前回のブログ、うつ病を考える(7)「双極Ⅱ型は医者泣かせ」では、双極Ⅱ型のうつ状態は、診断も治療も難しく、長期戦になることがほとんどで、医者も患者も忍耐が必要である。また、“双極Ⅱ型のうつ状態”は、内因性うつ病やPMDDのうつ状態などと全く区別がつかず、それぞれ病気の原因が異なっているので、治療法も異なるということを書きました。

 私が、“うつ病を考える”シリーズを書き始めた動機は、“うつ病”という用語があまりにもあいまいで、味噌も糞も一緒になっていて、さまざまな誤解が生じているので、<“うつ病”あるいは“うつ状態”の実相を少しでも正確にわかってもらえないか>という思いからでした。

 近年明らかになってきた、双極Ⅱ型のうつ状態は、そのことを象徴する病態であると思います。*「世間でいううつ病」*のなかには、双極性障害のうつ状態、内因性うつ病のうつ状態、神経症性うつ病のうつ状態、パーソナリティ障害によるうつ状態、不安障害のうつ状態、PMDDのうつ状態、てんかんのうつ状態、統合失調症のうつ状態、認知症のうつ状態、・・・など挙げればきりがないくらいいろいろなものが混在していると思われます。そして、これらの病因がいくつも重なり合っていているうえに、身体疾患、加齢、環境、気候、天候、性別、現在のストレス状況・・・などが加わって、結果として、それぞれの患者さん特有のうつ状態を呈しているとみるべきです。さらに、一人の患者さんのうつ状態は固定したものではなく、時々刻々変化していると考えて、治療を進めなければいけない。また、患者さん自身も、うつ状態の時々刻々の変化に気づき、それに合わせた生活を工夫することが大切だということです。

 

 反復するうつ状態の再発予防として開発された*“マインドフルネス認知療法”*は、ヴィパッサナー瞑想を使って、この時々刻々変化に“気づく”ためのトレーニングなのです。うつ状態の患者さんの手動瞑想に、わたしが期待しているのも、このことにほかなりません。次回は手動瞑想の実践(手動瞑想認知療法)が職場復帰に生かされている、Tさんのケースを紹介します。