地役権者は、前の地役権者の水の使用を妨げてはならない。

(承役地の所有者の工作物の設置義務等)
第二百八十六条  設定行為又は設定後の契約により、承役地の所有者が自己の費用で地役権の行使のために工作物を設け、又はその修繕をする義務を負担したときは、承役地の所有者の特定承継人も、その義務を負担する。

第二百八十七条  承役地の所有者は、いつでも、地役権に必要な土地の部分の所有権を放棄して地役権者に移転し、これにより前条の義務を免れることができる。

(承役地の所有者の工作物の使用)
第二百八十八条  承役地の所有者は、地役権の行使を妨げない範囲内において、その行使のために承役地の上に設けられた工作物を使用することができる。
2  前項の場合には、承役地の所有者は、その利益を受ける割合に応じて、工作物の設置及び保存の費用を分担しなければならない。

(承役地の時効取得による地役権の消滅)
第二百八十九条  承役地の占有者が取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、地役権は、これによって消滅する。

第二百九十条  前条の規定による地役権の消滅時効は、地役権者がその権利を行使することによって中断する。

(地役権の消滅時効)
第二百九十一条  第百六十七条第二項に規定する消滅時効の期間は、継続的でなく行使される地役権については最後の行使の時から起算し、継続的に行使される地役権についてはその行使を妨げる事実が生じた時から起算する。

第二百九十二条  要役地が数人の共有に属する場合において、その一人のために時効の中断又は停止があるときは、その中断又は停止は、他の共有者のためにも、その効力を生ずる。

第二百九十三条  地役権者がその権利の一部を行使しないときは、その部分のみが時効によって消滅する。

(共有の性質を有しない入会権)
第二百九十四条  共有の性質を有しない入会権については、各地方の慣習に従うほか、この章の規定を準用する。
  第一編 総則
   第一章 通則

(基本原則)
第一条  私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2  権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3  権利の濫用は、これを許さない。

(解釈の基準)
第二条  この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として、解釈しなければならない。
   第二章 人
    第一節 権利能力

第三条  私権の享有は、出生に始まる。
2  外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。
    第二節 行為能力

(成年)
第四条  年齢二十歳をもって、成年とする。

(未成年者の法律行為)
第五条  未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。
ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2  前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3  第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、
その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。
目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

(未成年者の営業の許可)
第六条  一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
2  前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、
その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、
その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。

(後見開始の審判)
第七条  精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、
本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、
後見開始の審判をすることができる。

(成年被後見人及び成年後見人)
第八条  後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。

(成年被後見人の法律行為)
第九条  成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。
ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

(後見開始の審判の取消し)
第十条  第七条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、
本人、配偶者、四親等内の親族、後見人(未成年後見人及び成年後見人をいう。以下同じ。)、後見監督人(未成年後見監督人及び成年後見監督人をいう。以下同じ。)又は検察官の請求により、
後見開始の審判を取り消さなければならない。

(保佐開始の審判)
第十一条  精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、
家庭裁判所は、
本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。
ただし、第七条に規定する原因がある者については、この限りでない。

(被保佐人及び保佐人)
第十二条  保佐開始の審判を受けた者は、被保佐人とし、これに保佐人を付する。

(保佐人の同意を要する行為等)
第十三条  被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。
ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない(日用品の購入その他日常生活に関する行為)。

一  元本を領収し、又は利用すること。
二  借財又は保証をすること。

三  不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。

四  訴訟行為をすること。
五  贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法 (平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項 に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
六  相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
七  贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。

八  新築、改築、増築又は大修繕をすること。
九  第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。

2  家庭裁判所は、
第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、
被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であっても
その保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。
ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
(日用品の購入その他日常生活に関する行為)。

3  保佐人の同意を得なければならない行為について、
保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、
家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。

4  保佐人の同意を得なければならない行為であって、
その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。

(保佐開始の審判等の取消し)
第十四条  第十一条本文に規定する原因が消滅したときは、
家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判を取り消さなければならない。

2  家庭裁判所は、前項に規定する者の請求により、前条第二項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。

(補助開始の審判)
第十五条  精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、
家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。
ただし、第七条又は第十一条本文に規定する原因がある者については、この限りでない。

2  本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。

3  補助開始の審判は、
第十七条第一項の審判(補助人の同意権を要する旨の審判)又は
第八百七十六条の九第一項の審判とともにしなければならない。

876の4
(保佐人に代理権を付与する旨の審判)

(被補助人及び補助人)
第十六条  補助開始の審判を受けた者は、被補助人とし、これに補助人を付する。

(補助人の同意を要する旨の審判等)
第十七条  家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、
被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。
ただし、その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限る。

2  本人以外の者の請求により前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。

3  補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。

4  補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。

(補助開始の審判等の取消し)
第十八条  第十五条第一項本文に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、
本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、
補助開始の審判を取り消さなければならない。

2  家庭裁判所は、前項に規定する者の請求により、前条第一項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。

3  前条第一項の審判及び第八百七十六条の九第一項の審判をすべて取り消す場合には、
家庭裁判所は、補助開始の審判を取り消さなければならない。

(審判相互の関係)
第十九条  後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人又は被補助人であるときは、
家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始又は補助開始の審判を取り消さなければならない。

2  前項の規定は、保佐開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被補助人であるとき、
又は補助開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被保佐人であるときについて準用する。

(制限行為能力者の相手方の催告権)
第二十条  制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の相手方は、
その制限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、
その者に対し、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。
この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。

2  制限行為能力者の相手方が、
制限行為能力者が行為能力者とならない間に、
その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において、
これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも、同項後段と同様とする。

3  特別の方式を要する行為については、前二項の期間内にその方式を具備した旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。

4  制限行為能力者の相手方は、
被保佐人又は第十七条第一項の審判を受けた被補助人に対しては、
第一項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。
この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。

(制限行為能力者の詐術)
第二十一条  制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、
その行為を取り消すことができない。

    第三節 住所

(住所)
第二十二条  各人の生活の本拠をその者の住所とする。

(居所)
第二十三条  住所が知れない場合には、居所を住所とみなす。
2  日本に住所を有しない者は、その者が日本人又は外国人のいずれであるかを問わず、
日本における居所をその者の住所とみなす。
ただし、準拠法を定める法律に従いその者の住所地法によるべき場合は、この限りでない。

(仮住所)
第二十四条  ある行為について仮住所を選定したときは、その行為に関しては、その仮住所を住所とみなす。
    第四節 不在者の財産の管理及び失踪の宣告

(不在者の財産の管理)
第二十五条  従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)が
その財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、
家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、
その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。
本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。
2  前項の規定による命令後、本人が管理人を置いたときは、
家庭裁判所は、その管理人、利害関係人又は検察官の請求により、
その命令を取り消さなければならない。

(管理人の改任)
第二十六条  不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、
家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、管理人を改任することができる。

(管理人の職務)
第二十七条  前二条の規定により家庭裁判所が選任した管理人は、
その管理すべき財産の目録を作成しなければならない。
この場合において、その費用は、不在者の財産の中から支弁する。
2  不在者の生死が明らかでない場合において、利害関係人又は検察官の請求があるときは、
家庭裁判所は、不在者が置いた管理人にも、前項の目録の作成を命ずることができる。
3  前二項に定めるもののほか、家庭裁判所は、管理人に対し、
不在者の財産の保存に必要と認める処分を命ずることができる。

(管理人の権限)
第二十八条  管理人は、第百三条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、
家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。
不在者の生死が明らかでない場合において、
その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。

(管理人の担保提供及び報酬)
第二十九条  家庭裁判所は、管理人に財産の管理及び返還について
相当の担保を立てさせることができる。
2  家庭裁判所は、管理人と不在者との関係その他の事情により、
不在者の財産の中から、相当な報酬を管理人に与えることができる。

(失踪の宣告)
第三十条  不在者の生死が七年間明らかでないときは、
家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
2  戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、
それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。

(失踪の宣告の効力)
第三十一条  前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、
同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。

(失踪の宣告の取消し)
第三十二条  失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、
家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。
この場合において、その取消しは、
失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。
2  失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。
ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。


    第五節 同時死亡の推定

第三十二条の二  数人の者が死亡した場合において、
そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、
これらの者は、同時に死亡したものと推定する。


   第三章 法人
    第一節 法人の設立

(法人の成立)
第三十三条  法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。

(公益法人の設立)
第三十四条  学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団又は財団であって、
営利を目的としないものは、主務官庁の許可を得て、法人とすることができる。

(名称の使用制限)
第三十五条  社団法人又は財団法人でない者は、その名称中に社団法人若しくは財団法人という文字又はこれらと誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。

(外国法人)
第三十六条  外国法人は、国、国の行政区画及び商事会社を除き、その成立を認許しない。
ただし、法律又は条約の規定により認許された外国法人は、この限りでない。
2  前項の規定により認許された外国法人は、日本において成立する同種の法人と同一の私権を有する。
ただし、外国人が享有することのできない権利及び法律又は条約中に特別の規定がある権利については、この限りでない。

(定款)
第三十七条  社団法人を設立しようとする者は、定款を作成し、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一  目的
二  名称
三  事務所の所在地
四  資産に関する規定
五  理事の任免に関する規定
六  社員の資格の得喪に関する規定

(定款の変更)
第三十八条  定款は、総社員の四分の三以上の同意があるときに限り、変更することができる。
ただし、定款に別段の定めがあるときは、この限りでない。
2  定款の変更は、主務官庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。

(寄附行為)
第三十九条  財団法人を設立しようとする者は、その設立を目的とする寄附行為で、
第三十七条第一号から第五号までに掲げる事項を定めなければならない。

(裁判所による名称等の定め)
第四十条  財団法人を設立しようとする者が、
その名称、事務所の所在地又は理事の任免の方法を定めないで死亡したときは、
裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、これを定めなければならない。

(贈与又は遺贈に関する規定の準用)
第四十一条  生前の処分で寄附行為をするときは、
その性質に反しない限り、贈与に関する規定を準用する。
2  遺言で寄附行為をするときは、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。

(寄附財産の帰属時期)
第四十二条  生前の処分で寄附行為をしたときは、
寄附財産は、法人の設立の許可があった時から法人に帰属する。
2  遺言で寄附行為をしたときは、
寄附財産は、遺言が効力を生じた時から法人に帰属したものとみなす。

(法人の能力)
第四十三条  法人は、法令の規定に従い、
定款又は寄附行為で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。

(法人の不法行為能力等)
第四十四条  法人は、理事その他の代理人がその職務を行うについて他人に加えた損害を賠償する責任を負う。
2  法人の目的の範囲を超える行為によって他人に損害を加えたときは、
その行為に係る事項の決議に賛成した社員及び理事並びにその決議を履行した理事その他の代理人は、
連帯してその損害を賠償する責任を負う。

(法人の設立の登記等)
第四十五条  法人は、その設立の日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、
その他の事務所の所在地においては三週間以内に、登記をしなければならない。
2  法人の設立は、その主たる事務所の所在地において登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
3  法人の設立後に新たに事務所を設けたときは、その事務所の所在地においては三週間以内に、登記をしなければならない。

(設立の登記の登記事項及び変更の登記等)
第四十六条  法人の設立の登記において登記すべき事項は、次のとおりとする。
一  目的
二  名称
三  事務所の所在場所
四  設立の許可の年月日
五  存立時期を定めたときは、その時期
六  資産の総額
七  出資の方法を定めたときは、その方法
八  理事の氏名及び住所
2  前項各号に掲げる事項に変更を生じたときは、
主たる事務所の所在地においては二週間以内に、
その他の事務所の所在地においては三週間以内に、変更の登記をしなければならない。
この場合において、それぞれ登記前にあっては、その変更をもって第三者に対抗することができない。
3  理事の職務の執行を停止し、若しくはその職務を代行する者を選任する仮処分命令又はその仮処分命令を変更し、若しくは取り消す決定がされたときは、
主たる事務所及びその他の事務所の所在地においてその登記をしなければならない。
この場合においては、前項後段の規定を準用する。

(登記の期間)
第四十七条  第四十五条第一項及び前条の規定により登記すべき事項のうち官庁の許可を要するものの登記の期間については、その許可書が到達した日から起算する。

(事務所の移転の登記)
第四十八条  法人が主たる事務所を移転したときは、二週間以内に、
旧所在地においては移転の登記をし、
新所在地においては第四十六条第一項各号に掲げる事項を登記しなければならない。
2  法人が主たる事務所以外の事務所を移転したときは、
旧所在地においては三週間以内に移転の登記をし、
新所在地においては四週間以内に第四十六条第一項各号に掲げる事項を登記しなければならない。
3  同一の登記所の管轄区域内において事務所を移転したときは、その移転を登記すれば足りる。

(外国法人の登記)
第四十九条  第四十五条第三項、第四十六条及び前条の規定は、
外国法人が日本に事務所を設ける場合について準用する。
ただし、外国において生じた事項の登記の期間については、その通知が到達した日から起算する。
2  外国法人が初めて日本に事務所を設けたときは、
その事務所の所在地において登記するまでは、第三者は、その法人の成立を否認することができる。

(法人の住所)
第五十条  法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

(財産目録及び社員名簿)
第五十一条  法人は、設立の時及び毎年一月から三月までの間に財産目録を作成し、
常にこれをその主たる事務所に備え置かなければならない。
ただし、特に事業年度を設けるものは、
設立の時及び毎事業年度の終了の時に財産目録を作成しなければならない。
2  社団法人は、社員名簿を備え置き、社員の変更があるごとに必要な変更を加えなければならない。

    第二節 法人の管理

(理事)
第五十二条  法人には、一人又は数人の理事を置かなければならない。
2  理事が数人ある場合において、定款又は寄附行為に別段の定めがないときは、
法人の事務は、理事の過半数で決する。

(法人の代表)
第五十三条  理事は、法人のすべての事務について、法人を代表する。
ただし、定款の規定又は寄附行為の趣旨に反することはできず、
また、社団法人にあっては総会の決議に従わなければならない。

(理事の代理権の制限)
第五十四条  理事の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

(理事の代理行為の委任)
第五十五条  理事は、定款、寄附行為又は総会の決議によって禁止されていないときに限り、
特定の行為の代理を他人に委任することができる。

(仮理事)
第五十六条  理事が欠けた場合において、
事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、
裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、仮理事を選任しなければならない。

(利益相反行為)
第五十七条  法人と理事との利益が相反する事項については、理事は、代理権を有しない。
この場合においては、裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、特別代理人を選任しなければならない。

(監事)
第五十八条  法人には、定款、寄附行為又は総会の決議で、一人又は数人の監事を置くことができる。

(監事の職務)
第五十九条  監事の職務は、次のとおりとする。
一  法人の財産の状況を監査すること。
二  理事の業務の執行の状況を監査すること。
三  財産の状況又は業務の執行について、法令、定款若しくは寄附行為に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、総会又は主務官庁に報告をすること。
四  前号の報告をするため必要があるときは、総会を招集すること。

(通常総会)
第六十条  社団法人の理事は、少なくとも毎年一回、社員の通常総会を開かなければならない。

(臨時総会)
第六十一条  社団法人の理事は、必要があると認めるときは、いつでも臨時総会を招集することができる。
2  総社員の五分の一以上から会議の目的である事項を示して請求があったときは、
理事は、臨時総会を招集しなければならない。
ただし、総社員の五分の一の割合については、定款でこれと異なる割合を定めることができる。

(総会の招集)
第六十二条  総会の招集の通知は、
会日より少なくとも五日前に、その会議の目的である事項を示し、
定款で定めた方法に従ってしなければならない。

(社団法人の事務の執行)
第六十三条  社団法人の事務は、
定款で理事その他の役員に委任したものを除き、すべて総会の決議によって行う。

(総会の決議事項)
第六十四条  総会においては、
第六十二条の規定によりあらかじめ通知をした事項についてのみ、決議をすることができる。
ただし、定款に別段の定めがあるときは、この限りでない。

(社員の表決権)
第六十五条  各社員の表決権は、平等とする。
2  総会に出席しない社員は、書面で、又は代理人によって表決をすることができる。
3  前二項の規定は、定款に別段の定めがある場合には、適用しない。

(表決権のない場合)
第六十六条  社団法人と特定の社員との関係について議決をする場合には、
その社員は、表決権を有しない。

(法人の業務の監督)
第六十七条  法人の業務は、主務官庁の監督に属する。
2  主務官庁は、法人に対し、監督上必要な命令をすることができる。
3  主務官庁は、職権で、いつでも法人の業務及び財産の状況を検査することができる。

    第三節 法人の解散

(法人の解散事由)
第六十八条  法人は、次に掲げる事由によって解散する。
一  定款又は寄附行為で定めた解散事由の発生
二  法人の目的である事業の成功又はその成功の不能
三  破産手続開始の決定
四  設立の許可の取消し
2  社団法人は、前項各号に掲げる事由のほか、次に掲げる事由によって解散する。
一  総会の決議
二  社員が欠けたこと。

(法人の解散の決議)
第六十九条  社団法人は、
総社員の四分の三以上の賛成がなければ、解散の決議をすることができない。
ただし、定款に別段の定めがあるときは、この限りでない。

(法人についての破産手続の開始)
第七十条  法人がその債務につきその財産をもって完済することができなくなった場合には、
裁判所は、理事若しくは債権者の申立てにより又は職権で、破産手続開始の決定をする。
2  前項に規定する場合には、理事は、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。

(法人の設立の許可の取消し)
第七十一条  法人がその目的以外の事業をし、
又は設立の許可を得た条件若しくは主務官庁の監督上の命令に違反し、
その他公益を害すべき行為をした場合において、
他の方法により監督の目的を達することができないときは、
主務官庁は、その許可を取り消すことができる。
正当な事由なく引き続き三年以上事業をしないときも、同様とする。

(残余財産の帰属)
第七十二条  解散した法人の財産は、定款又は寄附行為で指定した者に帰属する。
2  定款又は寄附行為で権利の帰属すべき者を指定せず、
又はその者を指定する方法を定めなかったときは、
理事は、主務官庁の許可を得て、
その法人の目的に類似する目的のために、その財産を処分することができる。
ただし、社団法人にあっては、総会の決議を経なければならない。
3  前二項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。

(清算法人)
第七十三条  解散した法人は、
清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす。

(清算人)
第七十四条  法人が解散したときは、
破産手続開始の決定による解散の場合を除き、理事がその清算人となる。
ただし、定款若しくは寄附行為に別段の定めがあるとき、
又は総会において理事以外の者を選任したときは、この限りでない。

(裁判所による清算人の選任)
第七十五条  前条の規定により清算人となる者がないとき、
又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、
裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。

(清算人の解任)
第七十六条  重要な事由があるときは、
裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を解任することができる。

(清算人及び解散の登記及び届出)
第七十七条  清算人は、破産手続開始の決定及び設立の許可の取消しの場合を除き、
解散後主たる事務所の所在地においては二週間以内に、
その他の事務所の所在地においては三週間以内に、
その氏名及び住所並びに解散の原因及び年月日の登記をし、
かつ、これらの事項を主務官庁に届け出なければならない。
2  清算中に就職した清算人は、
就職後主たる事務所の所在地においては二週間以内に、
その他の事務所の所在地においては三週間以内に、
その氏名及び住所の登記をし、
かつ、これらの事項を主務官庁に届け出なければならない。
3  前項の規定は、設立の許可の取消しによる解散の際に就職した清算人について準用する。

(清算人の職務及び権限)
第七十八条  清算人の職務は、次のとおりとする。
一  現務の結了
二  債権の取立て及び債務の弁済
三  残余財産の引渡し
2  清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。

(債権の申出の催告等)
第七十九条  清算人は、その就職の日から二箇月以内に、少なくとも三回の公告をもって、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。
この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
2  前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは、
その債権は清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。
ただし、清算人は、知れている債権者を除斥することができない。
3  清算人は、知れている債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。
4  第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。

(期間経過後の債権の申出)
第八十条  前条第一項の期間の経過後に申出をした債権者は、
法人の債務が完済された後まだ権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、
請求をすることができる。

(清算法人についての破産手続の開始)
第八十一条  清算中に法人の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、
清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをし、その旨を公告しなければならない。
2  清算人は、清算中の法人が破産手続開始の決定を受けた場合において、
破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。
3  前項に規定する場合において、清算中の法人が既に債権者に支払い、
又は権利の帰属すべき者に引き渡したものがあるときは、
破産管財人は、これを取り戻すことができる。
4  第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。

(裁判所による監督)
第八十二条  法人の解散及び清算は、裁判所の監督に属する。
2  裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。

(清算結了の届出)
第八十三条  清算が結了したときは、清算人は、その旨を主務官庁に届け出なければならない。


    第四節 補則

(主務官庁の権限の委任)
第八十四条  この章に規定する主務官庁の権限は、
政令で定めるところにより、その全部又は一部を国に所属する行政庁に委任することができる。

(都道府県の執行機関による主務官庁の事務の処理)
第八十四条の二  この章に規定する主務官庁の権限に属する事務は、
政令で定めるところにより、
都道府県の知事その他の執行機関(以下「都道府県の執行機関」という。)において
その全部又は一部を処理することとすることができる。
2  前項の場合において、主務官庁は、
政令で定めるところにより、法人に対する監督上の命令又は設立の許可の取消しについて、
都道府県の執行機関に対し指示をすることができる。
3  第一項の場合において、主務官庁は、
都道府県の執行機関がその事務を処理するに当たってよるべき基準を定めることができる。
4  主務官庁が前項の基準を定めたときは、これを告示しなければならない。

    第五節 罰則

第八十四条の三  法人の理事、監事又は清算人は、次の各号のいずれかに該当する場合には、
五十万円以下の過料に処する。
一  この章に規定する登記を怠ったとき。
二  第五十一条の規定に違反し、又は財産目録若しくは社員名簿に不正の記載をしたとき。

三  第六十七条第三項又は第八十二条第二項の規定による主務官庁、
その権限の委任を受けた国に所属する行政庁
若しくはその権限に属する事務を処理する都道府県の執行機関
又は裁判所の検査を妨げたとき。

四  第六十七条第二項の規定による主務官庁
又はその権限の委任を受けた国に所属する行政庁
若しくはその権限に属する事務を処理する都道府県の執行機関の監督上の命令に違反したとき。

五  官庁、主務官庁の権限に属する事務を処理する都道府県の執行機関又は総会に対し、
不実の申立てをし、又は事実を隠ぺいしたとき。

六  第七十条第二項又は第八十一条第一項の規定による破産手続開始の申立てを怠ったとき。
七  第七十九条第一項又は第八十一条第一項の公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。
2  第三十五条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。
   第四章 物

(定義)
第八十五条  この法律において「物」とは、有体物をいう。

(不動産及び動産)
第八十六条  土地及びその定着物は、不動産とする。
2  不動産以外の物は、すべて動産とする。
3  無記名債権は、動産とみなす。

(主物及び従物)
第八十七条  物の所有者が、
その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、
その附属させた物を従物とする。
2  従物は、主物の処分に従う。抵当権の実行

天然果実及び法定果実
第八十八条  物の用法に従い収取する産出物を天然果実とする。
2  物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物を法定果実とする。

(果実の帰属)
第八十九条  天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する。
2  法定果実は、これを収取する権利の存続期間に応じて、日割計算によりこれを取得する。


   第五章 法律行為
    第一節 総則

(公序良俗)
第九十条  公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

(任意規定と異なる意思表示)任意規定<意思<公の秩序
第九十一条  法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、
その意思に従う。

(任意規定と異なる慣習)
第九十二条  法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、
法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。
事実たる慣習、慣習法

    第二節 意思表示

(心裡留保)
第九十三条  意思表示は、
表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、
そのためにその効力を妨げられない。
ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。

(虚偽表示)
第九十四条  相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2  前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

(錯誤)
第九十五条  意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。
ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

(詐欺又は強迫)
第九十六条  詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2  相手方に対する意思表示について
第三者が詐欺を行った場合においては、
相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3  前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。

(隔地者に対する意思表示)
第九十七条  隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
2  隔地者に対する意思表示は、
表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、
そのためにその効力を妨げられない。

(公示による意思表示)
第九十八条  意思表示は、
表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、
公示の方法によってすることができる。
2  前項の公示は、
公示送達に関する民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)の規定に従い、
裁判所の掲示場に掲示し、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも一回掲載して行う。
ただし、裁判所は、相当と認めるときは、官報への掲載に代えて、
市役所、区役所、町村役場又はこれらに準ずる施設の掲示場に掲示すべきことを命ずることができる。
3  公示による意思表示は、
最後に官報に掲載した日
又はその掲載に代わる掲示を始めた日から二週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。
ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない。
4  公示に関する手続は、相手方を知ることができない場合には表意者の住所地の、相手方の所在を知ることができない場合には相手方の最後の住所地の簡易裁判所の管轄に属する。
5  裁判所は、表意者に、公示に関する費用を予納させなければならない。

(意思表示の受領能力)
第九十八条の二  意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に未成年者又は成年被後見人であったときは、
その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。
ただし、その法定代理人がその意思表示を知った後は、この限りでない。

    第三節 代理

(代理行為の要件及び効果)
第九十九条  代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、
本人に対して直接にその効力を生ずる。
2  前項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する。

(本人のためにすることを示さない意思表示)
第百条  代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は(代理人名義)、
自己のためにしたものとみなす。
ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、
前条第一項の規定を準用する。
顕名なし:本人のためにする意思)


(代理行為の瑕疵)
第百一条  意思表示の効力が
意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと
若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、
その事実の有無は、代理人について決するものとする。
2  特定の法律行為をすることを委託された場合において、
代理人が本人の指図に従ってその行為をしたときは、
本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。
本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。

(代理人の行為能力)
第百二条  代理人は、行為能力者であることを要しない。要意思能力
使者意思能力不要


(権限の定めのない代理人の権限)
第百三条  権限の定めのない代理人は、
次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一  保存行為
二  代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

(任意代理人による復代理人の選任)
第百四条  委任による代理人は、
本人の許諾を得たとき、
又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。

(復代理人を選任した代理人の責任)
第百五条  代理人は、
前条の規定により復代理人を選任したときは、
その選任及び監督について、本人に対してその責任を負う。
2  代理人は、
本人の指名に従って復代理人を選任したときは、前項の責任を負わない。
ただし、その代理人が、復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながら、その旨を本人に通知し又は復代理人を解任することを怠ったときは、この限りでない。

(法定代理人による復代理人の選任)
第百六条  法定代理人は、
自己の責任で復代理人を選任することができる。
この場合において、やむを得ない事由があるときは、前条第一項の責任のみを負う。

(復代理人の権限等)
第百七条  復代理人は、
その権限内の行為について、本人を代表する。
2  復代理人は、
本人及び第三者に対して、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。

(自己契約及び双方代理)
第百八条  同一の法律行為については、
相手方の代理人となり、
又は当事者双方の代理人となることはできない。
ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

(代理権授与の表示による表見代理)
第百九条  第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、
その代理権の範囲内において
その他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。
ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。

(権限外の行為の表見代理)
第百十条  前条本文の規定は、
代理人がその権限外の行為をした場合において、
第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

(代理権の消滅事由)
第百十一条  代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一  本人の死亡(⇔破産、後見)(委任:死亡、破産⇔後見)
二  代理人の死亡
又は代理人が破産手続開始の決定
若しくは後見開始の審判を受けたこと。
2  委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。

(代理権消滅後の表見代理)
第百十二条  代理権の消滅は、善意の第三者に対抗することができない。
ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。


(無権代理)
第百十三条  代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、
本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
2  追認又はその拒絶は、
相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。
ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。

(無権代理の相手方の催告権)
第百十四条  前条の場合において、相手方は、
本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。
この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。

(無権代理の相手方の取消権)
第百十五条  代理権を有しない者がした契約は、
本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。
ただし、契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、この限りでない。

(無権代理行為の追認)
第百十六条  追認は、
別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。
ただし、第三者の権利を害することはできない。問題となる場合

(無権代理人の責任)
第百十七条  他人の代理人として契約をした者は、
自己の代理権を証明することができず、かつ、本人の追認を得ることができなかったときは、
相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2  前項の規定は、
他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき
若しくは過失によって知らなかったとき
又は他人の代理人として契約をした者が行為能力を有しなかったときは、適用しない。

(単独行為の無権代理)
第百十八条  単独行為については、
その行為の時において、
相手方が、代理人と称する者が代理権を有しないで行為をすることに同意し、
又はその代理権を争わなかったときに限り、
第百十三条から前条までの規定を準用する。
代理権を有しない者に対しその同意を得て単独行為をしたときも、同様とする。


    第四節 無効及び取消し

(無効な行為の追認)
第百十九条  無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない。ただし、当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたときは、新たな行為をしたものとみなす。

(取消権者)
第百二十条  行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
2  詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。

(取消しの効果)
第百二十一条  取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。ただし、制限行為能力者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。

(取り消すことができる行為の追認)
第百二十二条  取り消すことができる行為は、第百二十条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。ただし、追認によって第三者の権利を害することはできない。

(取消し及び追認の方法)
第百二十三条  取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消し又は追認は、相手方に対する意思表示によってする。

(追認の要件)
第百二十四条  追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ、その効力を生じない。
2  成年被後見人は、行為能力者となった後にその行為を了知したときは、その了知をした後でなければ、追認をすることができない。
3  前二項の規定は、法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若しくは補助人が追認をする場合には、適用しない。

(法定追認)
第百二十五条  前条の規定により追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限りでない。
一  全部又は一部の履行
二  履行の請求
三  更改
四  担保の供与
五  取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
六  強制執行

(取消権の期間の制限)
第百二十六条  取消権は、追認をすることができる時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。


    第五節 条件及び期限

(条件が成就した場合の効果)
第百二十七条  停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
2  解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。
3  当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。

(条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止)
第百二十八条  条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。

(条件の成否未定の間における権利の処分等)
第百二十九条  条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる。

(条件の成就の妨害)
第百三十条  条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。

(既成条件)
第百三十一条  条件が法律行為の時に既に成就していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無条件とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無効とする。
2  条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無効とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無条件とする。
3  前二項に規定する場合において、当事者が条件が成就したこと又は成就しなかったことを知らない間は、第百二十八条及び第百二十九条の規定を準用する。

(不法条件)
第百三十二条  不法な条件を付した法律行為は、無効とする。不法な行為をしないことを条件とするものも、同様とする。

(不能条件)
第百三十三条  不能の停止条件を付した法律行為は、無効とする。
2  不能の解除条件を付した法律行為は、無条件とする。

(随意条件)
第百三十四条  停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。

(期限の到来の効果)
第百三十五条  法律行為に始期を付したときは、その法律行為の履行は、期限が到来するまで、これを請求することができない。
2  法律行為に終期を付したときは、その法律行為の効力は、期限が到来した時に消滅する。

(期限の利益及びその放棄)
第百三十六条  期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。
2  期限の利益は、放棄することができる。ただし、これによって相手方の利益を害することはできない。

(期限の利益の喪失)
第百三十七条  次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
一  債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
二  債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
三  債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。
   第六章 期間の計算

(期間の計算の通則)
第百三十八条  期間の計算方法は、法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合又は法律行為に別段の定めがある場合を除き、この章の規定に従う。

(期間の起算)
第百三十九条  時間によって期間を定めたときは、その期間は、即時から起算する。

第百四十条  日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

(期間の満了)
第百四十一条  前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。

第百四十二条  期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律 (昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。

(暦による期間の計算)
第百四十三条  週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2  週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。



   第七章 時効
    第一節 総則

(時効の効力)
第百四十四条  時効の効力は、その起算日にさかのぼる。

(時効の援用)
第百四十五条  時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

(時効の利益の放棄)
第百四十六条  時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。

(時効の中断事由)
第百四十七条  時効は、次に掲げる事由によって中断する。
一  請求
二  差押え、仮差押え又は仮処分
三  承認

(時効の中断の効力が及ぶ者の範囲)
第百四十八条  前条の規定による時効の中断は、その中断の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。

(裁判上の請求)
第百四十九条  裁判上の請求は、訴えの却下又は取下げの場合には、時効の中断の効力を生じない。

(支払督促)
第百五十条  支払督促は、債権者が民事訴訟法第三百九十二条 に規定する期間内に仮執行の宣言の申立てをしないことによりその効力を失うときは、時効の中断の効力を生じない。

(和解及び調停の申立て)
第百五十一条  和解の申立て又は民事調停法 (昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは家事審判法 (昭和二十二年法律第百五十二号)による調停の申立ては、相手方が出頭せず、又は和解若しくは調停が調わないときは、一箇月以内に訴えを提起しなければ、時効の中断の効力を生じない。

(破産手続参加等)
第百五十二条  破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加は、債権者がその届出を取り下げ、又はその届出が却下されたときは、時効の中断の効力を生じない。

(催告)
第百五十三条  催告は、六箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法 若しくは家事審判法 による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない。

(差押え、仮差押え及び仮処分)
第百五十四条  差押え、仮差押え及び仮処分は、権利者の請求により又は法律の規定に従わないことにより取り消されたときは、時効の中断の効力を生じない。

第百五十五条  差押え、仮差押え及び仮処分は、時効の利益を受ける者に対してしないときは、その者に通知をした後でなければ、時効の中断の効力を生じない。

(承認)
第百五十六条  時効の中断の効力を生ずべき承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力又は権限があることを要しない。
(◯→被補助人、被保佐人、後見監督人のいる後見人:処分の能力はないが、管理の能力はあるところ、債務の承認は、債務の存在を明らかにするものであって、権利を処分するものではない。
→未成年者、成年被後見人は管理の能力権限もない)


(中断後の時効の進行)
第百五十七条  中断した時効は、その中断の事由が終了した時から、新たにその進行を始める。
2  裁判上の請求によって中断した時効は、裁判が確定した時から、新たにその進行を始める。

(未成年者又は成年被後見人と時効の停止)
第百五十八条  時効の期間の満了前六箇月以内の間に未成年者又は成年被後見人に法定代理人がないときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は法定代理人が就職した時から六箇月を経過するまでの間は、その未成年者又は成年被後見人に対して、時効は、完成しない。
2  未成年者又は成年被後見人がその財産を管理する父、母又は後見人に対して権利を有するときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は後任の法定代理人が就職した時から六箇月を経過するまでの間は、その権利について、時効は、完成しない。

(夫婦間の権利の時効の停止)
第百五十九条  夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

(相続財産に関する時効の停止)
第百六十条  相続財産に関しては、相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

(天災等による時効の停止)
第百六十一条  時効の期間の満了の時に当たり、天災その他避けることのできない事変のため時効を中断することができないときは、その障害が消滅した時から二週間を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
    第二節 取得時効

(所有権の取得時効)
第百六十二条  二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2  十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

(所有権以外の財産権の取得時効)
第百六十三条  所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、前条の区別に従い二十年又は十年を経過した後、その権利を取得する。

(占有の中止等による取得時効の中断)
第百六十四条  第百六十二条の規定による時効は、占有者が任意にその占有を中止し、又は他人によってその占有を奪われたときは、中断する。

第百六十五条  前条の規定は、第百六十三条の場合について準用する。
    第三節 消滅時効

(消滅時効の進行等)
第百六十六条  消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。
2  前項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を中断するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。

(債権等の消滅時効)
第百六十七条  債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
2  債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する。

(定期金債権の消滅時効)
第百六十八条  定期金の債権は、第一回の弁済期から二十年間行使しないときは、消滅する。最後の弁済期から十年間行使しないときも、同様とする。
2  定期金の債権者は、時効の中断の証拠を得るため、いつでも、その債務者に対して承認書の交付を求めることができる。

(定期給付債権の短期消滅時効)
第百六十九条  年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、五年間行使しないときは、消滅する。

(三年の短期消滅時効)
第百七十条  次に掲げる債権は、三年間行使しないときは、消滅する。ただし、第二号に掲げる債権の時効は、同号の工事が終了した時から起算する。
一  医師、助産師又は薬剤師の診療、助産又は調剤に関する債権
二  工事の設計、施工又は監理を業とする者の工事に関する債権

第百七十一条  弁護士又は弁護士法人は事件が終了した時から、公証人はその職務を執行した時から三年を経過したときは、その職務に関して受け取った書類について、その責任を免れる。

(二年の短期消滅時効)
第百七十二条  弁護士、弁護士法人又は公証人の職務に関する債権は、その原因となった事件が終了した時から二年間行使しないときは、消滅する。
2  前項の規定にかかわらず、同項の事件中の各事項が終了した時から五年を経過したときは、同項の期間内であっても、その事項に関する債権は、消滅する。

第百七十三条  次に掲げる債権は、二年間行使しないときは、消滅する。
一  生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権
二  自己の技能を用い、注文を受けて、物を製作し又は自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権
三  学芸又は技能の教育を行う者が生徒の教育、衣食又は寄宿の代価について有する債権

(一年の短期消滅時効)
第百七十四条  次に掲げる債権は、一年間行使しないときは、消滅する。
一  月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給料に係る債権
二  自己の労力の提供又は演芸を業とする者の報酬又はその供給した物の代価に係る債権
三  運送賃に係る債権
四  旅館、料理店、飲食店、貸席又は娯楽場の宿泊料、飲食料、席料、入場料、消費物の代価又は立替金に係る債権
五  動産の損料に係る債権

(判決で確定した権利の消滅時効)
第百七十四条の二  確定判決によって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。裁判上の和解、調停その他確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利についても、同様とする。
2  前項の規定は、確定の時に弁済期の到来していない債権については、適用しない。
期間:初日が完全に一日に満たないとき:初日は参入しない140条。

第三者強迫:相手方が不知でも取消し得る96条2項。

伐木の即時取得:搬出

即時取得;第三者、取引行為⇔当事者、事実行為

遺留分減殺請求権:知ったときから1年、相続開始時から10年で消滅する1042条。


行政法とは:多数の法律により構成される。

公法私法二分論:私法関係公法関係を峻別する考え方
=国民の自由な意思を基礎とする力が働く関係か否かで区別。

法律による行政の原理
:行政活動は法律に従って行われなければならない。
①法律の法規創造力の原則:法規定立の場面における国会中心立法の原則
②法律の優位の原則:行政活動の場面における法律違反活動禁止の原則
③法律の留保の原則:行政活動の場面における法律の根拠のない行政活動禁止の原則

<1-1>
行政の意義
実質的意義の行政
積極説:国家目的の積極的実現を目指して行われる全体として統一性を持った形成的国家活動をいう。
控除説:国家作用のうち、法規の定立行為としての立法作用、国家刑罰権の判断作用、及び一定の裁判手続によって、人と人との権利義務を判断する民事司法の司法作用を除くものをいう。

形式的意義の行政
:行政機関が行う行為の全体をいう。

<1-2>
行政の分類

規制行政(侵害行政)
:国民の権利.利益を制限し、又は剥奪する行政活動

給付行政
:国民に権利、利益を付与する行政活動

相対化:国民生活への介入により一つの行政活動が、一方国民には給付、他方国民には規制となる場合をいう。

調達行政
:物的手段を確保する行政活動=公用収容、税務行政

人事行政
:人的手段を確保する行政活動

調整行政
:行政機関による私人間の紛争における利害調整を担当する行政をいう。
=私法的解決に先立つもので、規制緩和に伴い増加

私経済的行政
:私企業と同じ立場に立って行う行政をいう

権力行政と非権力行政


<1-3>
行政法の古典モデル
フランス
ドイツ
日本
イギリス
アメリカ

日本における、伝統的な行政法理論の考え方
:行政活動を内部関係、外部関係に分けて考える。
∵西欧型近代法治国家原理の基礎をおく=法律の留保∩行政権の侵害から国民の権利利益を守る。
行政活動の外部関係:行政主体と私人の関係→行政作用法が妥当
行政活動の内部関係:行政主体の内部組織における関係→行政組織法が妥当

行為形式の三段階構造モデル
:法律→行政行為→強制行為


<2-1>
行政法とは
:行政に関する方をいう
=様々な名称と内容を持った多くの法律が行政法を構成
国家行政組織法、地方自治法、国家公務員法、地方公務員法、行政代執行法、行政不服審査法、国家賠償法、土地収用法など

行政という法分野を形成する理由如何
→共通の指導原理を持った統一的な法の体系を構成しているから
→便宜的に結びついているにすぎない
→共通性、統一性は狭いながら認められる

共通の指導原理について
:行政行為は、種々存在し、別個のものだが、行政が一方的に国民の権利義務を決定する処分という点で共通。

行政行為は、種々存在し、別個のものだが、国民が勝手な判断で無視できない効力(公定力)を有している点で共通。

<2-2>
行政法の全体構造
行政組織法
:行政主体の組織に関する法
=行政組織の定め:内閣法、国家行政組織法、地方自治法
=公務員関係の定め:国家公務員法、地方公務員法
=公物に関する定め:公物法

行政作用法
:行政主体の作用ないし活動に関する法
→情報公開法、警察法など


<3-1>
法律による行政の原理
:行政活動は国会の制定する法律の定めるところにより、法律に従って行われなければならないという原理

法律による行政の原理の趣旨
自由主義:公権力の恣意的な介入を防ぐ
民主主義:行政活動を民主的に統制する

憲法上の根拠
:明文なし/近代立憲主義憲法=法治国家(31、41、65、76、81参照)

<3-2>
法律による行政の原理の内容
:法律による行政の原理
1 法律の優位の原則:行政活動の場面における法律違反活動禁止の原則(根拠:v41)
慣習法
:成立の余地あり
/既存の法律に違反し、または、法律の留保の原則に反するなら、成立しない。
=法律違反の行政実務は、相当期間継続しても、法的拘束性ある慣行とならない(判例に同旨)。

2 法律の留保の原則:行政活動の場面における法律の根拠のない行政活動禁止の原則
<いかなる行政活動に作用法上の根拠が必要か>
権力留保説:権力的な行為形式によって行われる場合に法律の根拠が必要
侵害留保説:
全部留保説:
社会留保説:
本質性留保説:

「法律」とは
:行政活動の実体的要件効果を定めた規範

3 法律の法規創造力の原則:法規定立の場面における国会中心立法の原則
例外:行政立法


<3-3>
特別権力関係論

特別権力関係とは
:国民が特別の原因に基づいて、特別の規律に服する関係をいう。

特別権力関係の性質
:特別権力関係たる社会関係の支配者は包括的な命令懲戒権を有する
:自由権に関する憲法の保障は及ばない
:裁判権が及ばない

←法治主義の妥当する日本では存立基盤がない
←各社会関係においては個別具体的な合理的理由に基づく個別立法において規制されている

→特別権力関係の現代化の説明
:一般権力関係となった
:契約関係となった

現代化の内容
:支配権の内容と範囲はそれぞれの具体的な法関係の性質と目的によって定まる


公法と私法
<4-1>
公法私法二分論

<4-2>
公法私法区別否定論

<4-3>
判例


行政法の法源
<5ー1>
成文法源
不分法源
第十四条  すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2  華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3  栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。


平等権:個人の人権(判例に同旨)。
平等原則:国家行為の規制原則


法の下の平等とは何か=「法の下」の意義
 立法者非拘束説:法適用の平等を意味し、立法権を拘束しない。
 ←不平等な内容による平等権侵害、平等原則違反を防げない
 立法者拘束説:法適用の平等と法内容の平等の双方を意味する。
 ∵不平等な内容の法律を平等に適用しても、個人の尊厳は全うされない点で実質的に不平等だから。
 ∵多数者による少数者の人権侵害を防止するためには、法内容の平等が必要である


「平等」の意義
 形式的平等:国は、国民間の機会均等を図れば足りるのか
 実質的平等:国は、国民の結果の平等のため、積極的に格差是正を図ることができるか
 :形式的平等∵結果の平等保障が手段が憲法上規定されていない
 →積極的是正措置は社会権で図るべき。
 参照:アファーマティブアクション:弱者少数者の優先的措置→逆差別の問題。

 絶対的平等(個人間の差別的取扱いを一切許さない)か
 相対的平等(個人の特性や能力に応じた取扱いを許す)か
 :相対的平等∵絶対的平等を貫くと個人の尊重に反する場合があるから
 →合理的な差別は許される。


後段列挙事由の意味
立法者非拘束説
:後段列挙事由については差別立法が絶対的に禁止され、立法者も絶対的に拘束される。
立法者拘束説
:法の下の平等を具体的に指示するもの
:原則的に差別が禁止される事項の列挙
:列挙事由に該当する差別は合憲性の推定が排除される(伊藤正巳)
:単なる例示(判例に同旨 s480404)
:列挙事由については差別立法が絶対的に禁止され、立法者も絶対的に拘束
:列挙事由に関する差別立法は絶対的に禁止だが、公共の福祉により絶対性を緩和する

後段列挙事由の定義
人種
信条
性別
社会的身分
門地

政治的
経済的
社会的関係

平等原則の制度的具体化


合理的な差別とは何か:違憲審査基準
第1関門:画一的取扱いの要請に反しないか。
→反する具体例:人種分離政策、家制度、公務就任権、投票の価値に差異を設けることなど。
第2関門
①原則:合理性の基準=法律の目的と差別的取扱いとの間に合理性関連性が認められば合憲
②差別的取扱いが後段列挙事由に関わる場合:厳格な審査テスト
=その別異の取扱いが合憲であるためには、やむにやまれざる政府利益の達成のために必要不可欠なものであることが厳格に問われなくてはならない。
③基本的人権の重大な制限を伴う場合:厳格な合理性の基準
=法律の目的を厳格に解し、あるいは手段が実質的相当性を有するか否かを、厳格に問う必要がある。

具体的事例


外国人の管理職就任権
主 文
1 原判決のうち上告人敗訴部分を破棄する。
2 前項の部分につき被上告人の控訴を棄却する。
3 控訴費用及び上告費用は被上告人の負担とする。

理 由

事案:
在留外国人が地方公務員の管理職選考試験を受験しようとしたところ、日本国籍を有しないことを理由として、受験が認められなかったため、国家賠償法上の慰謝料の支払を請求する事案である。

管理職
:事案の決定権限を有する職員、事案の決定過程に関与する職員、専門分野の研究などを行うが、事案の決定権限を有せず、事案の決定過程に関与する蓋然性も少ない職員

管理職任用後の職務
:管理職専攻の分野に限らず、いずれの分野においても管理的な職務に就くことがある。

管理職選考実施要領
H6:明文の定めは置いていなかったものの,受験者が日本の国籍を有することを前提としていた
H7:日本の国籍を有することが受験資格であることが明記されるに至った
→筆記考査ないし、選考を受けることができなかった。
⇒国籍なし故受験の機会を奪い承認の道を閉ざすもので違法だから慰謝料請求。

原審:慰謝料請求一部認容
日本国籍を有しない者:憲法上公務員就任権を保障されているということはできない。
:「国民主権の原理に照らして問題がある」から、管理職に任用される権利も保障されていない。
しかし、管理職にも、公権力を行使することなく、公ノ意思のケキセイに参画する蓋然性が少なく、地方公共団体の行う統治作用に関わる程度の弱い管理職も存在する。
→外国人を任用することが許されない管理職と許される管理職を分別して考えるべきで、後者について外国人をに任用しても国民主権に反しない。

外国籍の職員に昇任を許しても差し支えない課長級の管理職も存在するから、受験の機会を奪うことは承認の道を閉ざすものであり、22条1項、14条1項に違反する違法な措置である。
慰謝料20万円。
以上原審。



4 しかしながら,前記事実関係等の下で被上告人の慰謝料請求を認容すべきものとした原審の判断は,是認することができない。
その理由は,次のとおりである。
(1) 地方公務員法は,
一般職の地方公務員(以下「職員」という。)に本邦に在留する外国人(以下「在留外国人」という。)を任命することができるかどうかについて明文の規定を置いていないが(同法19条1項参照),
普通地方公共団体が,法による制限の下で,
条例,人事委員会規則等の定めるところにより職員に在留外国人を任命することを禁止するものではない。
普通地方公共団体は,職員に採用した在留外国人について,
国籍を理由として,給与,勤務時間その他の勤務条件につき差別的取扱いをしてはならないものとされており
(労働基準法3条,112条,地方公務員法58条3項),地方公務員法24条6項に基づく給与に関する条例で定められる昇格(給料表の上位の職務の級への変更)等も
上記の勤務条件に含まれるものというべきである。

しかし,上記の定めは,
普通地方公共団体が職員に採用した在留外国人の処遇につき
合理的な理由に基づいて日本国民と異なる取扱いをすることまで許されないとするものではない。
また,そのような取扱いは,合理的な理由に基づくものである限り,憲法14条1項に違反するものでもない。
管理職への昇任は,昇格等を伴うのが通例であるから,
在留外国人を職員に採用するに当たって
管理職への昇任を前提としない条件の下でのみ就任を認めることとする場合には,
そのように取り扱うことにつき合理的な理由が存在することが必要である。

(2) 地方公務員のうち,
住民の権利義務を直接形成し,その範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い,
若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い,又はこれらに参画することを職務とするもの(以下「公権力行使等地方公務員」という。)については,
次のように解するのが相当である。

すなわち,公権力行使等地方公務員の職務の遂行は,
住民の権利義務や法的地位の内容を定め,あるいはこれらに事実上大きな影響を及ぼすなど,
住民の生活に直接間接に重大なかかわりを有するものである。

それゆえ,国民主権の原理に基づき,
国及び普通地方公共団体による統治の在り方については日本国の統治者としての国民が最終的な責任を負うべきものであること(憲法1条,15条1項参照)に照らし,
原則として日本の国籍を有する者が公権力行使等地方公務員に就任することが想定されているとみるべきであり,
我が国以外の国家に帰属し,
その国家との間でその国民としての権利義務を有する外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは,
本来我が国の法体系の想定するところではないものというべきである。

そして,普通地方公共団体が,
公務員制度を構築するに当たって,
公権力行使等地方公務員の職と
これに昇任するのに必要な職務経験を積むために経るべき職とを包含する
一体的な管理職の任用制度を構築して人事の適正な運用を図ることも,
その判断により行うことができるものというべきである。

そうすると,【要旨1】[]普通地方公共団体が上記のような管理職の任用制度を構築した上で,
日本国民である職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることは,
合理的な理由に基づいて日本国民である職員と在留外国人である職員とを区別するものであり,
上記の措置は,労働基準法3条にも,憲法14条1項にも違反するものではないと解するのが相当である。[
]
そして,この理は,前記の特別永住者についても異なるものではない。

(3) これを本件についてみると,前記事実関係等によれば,昭和63年4月に上告人に保健婦として採用された被上告人は,
東京都人事委員会の実施する平成6年度及び同7年度の管理職選考(選考種別Aの技術
系の選考区分医化学)を受験しようとしたが,東京都人事委員会が上記各年度の管理職選考において日本の国籍を有しない者には受験資格を認めていなかったため,いずれも受験することができなかったというのである。そして,当時,上告人においては,管理職に昇任した職員に終始特定の職種の職務内容だけを担当させるという任用管理を行っておらず,管理職に昇任すれば,いずれは公権力行使等地方公務員に就任することのあることが当然の前提とされていたということができるから,上告人は,公権力行使等地方公務員の職に当たる管理職のほか,これに関連する職を包含する一体的な管理職の任用制度を設けているということができる。
【要旨2】[]そうすると,上告人において,
上記の管理職の任用制度を適正に運営するために必要があると判断して,
職員が管理職に昇任するための資格要件として当該職員が日本の国籍を有する職員であることを定めたとしても,
合理的な理由に基づいて日本の国籍を有する職員と在留外国人である職員とを区別するものであり,
上記の措置は,労働基準法3条にも,憲法14条1項にも違反するものではない。[
]
原審がいうように,
上告人の管理職のうちに,企画や専門分野の研究を行うなどの職務を行うにとどまり,
公権力行使等地方公務員には当たらないものも若干存在していたとしても,
上記判断を左右するものではない。
また,被上告人のその余の違憲の主張はその前提を欠く。
以上と異なる原審の前記判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。
この趣旨をいう論旨は理由があり,原判決のうち上告人の敗訴部分は破棄を免れない。
そして,被上告人の慰謝料請求を棄却すべきものとした第1審判決は正当であるから,
上記部分についての被上告人の控訴を棄却すべきである。

5 よって,裁判官滝井繁男,同泉德治の各反対意見があるほか,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
なお,裁判官藤田宙靖の補足意見,裁判官金谷利廣,同上田豊三の各意見がある。