庭木や散歩犬の散歩中に注意すべき危険生物「イラガの幼虫」と、刺された場合の抗炎症治療について解説した注意喚起画像道に潜む「イラガ(キントキムシ)」にご注意くだい] 葉の上にいる、鮮やかな緑色と赤褐色の模様を持つ「イラガの幼虫(別名:キントキムシ)」の画像です。毒棘(どくきょく)を持つ危険生
​ワンちゃんが散歩中に刺されてしまった場合の対処法として「抗炎症治療」が挙げられており、痛みと腫れを迅速に引かせるために、個体の症状に合わせてステロイドや抗ヒスタミン剤(外用・内服・注射)を選択する旨が記載されています。

 

暖かくなり、お庭の手入れやお散歩が楽しい季節になりましたね。

しかし、この時期から初夏にかけて、ワンちゃんやご家族が注意しなければならない「刺されると激痛が走る虫」が発生します。

​地方によっては**「イガラ」や、その鮮やかな見た目から「キントキムシ(金時虫)」**とも呼ばれる、イラガの幼虫です。

​■ イラガ(キントキムシ)とは?

​主にカキ、ウメ、サクラ、モミジなどの広葉樹の葉の裏に潜んでいる、黄緑色の鮮やかな毛虫です。

体中に鋭い毒棘(どくとげ)を持っており、触れると「電気が走ったような激痛」が走ることから「電気虫」とも呼ばれます。

​■ ワンちゃんが刺されてしまったら?

​ワンちゃんが茂みに鼻を突っ込んだり、落ちた葉を踏んだりして刺されるケースが増えています。

​【もし刺されたら…

]お散歩中に危険生物「イラガ(キントキムシ)」に刺され、足を浮かせて痛がる犬の注意喚起画像 散歩中に愛犬が急に足を気にして歩かなくなったり、足を浮かせたりしている場合、葉の上に潜む危険生物「イラガ(別名:キントキムシ)」の毒棘(どくきょく)に刺されている可能性があります。

​■ こんな症状があれば、すぐにご来院ください

​イラガの毒は、激しい痛みだけでなくアレルギー反応を引き起こすことがあります。

]犬がイラガ(毛虫)の毒棘に刺された時の4つの危険な症状(患部を異常に痛がる・執拗に舐める、顔周りの腫れ・ムーンフェイス、止まらないよだれ・吐き気、重篤なアレルギー・アナフィラキシー反応)を解説した注意喚起画像 

イラガに刺されたサイン】
イラガ(キントキムシ)の毒棘に愛犬が刺されると、以下のような症状が現れることがあります。
① 刺された場所を異常に痛がり、執拗に舐める
② 顔周りがパンパンに腫れてくる(ムーンフェイス)
③ よだれが止まらなくなったり、吐き気をもよおす
④ 激しい痛みだけでなく、重篤なアレルギー反応(アナフィラキシーショック)を引き起こす危険性[/caption]

​刺された場所を異常に痛がる、気にする

​顔周りが腫れてきた(ムーンフェイス)

​よだれが止まらない、吐き気がある

​患部を執拗に舐めようとする

​当院では、痛みを抑える処置や抗ヒスタミン薬、ステロイド薬など、症状に合わせた治療を行っています。「もしかして刺されたかも?」と不安な時は、我慢させずにお早めにご相談ください

 

 

 

 

猫白血病ウイルス(FeLV)は、進行すると免疫力の低下や貧血、腫瘍などを引き起こす厄介なウイルスであり、飼い主様にとっても非常に不安の大きい病気です。 当院では、FeLV進行性感染症の猫ちゃんに対する新たな治療アプローチとして、抗ウイルス薬「ラルテグラビル」を用いた治療を取り入れています

[caption id="attachment_1211" align="alignnone" width="239"]MSD株式会社の抗ウイルス化学療法剤「アイセントレス錠600mg」(ラルテグラビルカリウム錠 抗ウイルス薬「ラルテグラビル」(商品名:アイセントレス錠。本来は人のHIV治療薬ですが、獣医療では猫白血病ウイルス(FeLV)に対する抗ウイルス療法として応用されることがあります[/caption]

■ ラルテグラビルとはどんなお薬?

ウイルスの増殖に不可欠な「インテグラーゼ」という酵素の働きを強力にブロックするお薬(インテグラーゼ阻害剤)です。ウイルスのDNAが猫ちゃんの細胞に組み込まれるのを防ぐことで、体内でのウイルス増殖を初期段階で食い止めます。

■ 期待できる効果と治療の目的

  • ウイルス量の低下 数週間〜数ヶ月の継続投与により、血中のウイルス量(RNAおよびプロウイルスDNA)を減少・抑制させます。

  • 全身症状の安定化とQOL(生活の質)の向上 ウイルスによる体への負担を軽減し、食欲の低下や体重減少(BCSの低下)などの症状を回復・安定させる効果が期待できます。

【※知っておいていただきたいこと】 本薬はウイルスを完全に体内から排除(完治)するものではありません。また、現時点の獣医学データでは、統計的に明確な「生存期間の延長(延命効果)」までは実証されていません。あくまで「症状を安定させ、猫ちゃんが穏やかで苦痛のない生活を送れるようにすること」を最大の目的として処方いたします。

■ 飼い主様へのお願い(治療上の重要な注意点)

ラルテグラビルによる治療は、「継続投与」が何よりも重要です。 自己判断でお薬を途中でやめてしまうと、抑え込まれていたウイルスが急激に増殖(リバウンド)し、状態が一気に悪化してしまうリスクがあります。お薬は必ず獣医師の指示通りに毎日飲ませてあげてください。 また、重篤な副作用は稀で比較的安全なお薬ですが、飲み始めに嘔吐などが見られる場合があります。気になる症状があれば、すぐにご相談ください。

FeLVと診断され、今後の治療方針や体調管理でお悩みの飼い主様は、ぜひ一度当院までご相談ください。猫ちゃんごとの状態に合わせた最善のサポートをご提案いたします

Q. ラルテグラビルとはどのようなお薬ですか?

ウイルスの増殖に不可欠な「インテグラーゼ」という酵素の働きをブロックし、体内での猫白血病ウイルス(FeLV)の増殖を初期段階で食い止める抗ウイルス薬です。

Q. 治療により猫白血病(FeLV)は完治しますか?

いいえ、ウイルスを体から完全に排除(完治)するものではありません。本治療の最大の目的は、ウイルスによる体への負担を減らし、食欲の回復や全身症状を安定させる「QOL(生活の質)の向上」です。

Q. 薬の飲ませ方や、通院の頻度を教えてください。

12時間ごと(1日2回)に経口投与(飲み薬)します。また、安全に治療を進めるため、毎週の定期検査(体重測定や血液検査など)を実施し、状態をしっかりモニタリングします。

Q. 症状が良くなったら、薬をやめてもいいですか?

自己判断での休薬は絶対におやめください。途中で薬をやめると、抑えられていたウイルス量が急激に増加(リバウンド)し、状態が一気に悪化するリスクがあります。獣医師の指示通りの継続投与が非常に重要です。

Q. 副作用はありますか?

重篤な副作用は稀で、比較的安全に使用できるお薬ですが、投与後に嘔吐などの症状が見られる場合があります。気になる症状や異常を感じた際は、すぐにご相談ください。

 

 

 

シリカ製 猫砂が猫の肉球に炎症を引き起こす

 

「愛猫の肉球が腫れている」「足から膿が出ている」──そんな症状を見て、心配になったことはありませんか?実は、その原因が毎日使っている**「猫砂」**にあるかもしれません。今回は、猫砂と猫の足に起きる炎症について、最新の研究結果を元にわかりやすく解説します。

 

シリカとは?身近な猫砂の成分

 

猫砂には、粘土を主成分とするものが多くあります。この粘土には、シリカという物質がたくさん含まれています。シリカは、人間の肺に炎症を引き起こすことが知られている一方で、動物の皮膚に与える影響はあまり研究されていませんでした。

 

猫砂が肉球の炎症を引き起こす?

 最近の研究では、慢性的な肉球の炎症や腫れ、潰瘍といった症状を持つ猫の生検サンプルを調べたところ、なんと猫砂の成分と非常に似た物質が発見されました。

この物質は、顕微鏡で見るとシリカに似た光を放つ小さな粒子で、炎症を起こした組織の中に埋め込まれていました。この炎症は「猫砂肉芽腫」と呼ばれ、猫の肉球に猫砂の成分が入り込んでしまうことで起きると考えられています。

 

なぜ一部の猫で起きるの?

 肉球の皮膚が弱い猫が、猫砂の粒子によってさらに症状が悪化してしまう、という悪循環が起きている可能性があるのです。


 

愛猫の肉球を守るためにできること

 

この研究結果から、私たちは愛猫の健康を守るためにいくつかできることがあります。

  1. 定期的な肉球のチェック: もし愛猫の肉球が赤く腫れていたり、潰瘍ができていたり、膿が出ていたりする場合は、すぐに動物病院で診てもらいましょう。

  2. 獣医師への相談: 診断の際に、猫砂が原因かもしれないと獣医師に伝えることも大切です。

  3. 猫砂の見直し: もし愛猫がすでに肉球の病気にかかっていたり、猫砂肉芽腫と診断されたりした場合は、シリカ以外の素材でできた猫砂への変更を検討するのも良いでしょう。

  4. シリカゲルは人間にも有害物質;海外ではシリカ猫砂が原因の人間への健康被害も数多く報告されています。今使っている猫砂の成分をしらべて、シリカ猫砂は飼い主様御自身の環境中に持ち込まないようにしましょう。

「猫砂肉芽腫」はまだあまり知られていない病気ですが、日々の観察と適切な対応で愛猫のつらい症状を和らげてあげることができます。


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参考文献;

飼い猫13匹の足にみられた皮膚シリカ関連(猫砂)肉芽腫 2025年7月13日公開 獣医病理学

米国毒性物質疾病登録局(ATSDR)「シリカの毒性プロファイル」米国保健福祉省公衆衛生局

Calvert GM, Rice FL, Boiano JM, et al. 「職業上のシリカ曝露と様々な疾患のリスク:米国27州の死亡診断書を用いた分析」Occup Environ Med . 2003;60:122–129.

Hou M, Zhu W, Ye Y. 全身リンパ節転移を伴う皮膚シリカ肉芽腫. J Dermatol . 2011;38:697–701.

Hoy RF, Chambers DC. 現代世界におけるシリカ関連疾患.アレルギー. 2020;75:2805–2817.

Hubska J, Shahnazaryan U, Roslon M, et al. ベントナイト猫砂への曝露によるシリカへの反応としてサルコイド様肺疾患を発症し、末期腎不全を合併した症例報告. Int J Environ Res Public Health . 2022;19:12921

Kaya TI、Kokturk A、Polat A、他。小児の皮膚シリカ肉芽腫。小児皮膚科。 2003;20:40–43。

珪肺症死亡率の傾向と吸入性結晶シリカへの新しい曝露 ― アメリカ、2001~2010年


お盆の時期に 猫のユリ中毒が増える理由

 

オーストラリアでの猫のユリ中毒は、イースターの時期に多発することが知られています。これは、イースターの時期に教会や家庭をユリで飾る習慣が関係していると考えられます。

私の35年にわたる救急診療の経験から言えば、日本ではお盆の季節に猫のユリ中毒が増えるという感覚があります。これは、お盆の時期に仏花としてユリの出荷量が増加し、一般家庭にユリが持ち込まれる機会が増えるためだと推測しています

 

ユリ中毒は猫にとって命に関わる深刻な脅威です。お盆シーズンを迎えるにあたり、この問題について積極的に周知・啓発することが重要です。

全国主要紙や複数都市のテレビ局などのメディア関係者の方々には、情報発信にご協力をお願いいたします。
また、各動物病院では、受付およびサポートスタッフに対し、猫にとってのユリの危険性を徹底的に周知し、猫を飼っている飼い主様には積極的にお声かけいただき、この問題について理解を深めてもらえるようお願いいたします。

親戚や友人に花を贈る際は、猫を飼っているご家庭に送る花束やアレンジメントには「ユリは入れないでほしい」と明確に伝えてください。
 

月の満ち欠けとてんかん:迷信か、科学的根拠か

 

月の周期がてんかんに影響を与えるという考えは、古代から多くの文化に存在しています。てんかん患者を指す「lunatic」(ルナティック)という言葉は、ラテン語で月を意味する「luna」に由来しており、発作などの異常行動は満月が原因だと信じられてきました。

月の満ち欠けが発作に影響を及ぼす可能性について、科学的な仮説としては、月の重力の影響や、夜間の明るさの変化が睡眠サイクルに影響を与えるというものが挙げられています。

 

ヒトにおける研究結果の現状:矛盾する見解

 

ヒトを対象とした研究では、月の周期とてんかん発作の関連性について一貫した結果は得られていません。

  • 満月の期間中に、てんかん発作による救急外来の受診が増加したという報告があります。

  • 一方で、てんかんモニタリングユニットの患者を対象とした研究では、満月に関連する発作頻度の増加は確認されていません

夜空全体の明るさをコントロールした別の研究では、月の満ち欠け自体と発作頻度には直接的な関係が見られませんでした。このことから、月の満ち欠けと発作の関連は、月周期そのものではなく、夜空の明るさの変化が引き起こす間接的な影響によるものと示唆されています。

また、夜空の明るさとは無関係に、満月の期間中に「非てんかん性イベント」が増加するという興味深い観察結果もあります。これは、満月に関する通説が引き起こす心理的な「ノセボ効果(マイナスの暗示効果)」の可能性を示唆しています。

 

睡眠不足が発作の引き金に?

 

世界中のインターネット検索データからは、月の光量が多い時期にてんかん関連の検索が増加していることが判明しています。これは、満月の期間中に覚醒時間が増加し、睡眠の質が低下することが原因と考えられています。

睡眠不足はてんかん発作の主要な誘因の一つであり、月の満ち欠けが睡眠パターンに影響を与えるという認識は、てんかんを持つ犬の飼い主の20〜25%が発作の引き金として挙げています。

犬と猫における研究結果:飼い主の認識とのギャップ

 

動物病院の記録を分析した研究では、犬と猫の両方において、満月の日に救急外来の受診件数が増加することが示されています[。

しかし、てんかん発作と月周期の関係を直接評価した大規模な後ろ向き研究では、犬と猫のどちらにおいても両者の間に統計的な関連性は認められませんでした。

結論として、 月の満ち欠けが直接てんかん発作を引き起こすという科学的根拠は確立されていません。しかし、満月の時期に睡眠の質が低下する可能性や、飼い主の心理的な影響が発作の引き金となる間接的な要因については、引き続き研究の余地があると言えるでしょう。