東京瘋癲酔人日記 -12ページ目

東京瘋癲酔人日記

夜の街で飲み歩く、私、安吾の日記。

キャバクラ、BAR、居酒屋などで見かけた様々な事柄を綴りながら、自作の小説も発表しています。

 みなさんは、どうやって見切りをつけますか。

 今回は、番外編である。見切りをつけられずにとんでもないことになった客の話を書いてみる。彼の名を仮にA氏としてみよう。
 A氏は、30代のサラリーマン。独身、実家在住。どちらかと言えば、大人しい性格。特に趣味はなく、その上、実家住まいのため、そこそこ貯金もしていた。
 A氏にとってキャバクラとは、そのイメージだけで「食わず嫌い」のものだった。しかしある時、会社の飲み会があり、その二次会でキャバクラX店へ行くことになる。A氏としては気乗りがしないが、強く自分を主張できないタイプなので、渋々入店する。X店はショーを打つ店で、A氏は生まれて初めてキャバクラのショーに触れた。
「楽しい!こんな世界があったんだ」
 食わず嫌いのキャバクラだったが、初めて触れたその世界に、A氏は虜となってしまった。踊っているメンバーの中で、特に目についた子がおり、ついていたキャストに彼女の名前を聞く。そのショーメンバーをB嬢としよう。B嬢は、踊りが好きな子で、さっぱりした性格だ。色恋営業するわけでもなく、かといって営業テクを持っているわけでもない。そのため、客に甘えてなんとかノルマを果たしていた。
 数日後、A氏はB嬢指名で入店。彼のキャバクラライフが始まった。B嬢は色恋をかけるわけでもなく、A氏もB嬢というよりキャバクラのショーの魅入られていたわけで、ある意味、理想的な関係だったといえよう。しかし、彼のキャバクラライフにおいて平和な時期は、このときだけだった。最初の頃こそ、A氏は、自分の意志で入店していたが、段々とB嬢の「ノルマがきつくて、お願い」という甘えに付き合うことになり、入店する日が増えていった。「とりあえず貯金もあるし、ショーは楽しいのでいいか」と思っていたようだ。
 男子スタッフも良く顔を見せるA氏に手厚い言葉をかけるようになる(といってもすべてリップサービスだが)。これもA氏にとっては今までにない経験で、少し良い気分を味わっていたようだ。ここに至り、A氏は完全に「キャバクラ熱病」にかかってしまった。これは誰もがかかる病といえよう。当然、私も通ってきた道である。この病に陥ったとき、普通は弾(遊び仲間の隠語で、キャバクラに使えるお金のこと)切れになったり、色恋を仕掛けられてボロボロになったりした末、熱病から冷めるのである。ところがA氏は、ある程度の貯金もあり、弾切れになることもなく、またB嬢が色恋営業しない、またA氏自身も、B嬢を気に入っているが、完全に惚れているわけでもないという状態だったのだ。これが、彼の病を悪化させてしまった。
 しばらくして、B嬢は別のショークラブY店に移籍した。A氏もB嬢についていき、Y店の客となる。しかし、最初にB嬢と出会ったX店にも顔を出すようになる。行く店が加速度的に増えていった時期だ。
 幾ばくかの時間が流れ、B嬢はY店を辞め、今度はショーのない店に移籍した。B嬢のショーを見ることが好きだったA氏は、B嬢と同じくらい魅了を感じるショーメンをさがすべく、様々なショークラブに飲みに出かけることとなる。そして、Z店で運命の出会い、それもとんでもないこととなる出会いを果たす。C嬢だ。
 このZ店、老舗であったが客入りが非常にしんどい状況にあった。しかし、ショーのレベルは高く、そこにひかれた一部の客が「旦那衆」的な飲み方をして、支えていた。もちろん、この一部の客とは、自営や社長など、ある程度自由になるお金を持っていた客だ。
 そんなZ店の中では、C嬢はショーメンの中でも成績最下位であり、なんとかしなければと思っていたようだ。また、C嬢は担当マネD氏と風紀中であり、一緒に生活していた。
 このC嬢、A氏が言いなりに店に来るのがわかると、色恋営業で徹底的に引っぱりだした。A氏もB嬢とのことから、甘えられると「そんなもんだろう」と思って店に行っていたようだ。その上、強烈な飲み方をする旦那衆並に様々なことを求めてくる。彼のテーブルには、自分のボトルの他に、フードや焼酎が並び、それを他のショーメンと共に空けてしまうC嬢の姿があった。週3から4回、店前同伴で入店して、終電ぎりぎりの時間までの4時間を店で過ごす生活を、A氏は1年以上続けた。C嬢の成績はどんどんあがり、ナンバーワンとなる。D氏も昇級して、ついに店長になった。
 ある時期からC嬢は結婚を口にするようになった。A氏からそのことを聞かされた回りの人間は「目を覚ませ」と言ったようだが、A氏「だまされていない」と言い張ったようだ。
「Aさんが私のために店に来てくれるおかげで、私のお給料はあがったんだよ。ありがとう。この分を、全部二人の結婚のために貯金しているからね」
 とC嬢は、言っていたようだ。普通に考えれば「店に入れるより、そのまま貯金した方が高くなるだろ」とつっこみたくなると思うが、それもわからなくなっていたようだ。これは推測だが、A氏にしてみれば「おかしい」とは思っていても、C嬢のことが好きだし、結婚まで口にだしているわけだし、何より「ここまで来たらもう後戻りできない」という気持ちがあったのではないだろうか。この「ここまで来たら後戻りできない」という思いが、切り時を見失う最大の要因な気がする。ギャンブルでもそうだが「ここまで、お金と時間と手間をかけたのだから、それを取り戻すまではやめられない」という気持ちが、客の判断を狂わすのである。
 その後、Z店は、A氏や一部の客の奮闘も虚しく、閉店となる。閉店後、C嬢は、他店でボーイから始めることとなったD氏を捨て、D氏の先輩筋にあたるE氏が店長を務める店に入店した。そのE氏と暮らし始めたそうだ。
 遊び仲間と試算したことがあるが、たぶん4桁のお金がC嬢に流れていったと思われる。

 このことがあってから、数年がたったが、A氏の姿をキャバクラで見かけることはない。一方、C嬢は、某店で踊っている。
 みなさんは、どうやって見切りをつけますか。

 シリーズ三回目は、ある意味、一番多いパターン「なんだかわからないが、ダラダラ続いている」という指名についてである。このパターンを書く前に、みなさんにお聞きしたい。
「なぜ、キャバクラに飲みにいくのですか」

 1 キャストを口説くため
 2 カノジョができないかな、と思って
 3 飲んで、騒いで、その場が楽しめればいいから
 4 その他、個人的な理由から

 大まかに分ければ、答えはこんなところだろうか。私の理由は、「無頼派気取り」 で書いたとおりだ。
 キャバクラは、古来より続いている「楽しくお酒の相手をするが、最後までは約束されていない」という、日本独自の水商売形態の一つだ。アメリカのストリップバーやフランスのキャバレーなど、確かに女性性を売り物にした水商売形態は海外にもあるが、いずれも「横について接客をする」というものではない。欧米でも、酒場に女性がたまっていて相手をしてくれるシステムがあるが、彼女たちは「最後まで」を売る商売をしており、一緒に飲むのはイントロであり、その時間も短い。
 「最後まで約束されていない、、、でもね」というのは、非常に日本的なものだ。外からの影響が極端に少ない島国に単一民族(正確には違う)が暮らす日本では、「共通理解」という前提があり、これを踏まえて「曖昧なもの、ニュアンスを楽しむ」というある種異形な洗練とも言える独自の文化がある。
 日本以外の国では、商売の基本は「理解をしてもらう」ことだ。違う人種、文化、宗教をもった人たちが、ただの線引き=国境で住み分けしている日本以外の国では、「私は●○を××の金額で売ります、買いますか」というはっきりとしたプレゼンをしなければ、違う人種、文化、宗教をもった人たち同士の商売は成立しない。「最後まで約束されていない、、、でもね」などという曖昧な商売形態は、「ここは何をいくらで売るところなんだ。理解ができない」ということで成立しないと思う。
 こういった、おおよそ他の国の人々には理解してもらえない水商売形態の一つがキャバクラなのだ。つまりキャバクラとは「最後まで約束されていない、、、でもね」=「曖昧なもの、ニュアンスを楽しむ」場所なのである。まず、これを理解しなければキャバクラで遊ぶ資格はないと、私は思っている。
 このキャバクラの本質とも言えることから鑑みれば、答え2は、論外だということがわかる。答え1と2は、似ているようで、全く違う。1は狩猟である。キャバクラは「曖昧なもの、ニュアンスを楽しむ」ものだと理解した上で、自分の持つ能力(ルックス・人間性・財力など)を最大限に生かした戦略を立て、その壁を打ち崩していき、とにかくGOALすることを目指している。また、狩猟であるから、狩猟能力の差により、結果は大きく異なってくる。
 それに対して2は、「曖昧なもの、ニュアンスを楽しむ」という約束事を理解しておらず、恋愛をしに行っているわけであり、いきなり「好きだ、つきあってくれ」となる。キャストにしてみれば、キャバクラは仕事をしている場所であり、カレシを探している場所ではない(何にでも例外はあるが)。そのキャバクラで、1のような客に対しては「仕事を超えて、いいなと思ってしまう」ことがあるが、2の客に対しては「あんたは遊びだけど、こっちは仕事。それが理解できてないのは、バカじゃないの」ということになる。
 2ちゃんねるにキャバクラ関連のものがあるが、その板名が「お水出会い系」 となっている。キャバクラと出会い系サイトの話題が一緒になっているのだ。私はこの状況を「バカじゃないのか」と常々思っているが、この意見、少なくともキャストの多くは賛同してくれると思う。キャバクラは「出会い系の場所」ではないのだ。
 答え3の客が、一番好まれる客であり、キャバクラの本質に見合った客と言える。「きれいに遊ぶ客」「粋な飲み方をする客」という言い方があるが、3のパターンで洗練されている客に対する言葉だ。そして、洗練されている客=男として魅力がある客なので、結果的に一番もてるのである。
 さて、少し遠回りしたが、「なんだかわからないが、ダラダラ続いている」という指名の切り方である。
 切りたいと思うには、理由があるわけで、その理由はキャバクラに行く理由とリンクしているといえる。答え1なら、このまま狩りを続けるか否かを判断すればよい。答え2なら、切るとか切らないとかではなく、キャバクラへ行くか否かを検討すべきである。答え3なら、答えは微妙だ。
 これはキャストに対する苦言だが、魅力がないキャストが多すぎる。ショーメンとして魅力がある、トークで人を楽しませることができる、気遣い心配りが素晴らしい、とにかく使える、座っているだけでも圧倒的に綺麗なので客が納得してしまう、などキャストはなんらかの能力・魅力があって成立する仕事だ。これは他の仕事でも変わらない事実である。しかし、そのいずれも持ち合わせておらず、それなのになんの努力もしようとしない。サラリーマンも仕事ができるヤツは、能力を持ち、さらにそれに磨きをかけるようにしている。
 答えが3の場合、そのキャストに魅力を感じなければ、切るべきだ。もちろん「飲んで、騒いで、その場が楽しめればいいから」というからには、客の能動的な行動も必須である。ただ、座っているだけで「飲んで、騒いで、その場が楽しめる」ことはできない。正確にはキャバクラではできない、というべきか。銀座の高級クラブへいけば、できるような気がする。あくまでも想像だが。
 切るときはストレートに「つまらないから切る」と言えばよい。その場を楽しむために遊びに行って、つまらないのだから、致し方ない話である。ドライな言い方をすれば、メリットを感じないキャストは、その時点で切るべきだ。「ちょっとかわいい」程度のものは、賞味期限付きの良さであり、すぐ期限は切れる。「接待でキャバクラに行くことが多いが、ものすごく客に気を使ってくれる」「仕事の疲れを癒してくれる」などのメリットが無ければ、切られてもしょうがない。私の指名嬢でも長く続いている子は、魅力も含めてメリットを感じる子ばかりである。メリットがあるから、サラリーマンにとって決して安いとは言えない価格を払って飲みにいくのである。
 5年ぐらい続いている指名嬢は、とにかくキラーパスを出してくれる。私が場内嬢を狩ってる時にだ。決して太い客とは言えないが、どこに移籍しても指名をして、場内嬢にGOALしても指名替えをしないからである。メリットを求めるには、それなりの対価も必要だ。ギブアンドテイクである。

 これで答えになっただろうか、、、、、
 みなさんは、どうやって見切りをつけますか。

 さて、同じテーマでのその2である。色恋系のアプローチで「色恋を仕掛ける=口説く場合」に対して、「色恋を仕掛けられた」というケースがある。
 キャストが色恋を客に仕掛ける、というが、客に対して
 「安吾さん、私の好みだな」
 「安吾さんだけには、いろいろ話せるな」
 「安吾さんのテーブルは、落ち着ける(または、楽しい)な」
 などと発言するキャストは多い。こういった台詞は、多くのキャストが用いるリップサービスであり、「あなたは他の客とは違うの」と思わせる初歩的な営業方法だ。私が思うに、これは色恋営業とはならない。しかし、これを真に受けて「こいつ、オレに惚れてる。それならば通って口説いちゃおう」と思う客がいる。この程度ではまる客は、キャバクラ遊びをする資格はなく、「それでも遊びたい」と思うなら、身も財布も相当しんどい思いをすることを理解すべきだ。ウソだと思うのなら、そのキャストを口説いてみるといいと思う。99%の確率で、次のような台詞が返ってくる。
<甘えキャラタイプのキャストの場合>
 「信じられない。安吾さん、私のことそういう目で見ていたの。私、安吾さんは他のお客さんと違って、口説いたりしないと思っていたのに。だから信用してたんだよ。安吾さんって、私にとって良き理解者、つまりお兄ちゃん(年が近い場合は「お兄ちゃん」、私のような中年男には「足長おじさん」となる)みたいな存在なんだよ。この関係を大事にしたいの。わかってくれる?」
<姉さんキャラのキャストの場合>
 「またまた、冗談いっちゃって。いろんなところでそんなこと言ってるんでしょ。簡単に信じないよ。安吾さん、いい人なんだから、そんなこと言ってないで、飲もうよ」
 1%だけ残したのは、決してすべてがリップサービスではないこともあるからだ。
 私が、色恋営業だな、と感じるのは、
 「私が休みの日に、遊びにつれていって」
 という変化球から、
 「私、今までこんな事無かったけど、始めてお客さんを好きになっちゃった」
 という直球まで、「店以外のこと」を匂わせてきた時だ。
 色恋営業は、致命的な欠陥がある。「好きよ」というわけだから、「それならばつき合おう。」と返すのが普通である。そこでつき合いだすのか否か、またはつき合いだして、致すのか否か、という結果を出さなければならないという欠陥である。色恋営業されたら、色恋で返せばよい。余計なことを考えずに「んじゃ、つき合おう」と言い、致すようにすればよいのだ。「好きよ」という言葉がウソ=色恋営業なら、相手は逃げ出す。つまり、追い込んでいけば、色恋営業は自滅する。向こうから切れてくれるのだ。営業でなければ、本当のカップルのようにステップを踏んで、そうなる。
 どこでキャストは逃げるか、ということだが、「じゃ、つき合おうね」というのは、よくある事だ。しかし、つき合ってるのに、全然店以外で会えない、または、「まだ、早いよ」と致すことは許されず、会うのも、店5回:店外1回みたいな状況。これは完全に引っ張られてる状況であり、色恋キャストを追い込んでいることにはならない。まずは、つき合い出したら店に行かないことだ。「どうして、自分の彼女に会うのに、お金を払わなければならないんだ」とはっきり示すことが大切である。それでも店に来させようするなら「好きなんて、ウソじゃん。うそつきは嫌いだから、別れるよ」と言えばよい。店に行っても、そのキャストに「色恋嬢」というラベルが貼られているのは、店の人間(他のキャスト及び男子スタッフ)は知っているから、今までと変わらない態度で接してくれるはずだ。ただ、キャストは「手強い客」と思うかもしれない。
 「つき合ってて、店外もあって、致してるけど、店に呼ぶ回数の方が多い」というのは枕営業なわけで、これは、切るなり割り切って楽しむなりすれば良いと思う。切る場合は「オマエ、営業じゃん。他の子にはいわないけど、そういうの嫌いだから、指名外すよ」と言えばよい(致しておいて、ひどい理論だが)。枕の子は、枕でも引っ張り続けられなかったとは口が裂けても店の人間に言えないので、黙るはずである。指名を切って店に行ったとき、多少は他のキャストに聞かれるかもしれないが、適当に流しておけば問題はない。色恋嬢と同じように枕嬢もラベルを貼られてるから、納得してくれるはずだ。

 「色恋には色恋で返す」これが金言である。