マインドフルネス認知療法(MBCT)は、うつ病の再発を減らすためアメリカで開発された、新しいタイプの認知療法です。従来型の認知療法は、患者が問題解決するのを治療者が援助するのに対し、問題解決の責任は患者自身であるとして、治療者は問題解決の技法を伝授するのです。乱暴な言い方ですが「原始仏教由来の“ヴィパッサナー瞑想”の技法を習得して習慣化すれば、いち早く再発の兆候に気づき、適切な行動がとれる」ということです。MBCTでは、ヴィパッサナー瞑想として呼吸瞑想が使われます。しかし、呼吸瞑想の習得が結構難しいのです。

 私のクリニックでは、6か月前から呼吸瞑想を指導していますが、脱落率が高く、継続できているのは10人に1人くらいです。そこで3か月前から、同じヴィパッサナー瞑想である手動瞑想に切り替えたたところ、「これはいいですね、続けられそうです」といわれ、脱落率が大幅に低くなっています。

 従来型の認知行動療法(CBT)を20年来行ってきたのですが、症状が改善するには相当の時間がかかります。そこで、「月1回30分の診療とともに、自宅で毎日30分の手動瞑想が習慣化できたら、30倍のスピードで治療が進まないだろうか」と想像してみました。前回のブログに書いた、様々な“うつ状態”にある患者さんにも相当に有効であるということはすでに実感しています。このような思いを浮かべながら、適応があると思う患者さんには「手動瞑想認知療法」を勧めています。もちろん、 従来型のCBTとMBCTとに、はっきりとした境界あるわけではなく、それぞれの良いとこどりをしています。