クレンペラーのシューベルト『未完成』:ウィーンフィルライブ | angsyally1112のブログ

angsyally1112のブログ

人生残り少ない暗愚舎利の日々の思いを綴ってゆきます。


シューベルト
交響曲第8番(第7番) ロ短調 D.759 『未完成』
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
指揮:オットー・クレンペラー
(1968年6月16日 LIVE録音)

『運命』とこの『未完成』を聴く為にこのウィーンフィルハーモニー管弦楽団とのライブ盤のセットを購入したのです。
『運命』と『未完成』セットのDG盤は、中古でも高価で手に入り難くなっています。
テスタメント社のこのセットが、思ったよりも安価で入手できたのは誠に幸運でした。

期待通りに私にとって理想的な最高の『未完成』です。
とにかくアップテンポのシューベルトは好みではありません。
今までスローなテンポのフリッチャイ盤を愛聴してきましたが、モノラルでその音質に不満を感じてきました。
その点、このライブ盤は、文句無しの音質です。
なんと優しくいとおしい音色でしょうか🎵

私は曲の最後のろうそくの灯が消えてゆくような切ないフィナーレが、いつからか耳にこびり付いており、その音の再現を求めて色々な『未完成』を聴いてきました。
全ての音は、その最後の密やかな祈りに集約してゆくのです。

この曲にロマンチックなドラマを観る人もいるでしょう。もっと病的な悪夢の世界迄観る人もいるでしょう。
聴く人一人一人にそれぞれその人の『未完成』の世界があります。

このシンプルな音楽は底無しの奥深い迷路のような大きな宇宙です。

この世ともあの世とも定かならざる冥界をさ迷う、か弱い子羊の祈りと慰めの歌。

私はこの演奏を聴いて『未完成』交響曲を今までにも増して深く理解できるようになりました。

ヘッドホンは、ゼンハイザーHD800バランス接続です。何とも美しい音の空間に浸っています。