二人が対峙する、赤淵の病院の家族休憩室の広さは、十平方メートルほど…。
その真ん中では、宣璣が攻めに使用している鉄の鎖が熱く萌え…いや、燃えている。
…私は嘘はついていない
「攻め」って攻撃のことよね?
「不是吗?」(笑)
画像引用元:©bilibili
まさしくこの場面
なはずなのだが…。
宣璣は「炎」で、謎の長髪の男は「氷」
温かい空気に冷たいそれがぶつかると――
画像引用元:©bilibili
心配なのは結露だろうか?
いや、違うだろう。
宣璣の炎の鉄の鎖より、四方から迫りくる冷気の方が圧倒的に強く…。
壁に浮かび上がった水滴によって形作られたのが――
【あの祭文】
それは世界のどの言語でもなかった。宣璣は横目で見ると、背筋に冷気が走った。
priest『烈火澆愁』第6章より翻訳引用
アニメではここで、宣璣が比較的簡単に指示を出していたけれど…。
原作では、本来の指揮系統を無視する宣璣は、赤淵分局の外勤の責任者にひんしゅくを買っている。
「この病院……病院から十キロメートル以内のすべての人を避難させろ、今すぐ! 使える人間を全員呼び寄せて、総局に報告しろ!」
priest『烈火澆愁』第6章より翻訳引用
異控局では、外勤部門だけが全員「特能」で、後方支援部門はほとんどが普通の人で構成されている。
その中で、普通の人と一緒に後方支援をしている「特能」は、ほとんど役に立たないヤツとみなされているのだ。
だから、俺たち「善後科」は総局から派遣されたとは言っても、分局の外勤どもには一段低くみられてるわけだ
そんな「善後科」の臨時科長にあれこれ指図されたもんだから、赤淵分局の外勤の責任者は内心、はらわたが煮えくり返ってた、と
盛霊淵は火の中で彼らの話を興味津々で聞いていた。背の高い陶器の人形が焼かれているようで、炎の舌に包まれても、髪の毛の一本も動かさず、暖かいと感じているようだった。火の光に照らされて、青白い顔に血色が浮かぶ。
priest『烈火澆愁』第6章より翻訳引用
priest作品は表現が良すぎて、全て紹介したくなる…。
選ぶのが大変なんだ。
お願いだから、早く邦訳版を出してほしい
「陶器」系の形容は、『鎮魂』でも沈巍を表現するのに出てきてたよね。
(前略)その中で、「陶磁器」のような人もいる。一見すると、人目を奪うほどではないが、見た目がよくておっとりしている。極めて上品で、派手な言動で人の歓心を買おうとしないが、見る目のある人がいったんその美しさに気付いてしまったら最後、心奪われること間違いなし――沈巍は正に「陶磁器」のような顔立ちをしている。
priest『鎮魂』第1巻34ページより引用
原作版・『鎮魂』へ捧ぐレクイエムとか。~その⑤ 白皙、陶磁器、愛でる君。
書いてたおかげで、すぐ見つけられた
宣璣が「祭文」を理解できることに驚く、盛霊淵。
宣璣に軽口で返され、口撃されても、大人な彼は怒ることもなく穏やか~に話しかけ続けている。
←少し私のひいき目発言が混じっているかもしれない(笑)
妖族なはずなのに、人族に溶け込んでいる宣璣が不思議でならない風なのは、アニメと一緒なのだけれども――
ここで平倩如がこなしている役割は、原作では全て、羅翠翠が行っている。
(多分、平倩如はまだ、救出された人たちの相手をしているかと思われる。スマホ等の記録を消去したりする役目だから)
*【追記して訂正】この後、平倩如も出てくることに気がついた。アニメは第7章部分が早々に出てきてただけだった
<m(_ _)m>
羅翠翠からの電話を受け、異控局の内部ネットワークのデータベースで「陰沈祭」を検索した肖征。もちろん詳細は得られない。
例によって、宣璣に悪態をつきながらも、直接テレビ電話をつないで話そうとするのだが…。
老羅はこっちもあっちも気にしながら、特にトラブルを起こす「臨時の上司」のせいで、その場で二本の髪が抜けてしまい、深刻な労災を負った。
priest『烈火澆愁』第6章より翻訳引用
しかし、老羅の扱いよ(笑)
そのテレビ電話が繋がる前に――
「小妖、私を放さないと、怪我をするぞ」
…などと意味深発言をする盛霊淵。
それにつけても、当初の陛下は恐ろしい…。
「朱雀の血脈」を失っている状態の彼なので、天魔の【魔】の部分しかなく、感情がほとんどない(はずだ)
皇帝としての素養があるので、表面上はにこやか、穏やかに見せかけられるが、その内面は……
(ΦωΦ)フフフ…
…天魔の誘惑に負けているともさ
宣璣の髪の毛や服の端には氷がついていた。ドアに書かれた「止」の字がぱっと崩れる。恐ろしい水滴が家族休憩室の壁を通り抜けて、反対側に浸み出た。冷たく悲しい風が吹き出して、窓や廊下の電灯を全て割っていく。風がドアや窓を押し出すとき、鋭い笛のような音がした。その中には、死にかけの悲鳴のようなものが混じっていた。
priest『烈火澆愁』第6章より翻訳引用
この時…。
宣璣の指示を内心馬鹿にしながら、ゆっくりと退避していた赤淵分局の外勤たちは間に合わずに皆、自分の非人間的な部分を顕してしまっている。
もちろん――
羅翠翠もだ( ̄∇ ̄;)ハッハッハ
つないだばかりのテレビ電話でこの光景を見た肖征は、宣璣と話す前に「古籍修復科」へと向かう。
アニメでは初めから、古籍修復科の王博士が傍にいた。
ちなみに…。
肖征は異控局の外勤の総調整という役職にいる。
本来は黄局長が行う業務なのだけれども、「特能」を持たない普通の人のため、任命して肖征に現場の権限を与えているのだ。
だから、本当に問題が起きると、黄局長の承認が必要なのよね。
古籍修復科にて、【陰沈祭】のことを王博士に尋ねる肖征…。
だがしかし。
王博士と言えば…
古籍修復科の王博士は小さな眼鏡をかけて、背中を曲げていた。首は前に二里ほど伸ばせるようだ。彼は明朝の末期に生まれたと言われていて、「特能」は他になく、ただ老死しないだけだった。だから、異控局に招かれて、古物研究を専門にしていた。唯一の欠点は年を取って、反応が遅くなったことだ。
priest『烈火澆愁』第6章より翻訳引用
『烈火澆愁』は、作中の異控局のデータで2010年(だったかな?)調べとか出てきていたかと思うので、めちゃくちゃ現代のお話だ。
そんな中で、明朝の末期に生まれたとか…。
明朝って、西暦何年なんだ!?
Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン
…という「老死」しない「特能」をお持ちの方である。
調べて来た。
【明朝】1368年から1644年
とにかく、反応が遅い(笑)
そして、耳も遠い。
ノートパソコンを開いたものの、キーボードは一本指。
せっかちな肖征のこと――
肖征は彼のパソコンをひったくって、ファイル室に向かって走った。後ろには跳ねる電源コードが引きずられた。
priest『烈火澆愁』第6章より翻訳引用
こうなるとか
結局、古籍修復科では「陰沈祭」について、それほど多くの情報は得られない。
それを補ってくれるのが…
とても親切な盛霊淵
自分自身の記憶はなくとも、術に関しては教えてくれる。
まるで、『蓮花楼』の笛飛声のようだ(笑)
【陰沈祭文】とは
- 昔に失伝した古い祭文
- 生贄を捧げて魔を呼び出す邪悪な術
- 生贄は非業の死を遂げなければならず、死ぬ前には恨みに満ちていなければならない
- よって、動物ではこの要求を満たすのが難しいので、人間が最適とされる
「教えてやろう。彼の祭文は完成寸前だ。あと一口の『生贄』が足りない。これは千人の生贄を捧げる祭りだ」
盛霊淵は自分の袍についた血痕を指でなぞって、ゆっくりと口に含んで味わった。
priest『烈火澆愁』第6章より翻訳引用
アニメでは【千霊法陣】と言っていたけれど、原作では【千人生祭】となっている。
それよりも…。
原作の陛下は、やたらと当初【血】を欲していた(笑)
宣璣の本命剣に入ってた時も、ちょっと血に飢えた感じだったし。
私も含め、意外と多いと思う
でも…。
手首じゃなくて、首筋に吸いついてくれと切に願う
←いや、頸動脈切ったら死ぬだろ、普通に
その時また、羅翠翠が走って来るのだが。
(アニメではやはり平倩如である)
同時に宣璣のスマホも鳴る。
もちろん発信者は、「陰沈祭」を調べた肖征だ。
(…髪のある彼がもはや、懐かしいとか…)
結局、彼はよくわからなかったらしい。
アニメで宣璣は、手を使わずにポケットからスマホを取り出しているけれど…。
原作でもそうである。
両手が氷で包まれてしまって、ほとんど動けない状態となっているから。
そしてアニメでは宣璣が説明していた「陰沈祭」の初歩データは、古籍修復科で調べて来た肖征が、ここで説明している。
【陰沈祭】
- 一ヶ月の間に完成させること
- 新月の子の刻の交わりに最初の生贄を捧げ、次の新月の子の刻の交わりに最後の生贄をささげること
その新月が、今日!
…というのはアニメもまんまだね
ここで意外と大事なのは…。
盛霊淵は携帯電話に非常に興味を持ったようで、目を離さずに見ていた。
priest『烈火澆愁』第6章より翻訳引用
陛下はとてもスマホ好き
私がたまにつぶやいている、【カラスブランドの携帯電話】のくだりは傑作だと思っている。
後々…。
(ラスボスが登場する頃)
全国の通信手段が全て遮断されてしまい、連絡を取り合えなくなってしまうのだけれども、陛下は現代の利器に呆れながら、烏鴉(カラス)を操って、連絡手段として使役するのだ(笑)
その様がとても楽しいのと――
【カラスブランドの携帯電話】と形容するpriest師のセンスに感嘆するしかない
ヾ(≧▽≦*)o
確かにめっちゃ見てる(笑)
その肖征に宣璣は、たった今、盛霊淵から聞いた「陰沈祭」の詳しい内容を告げる。
とにかく、本来生贄は非業の死を遂げなければならず、一ヶ月の間に千人もの人がそんな不自然な死に方を、誰にも気づかれずにするなんてありえない、と。
急いで、関連する公安部門に調査を命じる肖征。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃない」
宣璣は震える歯を強く噛みしめた。
「なんで集中暖房を入れてくれないんだ!」
priest『烈火澆愁』第6章より翻訳引用
![](https://ssl-stat.amebame.com/pub/content/9477400408/amebapick/item/picktag_autoAd_301.png)
![](https://ssl-stat.amebame.com/pub/content/9477400408/amebapick/item/picktag_autoAd_301.png)